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184話 目立たなければ安全?




 その後、着実にダンジョンを育てつつ……ユアンに寝首をかかれぬよう、奴の動向を注視していたところ……


 去年と同じような不定期ミッションが開催されたタイミングで、不自然な現象が見受けられた。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜不定期ミッション・スタンピードを起こして街を滅ぼそう〜

現在の評価:B

獲得報酬:ハイポーション・マジックバッグ・ギガントリザードの渦


〜ギガントリザードの渦〜

Cランクモンスター<ギガントリザード>を、一日一体生み出す渦。必要ないときは、稼働停止させることもできる。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 僕とサーシャは、モンティート先輩率いる同盟<農民>に誘われて、彼等と一緒に"とある盗賊村"を滅ぼしただけだから……


 最低限のノルマこそ満たせたけど、A評価は得られずに終了。



 それについては僕・サーシャ共に納得しているし……盛大に動くほどのメリットはないミッションなので、別に構わないのだが……


 僕等と同じように、悪質な野盗の村だけ滅ぼして、人間から目をつけられないようにしていた先輩方が、なぜか反撃の槍玉に上がってしまったのだ。






 あらかじめ反撃される可能性を覚悟したうえで、派手にスタンピードを仕掛けて街を滅ぼした、好戦的な先輩魔王は……


 人間にダンジョンを攻められても平気なように、ちゃんと防衛対策しているし、槍玉に上がった程度じゃビビらない。



 しかし冤罪で予想外に目立ってしまい、「危険なダンジョン」として人間から本格的に狙われるようになった、評価<B>の先輩方は……


 ダンジョン存続の危機を迎えて、可哀想なくらい動揺しており、スレッドにも悲痛な叫びが並んでいるよ。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


775 名前:ロミ(68期)

 ダメ、もう無理だよぉ〜。

 切れ目が見えないほど大勢の軍人が、僕のダンジョンを滅ぼすために押し寄せている。

 こうなるのが嫌だったから、報酬とか我慢して地味に動いていたのに!


776 名前:ダンダ(62期)

 俺のダンジョンなんて、もう5階層まで攻略されちまったぜ。

 絶対、他のダンジョンと間違われて襲われているだろ!

 理不尽だ!!!!


777 名前:ウィン(32期)

 なぁ、上位の魔王さん達。

 危機を乗り越えたらアンタ等の配下に付くから、俺を助けてくれないか?

 せっかく生き延びてきたのに、ここで死ぬのは嫌なんだ!


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






 いくら先輩方が冤罪で苦しんでいようと、僕やサーシャが、正義面して彼等を助ける必要はない。


 魔王は、人間にとって「根絶させるべき敵」であり……いつ何時ダンジョンを本気で攻められても、おかしくない状況で生きているにも関わらず……


 それを自分の都合で「大人しくしておけば大丈夫」と解釈して、襲撃された時の備えを怠り、土壇場になって狼狽えている先輩方にも非はあるからだ。



 もちろん街を滅ぼしておきながら、手頃な相手に冤罪を被せて美味しい所だけ掻っ攫った、"誰か"の方が悪いに決まっているし……


 其奴の蛮行を咎めず野放しにしておけば、いずれ街の近くにダンジョンがあるサーシャも被害に遭うかもしれないので、犯人探しをする必要はあるけどね。



「ねぇメグミ君。今被害に遭っている先輩方って……言っちゃ悪いけど、全員"弱小同盟"所属で、同盟仲間からの支援が得られなさそうな方ばかりじゃない?」


「たしかに。スケープゴートにしたのがバレた時、反撃されるリスクを、犯人が恐れたのかなぁ? それとも……」


「それとも?」



「辛うじて人間を追い返した後、精魂尽き果てて倒れているところを少数精鋭で攻めて、コスパ良く彼等のダンジョンを支配しようって作戦?」


「うわぁ〜」



 ただ、真っ先に"そういう事"を企みそうな<新米狩り>の3人は、この前僕のダンジョンを奪おうとして返り討ちにされ、みっともなく散ったばかり。


 だとすると、現存する魔王でやらかしそうな奴は……。






「メグミ君、これを見て! さっきからユアンのポイント推移、不自然じゃない? 取り繕ってはいるけど、明らかに現金をポイントに換えている!」


「どれどれ……あぁ、コレはやっているな。順位が上がって目立たぬようカモフラージュしているけど、大金をポイント化してダンジョンを育てているね」



 昨年、僕やサーシャもよくやったこの手法は、資産を現金で持つことで低い順位を維持して、ライバルの目を誤魔化せる便利なやり方だ。


 しかしデメリットもあり……ダンジョン育成用のポイントを現金で用意する際、随時更新のランキングに載っているポイント数が、ガタガタと動くため……


 小まめにランキングをチェックしている魔王には、強化中なのを知られてしまううえに、「油断ならぬ相手」として警戒されてしまう可能性もある。



「それにしても……随分と長い間、ダンジョンを強化しているなぁ〜。いくら資産を現金で持っていたといっても、子爵家出身でしょ? 持ちすぎじゃない?」


「あはは。そうかな?」



 しがない平民だった僕には、貴族子弟のお財布事情なんて、去年見た同級生のポイント推移から、推測するしかないんだけど……


 男爵家の養女として育てられたサーシャが言うんだから、きっと本当に「持ちすぎ」なのだろう。



 下級貴族にだって成金など腐るほどいるし、これだけで疑うわけじゃないけど……ユアン、その大金どうやって手に入れたんだ?

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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