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183話 ユアン君の裏の顔




 大満足の様子で<天国と地獄フロア>を抜け出し、目にも留まらぬ速さで走り去った土龍を、接待モードでお見送りした後……


 自由になった僕達は<恵のダンジョン>へ戻り、寝室のベッドにゴロンと寝そべりながら、取引の対価としてもらった「新人魔王の噂一覧」に目を通した。



 分かっているよ……サーシャと二人でベッドに寝転がったら、そのうち彼女に襲われて、再び逝く運命になることくらい……。


 でも昨晩ハッスルし過ぎたせいで完全に腰が壊れて、立ったりイスに座るだけでも、お爺ちゃんみたいにプルプルと震えてしまうのだ!


 マジで、「サーシャ×スマホ」の組み合わせだけは気をつけた方がいい。



「へぇ〜。今回もターゲットになったのは、ルールベル皇国の年若い貴族ばかりなのか。アイツ等、腐るほど金を持っているし……カモ認定されたのかも」


「ふふふっ。私達みたいなのは例外で、一般的な貴族は、若い頃からお金持ちだもんね〜」


「うん。親が積極的に持たせるからな」






 ルールベル皇国の貴族子弟は、学舎で学ぶ間<家柄・資産・親の権力・後継ぎかどうか>でヒエラルキーが決まり、その関係性は大人になっても続く。


 つまり、ヒエラルキー上位で学園生活をおくれるかどうかは、その後の出世スピードも関わってくるため、親は我が子の立場を良くしようと躍起になるのだ。



 しかし<家柄・親の権力・後継ぎかどうか>は、親の努力じゃどうにもならないので、可愛がられた子供は幼少期から多額の資産を持たされているし……


 暴走気味の親に至っては、我が子がハイハイしている頃から名義を借りてビジネスを始め、幼児を「〇〇商会・会長」に就任させたりもする。



 もちろん若い頃から多額の資産を与えて、政争の前哨戦に勝ち抜けるよう準備するのは、理にかなった方法だけど……


 鼻息が荒い10代の頃にそんな環境で育てられた子供は、大抵「性格クズのワガママ人間」に育つため、長い目で見たとき国の為になるかと言えば"否"だろう。



 他人の価値を"そういうモノ"で推しはかり、上位者に媚へつらい下位の者は虐げるような貴族に、民の気持ちを汲み取った政治などできるはずもなく……


 やがて自分達の欲望を満たすために苛政を敷く政治家となり、農民一揆を誘発したり、クーデターで国が滅びる原因にもなるのだから。






「今回、モンティート先輩が忠告してくれた新米魔王は、そんなルールベル貴族の中でも黒い噂のある、元"子爵家の後継ぎ"ユアン君」


 チャットでやり取りした感じでは、「聡く将来についてしっかりと考えている年下の子」という印象を受けたが……


 「四男として生まれたのに、健康だった兄3人が立て続けに死んで、子爵家の跡取りになった」時点で、9割方アウトだろう。



 不衛生な環境で暮らしている平民ならともかく、子爵家の男子が若くして3人も亡くなるなんて不自然すぎる!


 まして「妾腹の兄弟や政略結婚の駒となる姉妹は、誰一人欠けることなく生きている」というのだから尚更だ。



「昨日メッセージをくれた時点では、"まだ裏が取れていない"って話だったけど……くくっ、さすがモンティート先輩。1日で証拠まで詰めてきたか」


 土龍から取引の礼として渡された巻物には、ユアンが裏で暗躍して兄の対人関係を壊したり、恨まれるよう仕向けた状況証拠が記されていた。



「やり方は……身バレ防止を第一優先とした、成功確率の低い策を数打って、最終的に目標を達成するタイプ……。ふんっ、姑息な奴だな」


「オマケにこの子、"父親も時間をかけて毒殺しようとしてた"って書いてあるよ! メグミ君、要警戒!!」


「うん、そうだね」






 ユアンみたいなタイプは、正面から戦って勝てない相手には、表向き絶対逆らわないうえ、外面もいいので……


 もし今僕がアイツを粛正したら、「アイツの裏の顔に気付いていない先輩魔王達」から総スカンをくらいかねないし、援軍を呼ばれて手こずる可能性もある。



 だからと言って放っておくと……気付かぬうちにコチラのテリトリーまで侵入しており、自分が優位な立場を掴み次第、本領を発揮するタイプなので……


 どの段階でユアンの本性を暴露して奴の好感度を下げ、復活せぬよう命を刈り取るかも、判断を迷うところだ。



「いっそユアンの迷宮の場所を人間側にリークして、"悪質な迷宮"という扱いで人間に討伐させるのも、アリかもしれないな」


 多くの民と共存している<恵のダンジョン>は例外として、通常"人間"と"魔王"は「決して仲良くなれない間柄」であり……



 スタンピード等で暴走して人間に目をつけられた迷宮の末路は、多少の差こそあれ、総じて「最奥まで攻略されて、魔王自身も殺される」悲惨なものだもの。


 歴戦の猛者魔王ですらそうなのに、新米のユアンがコレを喰らったら、「抗えずに滅びる」しか道は残されていないはずだ。



「攻め方的にも、ユアンが好みそうな"搦め手"だから気付かれにくく……もし企みが失敗しても、背後で僕が動いたことさえバレなきゃ問題ナシ」


 特に何もやっていない状態で、アイツの命を取ることはしないけど、少しでも「メグミを出し抜こう」とする気配を見せたら、喰われる前に容赦無く潰すぞ!

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
[一言] 吉宗みたいなユアン君 さっさと排除した方がいいと思う
[一言] ユアンくん 恐ろしい子:;(∩´﹏`∩);: 力をつける前に サクッと潰しちゃえ
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