180話 メグミ、文明の利器に驚く
KTC異世界漫画原作大賞・金賞に選ばれたのを機に連載再開しました!
仮置きしていたエピローグを削除すると、せっかく頂いた感想も消えてしまうので、180話は「上書き更新」という形をとっています。
何はともあれ……誠実性は大事なので、ユアン君の黒い噂について教えてくれたモンティート先輩に、掲示板でお礼を述べる。
65 名前:メグミ(78期)
業務連絡:良いヤツ、たくさん入荷しました!
次のブツ交換は、噂Dと引き換えでお願いしますm(_ _)m
あと、この度はご丁寧にありがとうございました!
僕も<有料メッセージ>機能を使えたら、人目につく掲示板でボカした連絡などせずに済むんだけど……
2年目魔王の僕にとって、この手の便利機能は金じゃ買えないモノなので、現状大人しく「<有料メッセージ>機能が開放されるミッション」を待つしかない。
「ん? でも、ちょっと待てよ。異世界の品物って、魔王である僕から見ても"規格外"ばかりだから、もしかして代替品も見つかるんじゃないか?」
仮に僕だけが使える、「<有料メッセージ>機能の代替品」が見つかったら、他の魔王に対する強力なアドバンテージになるし……
サーシャや信用できる相手とソレを共有することで、より快適な魔王ライフをおくれるようになるかもしれない。
そう考えた僕は、最低限の仕事を終わらせた後、<自販機作製S>ギフトに含まれる<セレクト自販機>のカタログを、入念に調べることにした。
ハイドンに勝ちSランクに昇格したことで、<セレクト自販機>はAランク時代の比じゃないくらい便利になったものの……
その代償として、選べる商品が多くなりすぎたせいで、「ギフト保持者(僕)が、全ての商品を網羅できていない状態」になっていたのだ。
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〜セレクト自販機(Aランク時点)〜
雑貨屋・ドラッグストア・工務店で売っている物の中から、好きな商品を10点選び、自販機のメニューに並べることができる。
データの書き換えやリセットは、前の商品選択から5日以上経っていないと行えない。
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〜セレクト自販機(Sランク昇格後)〜
以下の店で扱っている物の中から好きな商品を100点選び、ソレ等をいつでも自販機のメニューに並べることができる。
データの書き換えやリセットは、前の商品選択から1日以上経っていないと行えない。
・雑貨屋
・ドラッグストア
・工務店
・スーパー
・武器屋
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もちろんモンティート先輩が喜びそうな老人グッズや、サーシャに似合う小物類は物色したけど、僕自身が欲しいモノなんてほぼ無いからね。
戦争が終わって必要に迫られる事もなくなったため、つい「今日の仕事が終わったら〜」などと考えているうちに、今日まで来ちゃったんだよ。
<--- パラパラパラッ、パラッ…… --->
"思い立ったが吉日"という事で、見落としがないよう1ページずつカタログを調べていくと、工務店のカタログで興味深い品物を発見した。
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・スマートフォン:30000ロル/月
携帯電話とパソコンの機能を併せ持つ、手のひらサイズの電子端末。
感覚的に操作できるため初心者でも使いやすく、マナが存在する場所なら、どれだけ距離が離れていても自由に相手とコミュニケーションがとれる。
なお月払い契約が解除されたり、残高不足で支払いが滞った場合、そのスマートフォンは凍結され、支払いが再開されるまで使用できなくなる。
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「買い切りじゃなくて月払い契約なんて初めてだし、価格もべらぼうに高い。けど、"相手と自由にコミュニケーションできる"なら……アリだよね?」
高いといっても、一度の"お試し買い"すら躊躇うような価格じゃないし、もし毎月30000ロル支払うことになっても、今の僕なら痛手にはならないだろう。
ならば可能性を信じてスマートフォンを購入し、サーシャと2人でお試しするのも、悪くないんじゃないかな?
そう思った僕は、まず1個スマートフォンを買ったあと、説明書を熟読して使いこなせるようになるまで練習し……
夕方、ダンジョン経営の仕事を終えて女豹と化し、僕を襲いに来たサーシャに対して、新たに購入した色違いの端末をプレゼントした。
「メグミ君、何これ? 新しい大人のオ○チャとか?」
「え〜っと、サーシャさん……一旦、思考をエロから通常モードに戻してください。これはスマートフォンという、自販機で買えるようになった文明の利器です!」
「…………?」
賢いサーシャも、僕が目を輝かせて「文明の利器」云々言ったときは、「武器でもない四角い板で何ができるの?」と言いたげな表情だったが……
目の前でスマートフォンをONにして、どことなくダンマス機能に近い画面を操作して見せたところ、アッという間にスマホさんの虜になった。
「メグミ君、この子いいね! 毎日枕元に置いて寝たいかも♪」
でもスマートフォンにかまけて、僕を構ってくれる頻度が減っちゃうのはダメだよ!
スマホはあくまでもサブであって、その機能を利用して僕等がより楽しい日々を過ごせなければ、お高い契約料を毎月払う意味ないもん!
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!
作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






