172話 自販機作製ギフト・チートになる
現場のまとめ役であるオートマタに連絡すると、「今すぐ40階層へ来て亡骸をアイテムボックスに収納してほしい」と言われた。
カンカン照りの砂漠に死体を置いておくと、すぐ腐ってダメになるから、一刻も早く時間経過を止めたいそうだ。
「サーシャ、悪いんだけどハイドンの監視をお願いしてもいいかな? 30階層へ降りてきたら、殺さない程度にボコっておいて」
「了解♪ メグミ君のステータスを上げる、貴重な栄養源だもんね。加減を間違えないようにモンスター達と頑張るよ!」
「ありがとう。よろしく頼む」
ハイドン自身の戦闘力はそこまで高くないので、復讐に燃えるモンスター達を援護にまわせば、犠牲者なく対処できるだろう。
後回しでも何とかなる仕事を優先させ、せっかくの「SSランク素材」をダメにするなんて勿体ないし、僕は先に「解体作業の手伝い」をしてくるよ。
「執事君。今からソッチへ向かうから、”ハイドンの相手をしたい子”を30階層へ送って! アイテムボックスの容量も分からないから、そのつもりで!」
『かしこまりました。全部入れられるか確認した後、容量が厳しい場合、”傷みやすい内臓”から保存していただきます』
「了解!」
オートマタが待ち遠しそうにしているため、40階層へ移動して「巨大な水龍の亡骸」へ手をかざすと、あっさりとアイテムボックスに収納できた。
収納可能な最大量は後で調べるとして……この容量が収まった以上、今後「銅貨の置き場所」で困る事はなさそうだな。
「メグミ様ありがとうございます! では”0℃固定の解体スペース”へ行き、水龍の素材を剥ぎ取りましょう!」
「うん。大変な作業だけど、得られるものも多いから頑張ろうね! 皆、聞いてくれ! 全部終わったら、味方全員で”水龍の肉パーティー”をするぞ」
「「「「「「「「「「おぉ〜!!!!」」」」」」」」」」
解体班全員で作業スペースへ移動し、水龍の亡骸をバラしつつ素材を回収する。
生前の性格はともかく……「キラキラと輝く鱗」や「プニプニの龍皮」は言葉にできないほど美しく、金持ちが大金を積む理由が分かったよ。
「メグミ様。腹の柔らかい部分から取れたこの特上肉、”肉パーティー”でステーキにするんで、アイテムボックスに保存よろしくお願いします」
「コッチの”筋”は、サーシャ様に調理法を伺って使う予定です。以前他のモンスターを解体したとき、”スジ肉は煮込むと美味しい”と仰っていたので」
「了解。両方とも、腐らないように仕舞っておくね」
「「ありがとうございます!」」
僕は身体が小さく「巨大モンスターの解体」には向かないうえ、ランクアップした自販機作製ギフトの確認で余裕がないから……
解体作業はモンスター達に任せて、保存係に徹しているよ。
主人のくせに、役立たずで申し訳ないけど……未熟なウデで作業を手伝って素材をダメにしたら本末転倒だし、「箱人間」ってことで許してもらおう。
ランクアップしたギフトで良い物を入手できたら、頑張ってくれた皆にも分けるからね!
「う〜ん。Sランクにアップした恩恵は、いつも通り”選べる種類”が増えている事と、自販機を置ける場所の制限が無くなった事? コレ、地味にエグくない?」
Aランクのときは、<恵のダンジョン>と同盟相手である<未設定のダンジョン>内でしか自販機を作れなかったけど、その制限がなくなった。
つまりその気になれば、<恵のダンジョン>があるスクレーン砂漠を自販機だらけにして、旅の冒険者や商人から「お水代」を頂いたり……
敵対した国に大量の自販機を出現させて、現地の店より安く良質な物を販売する事で、お金を吸い出せるというチートギフトになったのだ。
そういう”悪どい事”に使わなくても、モンティート先輩みたいな「良くしてくれる魔王」のところへ自販機を出張させ……
好きに買い物してもらうことで、win-winの取引もできる。
「Aランクのときネックだった、セレクト自販機の制限も大幅に緩んだから、使い方次第では”無限の可能性”を秘めているはずだ」
とりあえずセレクト自販機の枠で、仲間達が喜びそうな物を買って……応用技は、おいおい試していこう!
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〜セレクト自販機(Aランク時点)〜
雑貨屋・ドラッグストア・工務店で売っている物の中から、好きな商品を10点選び、自販機のメニューに並べることができる。
データの書き換えやリセットは、前の商品選択から5日以上経っていないと行えない。
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〜セレクト自販機(Sランク昇格後)〜
以下の店で扱っている物の中から好きな商品を100点選び、ソレ等をいつでも自販機のメニューに並べることができる。
データの書き換えやリセットは、前の商品選択から1日以上経っていないと行えない。
・雑貨屋
・ドラッグストア
・工務店
・スーパー
・武器屋
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この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






