147話 不平等は争いを生む? 歓迎です
〜ハイドンside〜
「ふぅ〜、ようやくか」
当初の予定よりも時間はかかったが、致命傷になる程の消耗はなく、<手形フロア>にたどり着くことができた。
ここから下は「時間稼ぎ特化の階層」がいくつか続いたあと、ボス部屋・コアルームがあるだけ。
20階層の<中ボス部屋>を攻略したら、魔王掲示板での下品な煽りも止まったし、クソ餓鬼共が泣きわめくまであと少しだ!
「ハイドン様。<手形フロア>は透明化ギフトが通じない、厄介な階層なんですよね? 水龍にマッピングさせ、私達へ認証を集中させる作戦ですか?」
「いや……<手形フロア>は、単純労働が得意なゴーレムに先抜けさせる。この先の23階層で、アルバイトを強制体験させる”時間稼ぎ”が待っているからな」
「なんと言うか、"メグミ"ってとことん性根の腐った輩ですね」
「あぁ、クズの極みだ」
本来ならアリスの言うとおり、魔王と主力モンスターに認証を集中させるべきだが……端金での強制労働など最低限しかしたくない。
ナステックも23階層で連絡が途絶えたから、先に「単純労働が得意なモンスター」を行かせ、身の安全を確保しつつ楽に切り抜けるべきだろう。
「クルス、アリス。儂らは2日間、フロアの中央で休憩じゃ。認証装置不足で時間がかかるゆえ、英気を養い下層階の”時間稼ぎ”に備えよ」
「了解っス」「分かりました」
特殊な水を使った水龍のマッピングで、<手形フロア>の地図を完成させた儂は、ゴーレム200体に認証を集中。
次点として「単純労働が得意なモンスター」500体を、認証装置の取りこぼし防止要員とし……効率的に、手形認証を進めていった。
「メグミは、”定期的に壁の位置を変えればマッピング出来ない”と思っておるようじゃが、装置の前に常時2体以上待機させておけばいいだけ」
このフロアの装置は、認証させた後の”待ち時間”が15分もあるのだから、待機組が認証する間に「新たなルート」を探せばタイムロスなど発生せぬよ。
攻略に必要なフロアの一部を、故意に塞ぐことはできぬから……突破を恐れたガキ共に、認証装置を隠される心配もないしのぉ。
「…………!! ハイドン様、認証で端に散っていたモンスターが何体かいなくなっております。また敵が”コソ泥”したのかと」
「構わぬ。極力単独での行動は避け、その上で罠に掛かるなら見捨てよ。<手形フロア>は、ロミオットとホムビッツを殺した”最終防衛ライン”でもあるのだ」
「かしこまりました」
幸いなことに、削られているのはクルスとアリスの配下ばかり。
しかも居なくなられると困る「エース格」ではなく、「高ランクだけど替えがきくモンスター」ばかりだから、”必要な犠牲”と割り切るべきだろう。
「「…………zzZ」」
奴らの主人であるクルス達も、上層階の「卑劣な仕掛け」によって疲れきり、報告の声が響いても起きないほど深く眠っているから、事後報告でOK。
どうせ25階層あたりが<ボス部屋>じゃろうし、そこを攻略すれば大抵のことはカバーできるから、「成果を優先した」と言えば納得するはずじゃ。
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〜メグミside〜
戦力の集まっている中央部から離れ、端の方の認証装置に手を置くSランクモンスターを、連動トラップにはめ27階層へ叩き落す。
後ろで認証待ちしていたサキュバスは、目を見開いて慌てているけど……大丈夫だよ。
一生懸命「ココは危ない」とメモをとったところで、発動はランダム(または僕の気分次第)だから、地獄へ落ちるかは運次第さ。
「メグミ様。クルス配下のポジションが良く、トラップにかけるとバレる状況です。いったん、アリス配下のモンスターを処理してもよろしいでしょうか?」
「うん。そこら辺は執事君に一任するよ。ハイドンが信頼している”10体ほどの側近”さえ狙わなければ、奴らも手出しはしてこないだろう」
クルスの配下ばかり狙うと”あからさま過ぎる”ので、ポジションが難しくリスクが高いときは、アリスの配下も狩ることにしている。
「透明化&火属性」という、”寒さ”と”トラップ”泣かせのクルスを最優先で仕留めたいけど、アリスの<魅了ギフト>も喰らいたくないからね。
あのオバサンの護衛を削れるなら、第一希望でなくても万々歳だよ!
「メグミサマ。コッチ……テキノショリ、オワリマシタ。ツギノヤツ、キボウシテイマス」
「了解! ガードが緩そうなの探して、ソッチへ送るね!」
「アリガトウゴザイマス。ハヤク、ヤリタイ」
“新米狩り”配下が罠にかかった先には、ロミオット達の配下時代に散々イジメられたモンスターが、「復讐しよう」と大勢で待ち構えているし……
討伐計画のノルマ的にも、まだまだ食い足りないから、もっとたくさん狩らせてもらうよ。
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






