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144話 メグミなりの結論




 たわいもない世間話から抱えている事情まで、互いに一歩踏み込んだ話をしたあと、モンティート先輩は「また今度〜」と言って通信を切った。


 序列1〜5位が300歳超えで、もう引退(自刃)を考えているという事実が衝撃的すぎて、何度か敬語が吹っ飛んだり失礼な発言をしちゃったけど……


 先輩は責めたりせず、「メグミ君は優しいね」と笑って流してくれたよ。



「ハァ〜。優しい人なのに、お別れを考えなきゃいけないのは嫌だなぁ。でも本人達が”生き飽きた”って言うんだから、意思を尊重しないとダメだよね」


「250年以上もダンジョンに引きこもっていたら、飽きるのも無理ない気がする。ライバルも碌にいない状況だろうし、心をかき立てる刺激がないんだもん」


「たしかに」



 モンティート先輩は次世代のマトモな奴が育ち次第、自刃するか僕らの糧になるつもりらしいけど……コチラが納得できるかは別問題だ。


 決断を下すのは彼や<農民>同盟の先輩方だが、次世代が育つまでの間に楽しい刺激を与え、「もう少し生きたいかも」と欲を持ってもらいたい。



「あっ! メグミ君、モンティート先輩からメッセージが届いたよ。ふふっ、筆まめな方で素敵♪ 若い頃はモテモテだっただろうね」


「どれどれ……おぉっ! 先輩らしいメッセージだ」






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜お話してくれてありがとう〜



メグミ君・サーシャちゃん、さっきはお話ししてくれてありがとう。


久しぶりにフレッシュな若者と喋れて、新鮮な気分になったよ!



<農民>同盟は、君たちが成長するのを望んでいるけど……それは、あくまでも僕らの都合。


君たちが青春をエンジョイしたいなら、襲撃で命を落とさない程度に警戒しつつ、イチャラブしたり「ニート魔王」になるのもありだと思ってる。



スジの通った考え方と温かみのある心を失わない限り、僕は君たちを狩ろうとは思わないし、「若いなぁ〜」とニヤつきながら応援するよ。


魔王である以上「自衛できないのは罪」だから、悪い奴らに滅ぼされそうになっても助けるつもりはないけど……二人のこと気に入ってるんだもん。



だからジジババの戯言は話半分で聞き流して、自分たちが納得できる生活をおくってね。


若い頃の時間ってすごく貴重だし、かけがえのないモノだから!



*追伸*

土龍のキアラが、「老人グッズたくさん買えた」って教えてくれたの!

正直、今メチャ楽しみにしてます!

使い心地を確かめたら、またメッセージ送るね♪


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 こういう事をサラッと言えちゃう人だから、「テメェ等の都合なんざ知るか。勝手に死んどけ」と思えないのよ。


 やっぱり、モンティート先輩にはあと300年くらい生きてもらい……交流を深めていきたい。






『メグミ殿・サーシャ殿、儂もそろそろ帰るとする。主様が、子供のように騒いでおるからのぉ〜』


「キアラさん、今日はありがとうございました。また会いましょうね!」



『うむ。いずれ余裕ができたら、メグミ殿とサーシャ殿も主様のダンジョンに来てくれ。難度は高いが、攻略しがいのある楽しい場所じゃぞ』


「はい。余裕ができたら、こちらから伺わせていただきます」



 大量の商品を詰めたマジックバッグを片手に持ち、罰金を払って<試練の間>をあとにする、モンティート先輩の側近<キアラ>さん。


 その姿をコアルームのモニターで確かめながら、僕とサーシャは大きなため息をつきソファーに座った。



「とりあえず、自販機限定の品物とスクロールの物々交換は成功! 話の内容が衝撃的すぎてどうでもよくなっちゃったけど、序列1位との取引完了だ」


「うん、そうだね。メグミ君、現場についてくれていた皆も……お疲れさま〜!!」






 ひとまずの区切りと判断した僕らは、<恵のダンジョン>へ戻り……”新米狩り”の様子を観察しつつ、一晩ぐっすりと休んだ。


 今後の方針について話し合うにしても、僕・サーシャともに考えを整理できていないため、時間が必要だったのだ。



 11階層付近で殺気を振りまいている”新米狩り”は、もう少し下の階層に来てから殺す予定だし、数日放置でいいだろう。


 モンティート先輩の話を先に消化しないと、落ち着いて屠ることも出来ないから、24時間平常心を維持できるオートマタにお任せします。



「ねぇ……。メグミ君は1位目指すことにした? モンティート先輩の望みどおり、彼の志を継ぐつもり?」


 一晩考えたことで気持ちを整理できたのか、サーシャは穏やかな表情で僕に問いかけてくる。


 自分の意見を先に主張すると、僕のが”考え”を曲げて合わせるかもしれないので、先に言わせたいようだ。



「うん。先輩を害して……とかは嫌だけど、1位を目指して頑張る決意は固まった。邪神がクズばかり魔王転生させる以上、弱かったらいずれ酷い目にあう」


 ヒエラルキートップがクズだと下の者が苦労するのは、学生時代ロミオット達にイジメられ、嫌という程学んだ。



 僕一人のことなら、「備えない魔王が悪い。自業自得」と言えるけど……今はサーシャがいるからね。


 何十年・何百年後であっても、彼女を不遇な目にあわせたくはない。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
[一言] 遠い未来に優しい先輩を送り出す選択はありだけど、その前にクズ魔王をバンバン糧にしていかないとね。 クズを放置して優しい魔王達介錯したらやばいっしょ。
[良い点]  自らはポイントとして吸収され、有望な若者に未来を 託そうという、おぞましくも暖かい先輩の考え。 [一言]  介護要員も必要ですね……
[一言] もう1人のヒロインはいつ出ますか?
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