124話 頭の血管がはち切れそう
〜ハイドンside〜
「クソッ。<未設定のダンジョン>へ差し向けた討伐軍だけでなく、ホムビッツとロミオットまで殺られるとは! せっかく、この儂が投資してやったのに」
いくらダンジョン戦が防御有利とはいえ、<改造阻害>と<聖なる祈り>で敵の足掻きを封じ、数で攻め潰せば突破できると思ったが……
用意したコマが雑魚すぎて、クソガキ共にしてやられた!
「ふぅ〜。<恵のダンジョン>の22階層は、時間稼ぎ丸出しのフロアだった。残り階層が少なく、足掻くための最後の砦にも見えるが違和感もある」
ロミオットが死んだ前後で、サーシャのポイントが増減しなかったので……奴等のモンスターが枯渇しているとは考えにくいのだ!
<恵のダンジョン>での攻防戦に移ってからは、殺戮ポイントランキングの数値がほとんど増えていないから……
敵はSランクモンスターとの直接対決を回避し、魔王だけをピンポイントで撃破した可能性が高い。
もしかすると……22階層には時間稼ぎだけでなく、「魔王と配下を分断するトラップ」も仕掛けられており、それにバカ二人が引っかかったのかもしれんな。
「<恵のダンジョン>の最下層は、25階層付近だと思うが……。本当に追い詰められているのか? それとも、儂をおびき寄せるための罠?」
ひと思いに攻め潰したいところだが、命の残機は一つしかないわけで……ここは念のため引いた方が良さそうだ。
「うむ、そうだな! 12位に落ちてしまったとはいえ、10位のメグミが殺戮ポイントを稼げなかった以上、致命傷となるほどの差は開いていない」
予定外ではあるが……いったん引き上げてナステックのコアを潰し、殺戮ポイントランキング10位圏内に入ったあと、自分の城で戦力回復。
メグミ&サーシャのことは忘れて、79期が合流次第スムーズに刈り取れる状況へ持っていくのが、今回の最善手だと思う。
「ハイドン様っ! これをっ、これをご覧ください……!! 城からの連絡です。魔王掲示板に、ハイドン様の情報が書き込まれたと……」
「なにっ!?」
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タイトル:底意地悪い先輩の個人情報暴露します
1 名前:メグミ(78期)
<恵のダンジョン>を襲っている10期のハイドン先輩、恐ろしく性格が悪いので、仕返しに個人情報晒します。
もうすぐ合流するであろう79期の子含め……彼の残虐性に悩まされてきた皆様、どうぞ参考にしてください。
ハイドン(249)
種族:魔人族(魔王)
職業:ダンジョンマスター
HP:42989/42989
MP:13712/13712
スキル:剣術B・格闘術B・火魔法E・水魔法A・風魔法C・土魔法F・回復魔法E・物理耐性B・精神耐性C・偽装B
ギフト:改造阻害
その他:称号 (新米狩り)
〜改造阻害〜
他の魔王が管理するダンジョンへ侵入している間、そのダンジョンの改造を阻害できる。元々設置されていたもの・ギフト絡みのオブジェクトには、効果が及ばない。
〜その他の特徴〜
主力の<水龍>はじめ水属性のモンスターが多く、敵対する魔王のダンジョンへ突撃しやすいメンツを揃えている。
ギフト<改造阻害>は本人がその場にいないと使えないので、ダンジョン攻略中に現場を離れる事はない。
性欲旺盛なのか、1日に15回ほど自らを慰めている。
2 名前:モンティート(1期)
ルーキー君ナイス!
しかし……200年以上魔王やってるくせに、未だに”新米狩り”とか情けない奴だな。
オマケに逆襲されてんじゃんww
3 名前:アスタリア(2期)
それ言っちゃダメですよ、先輩ww
ハイドンは、1桁順位の魔王には決して挑まない臆病者なんだから。
公の場で本音を漏らしたらイジメになっちゃいます!
4 名前:モンティート(1期)
そうだな。
萎びたジジイは、頑張っている後輩君の活躍を見守るよ。
5 名前:メグミ(78期)
僕のダンジョンを20階層まで攻略した方に対して、魔王・モンスター・人間問わず、「ハイドン先輩の秘密」を銅貨3枚で特別販売いたします。
1日10セット限定なので、ご興味のある方はぜひお越しください。
〜販売中の秘密(一例)〜
・カツラを取ったハイドン先輩の生写真
・先輩が<ピー>のオカズにしている魔王とは?
・心の内をつづったポエム
・”新米狩り”仲間の悪口記録
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あまりの衝撃で一瞬頭が真っ白になり、事態を飲み込むとともに怒りがこみ上げる。
「誰が一日15回男じゃ!! 生理現象を暴露するなど絶対に許せん! それに儂は、他者より少し髪質が柔らかいだけ。断じてハゲてなどおらんわ!!」
儂のステータスを看破し、それを掲示板でさらした無礼については100歩譲って認めよう。
非常識極まりない行為だが、ダンジョンの改造が出来ぬなか22階層まで攻め込まれ……他に手がないほど追い詰められた証でもある。
だが他者のプライベート……ましてカツラ・自慰行為・ポエムなど、センシティブな部分を暴露するなんてあり得ない!
どういう育ち方をしたら、ここまで醜悪な性格になれるんだ!?
「モンティートとアスタリアの爺婆も同じだ! ここぞとばかりに儂を嘲笑い、臆病者扱いするなんど! 許さん。絶対に報復してやる!」
そなた等が目をかけたクソガキ共をズタズタにし、ウジの湧く死体を送りつければいいのだろう?
今に見ておれ……儂が、「格下しか狙わぬ臆病者」でない事を示してやるわ!!
「メグミが”奥の手”とも呼べる<暴露>を、このタイミングで行ったということは……予想どおり、コアルームは25階層付近にある」
内部情報をほぼ把握できている、今がチャンスなんだ。
クルスとアリスにも連絡をとり、<改造阻害>の効果を途切れさせることなく力押ししてやる!!
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!
作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






