表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
120/958

120話 元皇太子の最期


〜ロミオットside〜




 配下の所有権を渡せという理不尽な要求を受け、「ふざけるな!」と突っぱねたら、突然体中からキモい虫がわいてきた。


「いっ、嫌だ!! そんなっ……私の身体がっ、うわああぁぁっっ!? やめろぉ。やめてくれぇぇぇぇ〜っ!!」



 この害虫どもは今、明らかにメグミの意思で動いた!


 コイツ……どこかのタイミングで、私の体内に<寄生型モンスター>を仕込んだのか!



「大人しく自分の負けを認め”所属変更の同意書”にサインすれば、考えてやらなくもないぞ。放っておいたら虫の餌になって死ぬけど……どうする?」


「ふぇぇ……私の負けっ、負けデズ〜!! 生涯メグミ様の下僕となるので、命だげは助けてぐだぁざい〜!!」



 腹立たしいことこの上ないが、<寄生型モンスター>に身体を蝕まれたとあっては、降伏し媚びへつらうしかない。


 体内から寄生虫を除去するまでの時間と、メグミが奴らに命令を出し私に致命傷を与えるまでの時間……どう考えても後者の方が早いからだ。



「オッケー! 虫に食われる最期は勘弁してやるよ」


 私が恥も外聞も捨てて泣き叫んだことで、いい気分になったのだろう。


 メグミは寄生虫による拷問を中止し、コチラへ近付いてきた。



 分かっているなロミオット、今は耐えろ……ハイドンに蹂躙され虐げられたときと同じだ。


 地に伏しメグミの靴を舐めてでも生き残って、体内の害虫を除去してから奴に噛み付く!


 そして、奴の持つ全てを奪い……



「ミッション用の手形を取ったあと、ルーレットの臓器提供で……”心臓”をもらってお終いだ。良かったな、まだお前にも存在価値があって」


「えっ?」



 心臓なんて取られたら死んでしまう!


 この拘束を解いて私を下僕とし、ホムビッツとナステックを蹂躙するんじゃないのか?






「せっかくだから、最期に自分の腹わたを抜かれるところ……見ていきなよ。ウチの子達を回収しないといけないから、心臓以外もバラすけどね」


 メグミが薄気味悪い笑みを浮かべそう呟くと、天井から大きな鏡が現れ、無残な姿となった私を映し出した。



<−−− メグミ様がお望みなので、地獄ルーレットの内容を書き換えました。”臓器提供ミッション”は、”肉体提供ミッション”となります −−−>


<−−− 配下一同が願った結果、ロミオットには”肉体提供ミッション”が課せられました。遺体の埋葬は行いませんので、あらかじめご了承ください −−−>



 メグミの動きに合わせて、オリハルコンゴーレム共がミッションの内容を書き換え……無理やり、その箇所で<地獄ルーレット>を止める。


 横で待機していたサーシャまで、汚れてもいい白衣を着て顔にシールドマスクを装着し、長くて美しい髪を一つに束ねて……



「ギャアアァァァッッッ!? 股が! 私の大事な<ピー>が!?」


「チッ! 気持ち悪い視線をサーシャに向けるんじゃねぇよ。お前が見ていいのは、内臓を抜かれて黒く澱んだ自分の腹だけだ」



 たまたまサーシャの姿が目に入っただけなのに、メグミの野郎……私の大事な<ピー>を潰しやがった!


 許せない。



 出来る事ならここから逆転し、奴をボコボコにしたいところだが……それが無理でも、せめてレイスとなって取り付いてやる!


 そして奴を「正常じゃない状態」へ誘い、ダンジョンごと自爆させて……






「…………ッッッツ!?」


 自身の生が残りわずかなことを認め、私をコケにしたメグミに報復するため、レイスとなるべく自我を保とうとしていると……


 奴が腹を切り裂くと同時に、例えようのない苦痛が私を襲った。



 おかしい、どういう事だ!?


 腹に風穴をあけられたり、ハイドンに身体を裂かれた経験はあるが……ここまでの痛みは感じなかったはず。



「へぇ〜、なるほど。聖魔法をまとった剣で肉体を切り裂いたら、傷が浅くても魔王は激痛を感じるんだ。僕自身も痛むのか、あとで試してみないとな」


 コイツ、何を言ってやがる?


 聖魔法なんて、勇者や聖女しか使えない代物……なんでメグミなんかが……。



「あぁ気になるのか。先祖に勇者がいた関係で、ホムビッツを屠ったとき覚醒したんだよ。だから安心しろ。アンデッド化しないよう浄化くらいはしてやる」


 そんなっ、まさか下層民だったメグミが……勇者の末裔?



「メグミ君。所属替えした子達が、ロミオットの最期を見たがっているんだけど、モニター繋いでもいいかな? 虐げられた鬱憤を晴らしたいんだってさ」


「勿論いいよ。主人が無能すぎて苦労したんだし、”元凶の死”は確認したいよね。消化管引き抜いたらあっという間に死ぬから、それまでに繋いじゃって」


「は〜い♪」



 サーシャの声とともに、モニターへ映し出されたかつての手駒からは……「助けられなかった謝罪」や「後悔の念」ではなく、私の死を喜ぶ言葉が聞こえる。


 なぜ私は何もかも失い、「服従していたはずのモンスター」にまでバカにされているのだろう?



 どうしてメグミばかりがいい思いをし、私が得るはずだったもの全てを奪っていく……?


 私の……存在意義は…………

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ロミオットの根性だけは尊敬できる。これほどまで嬲られ死を目前にしてもレイスとなり恨みを晴らさんとする姿は思慮さえ持ち合わせていれば覇王になれただろうに。惜しいな
[良い点] 展開が早く読みやすくて続きが気になる。 [気になる点] 余りに悍ましい表現に読み進めるのが苦痛になってくる。主人公の性格は仕方なしにしてもヒロインが怖い。サイコパス。 [一言] これからも…
[良い点] タイトル回収おめでとう。 [気になる点] そろそろハイドン気付かないかな?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ