117話 地獄のオーダーメイド
〜ロミオットside〜
怒りと吐き気で頭がどうにかなりそうだが、尻の処理を済ませねばズボンすら履けぬため、便所紙を使いクルクルと寄生虫を巻き取っていく。
回収した寄生虫が手指にひっつき、気持ち悪いことこの上ないが……ドアが閉まっていて、新しい便所紙を買えないのだから仕方ない。
今あるゴワゴワした6枚の紙で、どうにか巻き取る以外ないのだ!
「しかし、この動く小部屋……。おそらく、勇者伝に記されている”エレベーター”を模したトラップだと思うけど……一体どこへ連れて行かれるのかな?」
私がメグミの立場なら、「難攻不落の階層」へ一人置き去りにして、助けを呼べない状況でモンスターに殺させるか餓死を狙う。
密閉空間へ閉じ込めるのは「運営ルールに違反する行為」だから、トラップだらけのフロアや巨大迷路へ放置するのが無難なのだ。
0階層まで押し上げ、地上へ放り出すという方法もあるが……体感的に、このエレベーターは下へ降りているので……今回は除外してもいい。
「罠にはめられた時は焦ったけど、むしろ好都合かもしれんな。下の階層へ行けるなら、<手形フロア>もすり抜けられるしコアルームにも近付ける」
今私がやるべきは、一刻も早く寄生虫からケツを解放し……部下が駆けつけるまで、連れて行かれたフロアで生き残ること。
だから虫共、クネクネするんじゃねぇよ!
<−−− 目的地へ到着しました −−−>
「おぃ、ちょっと待て……早すぎるぞ! まだ尻が惨事だし、ズボンも履けていない!」
<−−− あと10秒でドアが開きます −−−>
「クソッ!」
私の主張をあざ笑うかのように、重厚な造りの自動ドアが開き始めたので、素手で無理やり処理を済ませズボンを引き上げる。
ドアが開いたら、比較的安全でモンスターの死角になりそうな場所を見つけ、そこへ隠れて「パンツの中で蠢いている寄生虫」の残りを……
「「「ターゲットを視認しました。拘束します」」」
「えっ? いや、さすがにソレは卑怯……ギャアアァァァッッッ!?」
これからの予定を立てつつ、ドアが開くのを待っていた私の前に現れたのは、キラキラと輝くオリハルコンゴーレム3体。
踏ん張ることすらままならない状態で、護衛を一人も連れていない私が、こんな化け物に対抗できるわけもなく……
あっという間に両手を拘束されたうえ、鬼のような往復ビンタをあびせられ気絶。
目が覚めたときには裸にひん剥かれ、<天国と地獄フロア>で散々な目に遭わされたのと同じ、「悪魔の拘束台」に乗せられていた。
「ぅん……?」
<−−− 魔王ロミオットが目覚めました。メグミ様のご用事が片付くまでの間、余興として”地獄ルーレット”を行います −−−>
状況がさっぱり分からず戸惑う私に対し、モニターの隣にある機材から無機質な音声が流れ、オリハルコンゴーレムがルーレットを運んでくる。
まさか気絶している間に、<天国と地獄フロア>へ戻されたのか!?
いや、あそこはミッションの内容が決まるまで全自動だから……!!
〜地獄ルーレット・ミッション一覧〜
<微妙>
・たわしプレゼント
<ちょっと地獄>
・すね毛を抜かれる。モテ男への第一歩だよ^^
・眉毛を剃られる。元々ブサイクだから大差ないかも(^_^;)
・深爪の刑。血が出ないギリギリを攻めます!
<地獄>
・金属ビンタ100発。もうマトモな顔には戻れない(泣
・毛根死滅。フサフサの頭と永遠の別れを……
・<ピー>映像の追体験をしよう! 自分のね♪
<大地獄>
・新しい扉を開こう! ナステックはもう開いたよ^^
・臓器提供。マスターは心臓をお望みです♪
・奇食チャレンジ。蛆虫が湧くまで発酵させた生肉編
発狂したくなるほどムカつくのは勿論だが……このルーレット、どう見ても私用に作られているぞ。
やはりここは1階層ではなく、エレベーターで降りた先の深い場所!
コアルームのすぐ側にある、「メグミが絶対の自信を持って創った」フロアの一室だと思われる。
「フゥ〜。フゥ〜。フゥ〜。抑えろロミオット、大義を成すためここは堪えるんだ……!」
<天国と地獄フロア>では反抗するたび尻を叩かれ、「キチガイに逆らうとロクなことがない」と学ばされたからな。
ここは大人しく<幸運系アイテム>の力を信じ、軽めのミッションで時間を稼ぎながら、部下が応援に駆けつけるのを待つ……ん?
「私は、今”素っ裸”だよな? という事は、<豪運のネックレス>と<幸運のピアス>は……」
<−−− ルーレットの邪魔になるアイテムは全て奪いました。またルーレットは手動で行いますので、あらかじめご了承ください。では、スタート −−−>
意味不明な音声が聞こえた途端、オリハルコンゴーレムがルーレットを手動で回し出し……故意に<大地獄>の場所で止める。
<−−− メグミ様が”要調教”と仰っていたので、”新しい扉”を開くことに致しました。<ピー>動画は、永遠に素材として使用します。ご了承ください −−−>
「何言って……アギャアァァァッッッッッ!!!?」
そしてオリハルコンゴーレム3体による、ルーレットとは名ばかりの凄惨なリンチが始まった。
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






