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116話 気付かぬ間に寄生されていた


〜ロミオットside〜




「あぁクソッ、まだ半分も終わらないのか! いったい何時まで、<手形認証>とかいう”クソみたいなお遊び”しなきゃならねぇんだよ!?」


 22階層は、ルーキーの中でも「深く掘っている部類」だし……コアルームへ入らせないための時間稼ぎなんだろうが、恐ろしくストレスが溜まる。



「まったく、品性のカケラもない能力だわなぁ」


 <ピー>動画の放映やチマチマとした資金回収……人をイラつかせる才能だけなら、天下一品の野郎だぜ。



「ロミオット様。ホムビッツ様とその配下が、突然姿を消しました。認証をクリアし先へ進んだとは思えないので、おそらく罠にかかったのかと……」


「このフロアは”危険なニオイ”がします。お身体に何かあってからでは遅いので、くれぐれもお気をつけください」



「ふんっ! 細々とした罠はあるが、<幸運系アイテム>を身に着けている私が、そのようなモノ恐れると思うか? ホムビッツは間抜けだっただけだ」


 最深部間近であることを考えると……むしろ、部下共々このタイミングで自滅してくれて良かったと思う。



「くだらない事を気にしていないで、貴様らは1秒でも早く認証装置を見つけろ! スピード勝負で、ナステックに負けたらどうするんだ!?」


「「「「「申し訳ございません!」」」」」



 あと少し……ナステックを出しぬきメグミもろとも惨殺すれば、このダンジョンは私のものになる。


 魔王<ロミオット>の命運をかけた、一世一代の大勝負……失敗は許されない!!






 焦りを抑えながら部下を叱咤激励し、認証装置に手形を読み取らせていると、突然「腹の中で何かが動いた」ような気配を感じ……


 次の瞬間、例えようもないほどの”腹痛”と”便意”が私をおそった。



「うおぉぉぉっっっ!! 漏れるっ、クソが漏れる〜!!」


 将来の魔王皇帝として、「赤子のようにたれ流す」など論外なので……崩壊しそうになる尻を抑えながら、根性でトイレまで移動する。



「銅貨っ、クソッ銅貨が入らねぇ!」


 必死の思いでケツ筋を引き締め、震える手で「トイレ利用料の入金口」に銅貨を放り込んだあと、私は便所紙を6枚購入して個室に入った。



「ハァ……ハァ……ハァ……。少しチビったが、辛うじてズボンの被弾は免れた! まったく、このトイレ……使い勝手悪すぎるだろ!?」


 売られている便所紙がゴワゴワしているうえ、利用料と販売スペースで2回も硬貨を入れねばならず、身体を動かすたびに衝撃が走って発狂しそうだった。


 そのうえ便所紙価格もボッタクリなんて……意地汚いメグミの性格が、これでもかというくらい反映されてやがる!



「ぅん、なんだ? 今、クソと共に何かが出たような……」


 嫌な予感を押し殺し、尻を拭った便所紙を確認してみると……紙の上には「細長い糸みたいな虫」が何匹も貼り付き、ウニョウニョと動いていた。



「うっ、うぎゃあぁぁぁ〜っ!?」


 キモい、キモすぎる!!


 なぜ私の尻から、このような悍ましい下等生物が出てくるのだ!?






「ロミオット様、ご無事でございますか!? すぐに参りますゆえ、もう少しだけ堪えてください!」


「ハァ……ハァ……心配無用、入ってくるな! ケツ事情に問題が起きただけだ」


「かしこまりました(ケツ事情に問題って……上層階でオリハルコンゴーレムに<ピー>され過ぎて、痔にでもなったのかなぁ?)」



 叫び声に反応した護衛どもが、トイレのドアを破壊し中へ入ろうとしたので、それを制止しキモい虫と向き合う。


 構造的特徴から判断して、コイツは……庶民の腹に寄生すると言われている、”下品虫”か!



 以前大臣から、「宿主が食べた栄養を奪い、貧乏人の財布をさらに軽くする疫病神だ」と聞いたことがある。


 なるほど……<恵のダンジョン>には下民が多く住み、すこぶる不衛生なので、私も知らず知らずのうちに寄生されてしまったのだな。



「ふぅ〜、仕方ない。不愉快な事この上ないが、”虫下し”は念のための備えとして持ってきた。ソレを飲めば、数日で全て流れるだろう」


 モンスターだけでなく、このような気持ち悪い生物兵器まで付いてくるとは……つくづく卑しいダンジョンだ!






「とりあえずクソを出し切り、出来るだけ虫を巻き取ってトイレから出よう。場合によっては、便所紙を追加購入……ん?」


 おかしい。



 今なんとなくだが、「フワッ」と身体が浮くような感覚をおぼえた。


「おぃこの感じ……もしかして、このトイレ動いているのか!? 手洗い場すらないのに、高額な利用料を取っておいて罠とかありえないだろ!?」



 護衛を連れて入るわけにもいかないトイレという「プライベート空間」に、鬼畜なトラップを仕掛けるなんて……メグミの野郎。


 再会した暁には、その「卑怯極まりない脳ミソ」がグチャグチャになるまでぶん殴り、寄生虫がはい回っているだろう”肥溜め”へ放り込んでやる!



「うおっ!? このクソ虫、勝手に尻から出て動くんじゃねぇよ! うわぁぁっ、気持ち悪ぃ……」


 マジで最悪だ……。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
協賛 目黒寄生虫館 (笑)
[一言]  うへぇ……  仇役の描写とはいえ、やっぱ寄生虫はきつい。
[良い点] 順調にクズがザマアされていきますねw 最低な人間がザマアされるのは気分がスッキリするから好きです。
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