113話 <Mr.風見鶏>の最期
念のためSランクモンスター3体を護衛につけ、オートマタの案内でホムビッツの元へ向かうと……
全裸で拘束台に縛り付けられた奴は、身体の各所から寄生虫に「こんにちは」され、ギャーギャーと泣きわめいていた。
「へぇ〜、お前って”そういう趣味”持っていたんだな。個人の性癖を否定する気はないけど、ダンジョンは家の中じゃないんだし控えてくれないか?」
「この人下品だよね〜。モニターに映る姿全てが情けなくて、元々低かった評価が地面を抉ったもん。貴方ほど”存在が恥ずかしい男”……初めて見たわ」
サーシャと共に挨拶がわりの”煽り”を入れると、僕らの存在に気付いたホムビッツは、あらん限りの力を込めて言い返してくる。
「ふざけんなっ、社会の底辺で生まれたゴミが!! 隣の尻軽女と一緒に、性病まみれの娼婦にでもなりやがれっ!!」
<−−− ダンジョンマスターへの暴言が確認されました。ペナルティーとして、鞭打ち100回を行います −−−>
せっかくなので懐かしのアナウンスを入れ、護衛として連れてきたオリハルコンゴーレムに、力いっぱい尻を引っ叩いてもらう。
「痛ぃっ、痛いよ! ふえぇぇ〜ん、ゴメンナサイ! もう反抗しないから許してください!!」
すると奴は、「僕を罵倒→後ろ盾の存在を匂わせる→泣いて許しをこう」の醜いテンプレで態度を改め、「命だけは助けて!」と懇願するようになった。
「惨めにも程があるだろ。その腐りきった心を入れ替え、地上にいるハイドンを倒すために協力するなら、多少の配慮はしてやるけど……」
「なにっ!?」
交渉しやすい状況になったので、ポーションと激辛ソースを見せ「どっちを擦り込まれたい?」と脅しながら、裏切りを打診。
すると<Mr.風見鶏>のホムビッツは、「助かるかもしれない!」と勘違いして……前の主人であるハイドンや、”新米狩り”の先輩方を罵倒し始めた。
「私は奴らにコアルームを占拠され、無理矢理<恵のダンジョン>を襲わされたのです! 断じて、自分の意思ではありません!」
どれだけ言い訳を重ねたところで、これまでの経歴が「強者の威を借り弱者を脅すクズ」と物語っているのだが……
それを認め、自らの足で歩けるよう努力できる奴なら、最初からこんな事にはなってないし……
生まれた時から上下関係がすり込まれている、「ダンジョン所属のモンスター」にまで見限られたりしないよね。
「諸悪の根源は、78期魔王から搾取し私腹を肥やしたハイドン達です。どうか私にも、奴らに一矢報いるチャンスをください!!」
“反面教師”として、これほどの逸材はそう居ないから……「似たような外道」に堕ちないためにも勉強させてもらうよ。
「あっそう、分かった。お前が反省しているなら、慰謝料代わりに配下の所有権をよこせ。それでチャラにしてやるよ」
「えっ!?」
とりあえず……ウ○コの細菌で死ぬ前に、モンスターの所有権だけは譲ってもらわなきゃいけないので、そこら辺の承認作業へ移る。
「あっ、いやその……流石に配下を取られるのは……。元クラスメイトなんだし、ペナルティーとかは穏便に……」
「事情がどうあれ、掲示板でサーシャを罵倒したうえ僕のダンジョンを攻撃したんだ。目に見える形での”落とし前”は必要だろ?」
「えっと……」
「なんなら心折れるまで拷問して、無理矢理”名義変更”してもいいんだぞ。”情けない体勢”で拘束されているお前に、選択権なんてないんだから」
そう言って、傷だらけの尻に激辛ソースを3滴ほど垂らしてやると、ホムビッツはすぐ名義変更に応じた。
ちなみに、奴の無様な姿は27階層のモニターにも映し出されており……「譲渡同意書」に署名された瞬間、知性あるモンスターは歓声をあげたらしい。
オートマタから脳内メッセージで、「声が煩すぎて耳が痛かったです」と愚痴られ、思わず笑いそうになったよ。
「よしっ、モンスターの譲渡手続き完了! これで、お前が死んでも彼らの命は保証されるな。良かった良かった」
「えっ? メグミ様、私を子分にしてくださるのでは……」
「はぁ、何言ってるの? 次々と”尻尾ふる相手”を変える寄生虫に、生きる価値なんてないでしょう? あっ、ゴメンナサイ! 寄生虫に失礼だったね」
優秀な配下を失ったホムビッツなんて、生ゴミ以下の汚物……ミッションの贄でしかないじゃん!
「はいっ、手形スタンプGet! サーシャ。ナステックが予想外のトラブルで死ぬと困るから、コイツからも心臓もらっておいてよ」
「了解! 期間中ならギフトの更新は自由みたいだし、保険かけさせてもらうね。ホムビッツ本体はキモいけど、ギフトの元と思えば触れるかも」
「なっ、ふざけんなよテメェ等! 下民の分際で、このホムビッツ様に危害を加えるなんてギャアアァァァッッッ!?」
僕らの会話を聞き「本気で殺す気だ」と悟ったホムビッツは、「話が違う!」と喚き始めたけど……今までの愚行が自分に返ってきただけだろ?
「え〜っと……心臓を取り出すには、胸を切り開いて肋骨を切ればいいんだよな……」
適当に処理して<寄生型モンスター>を傷つけるといけないので、オリハルコンゴーレムと協力しながら、丁寧に奴を腑分けする。
そして心臓が丸見えとなったところで、ギフト目当てのサーシャに解剖担当を代わると……
「この太い血管が肺静脈だよね? この位置で切ったら、吹き出した血がかかるから……コッチ向きなら大丈夫かな? よしっ、摘出完了!」
彼女は手際よくブツを切り出し、事切れたホムビッツの上に掲げた。
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






