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110話 自ら地獄へ突っこむスタイル




 その後も操作ミスが起こらぬよう、オートマタ達と細かなイメージを共有していると……準備の指揮をとっていた”執事君”が帰ってきた。


「メグミ様・サーシャ様、出撃準備完了しました。いつでも攻撃に移れます!」



「ありがとう。じゃあ早速始めようか」


「「「「「「「「はい」」」」」」」」



 総司令官として「攻撃開始」の合図を出した僕は、コアルームのモニターを適宜切り替えながら、サーシャと二人で大元となる指示を送る。


 それに従い、オートマタが迷路の壁を(都合のいいように)操作し……


 <手形フロア>にいるゴーレムへ指示を送って、「ダンジョンのオブジェクトじゃない壁」を取り外させ、<分断トラップ付き認証装置>を出現させた。



「よしっ、仕掛けは上々! あとは僕が、マボロ虫に”思考操作”をお願いすれば……」


 今よりもさらに無能化したホムビッツは、本能に従って<分断トラップ付き認証装置>へ向かい、地獄に落ちてくれるだろう。



「んっ、ターゲットが動いたよ! あの人の周りに、護衛役のモンスターが3体もいるのは不安だけど……きっと大丈夫! メグミ君の仕掛けだもんね♪」


「ふふっ。上手くいく方に、夜の主導権を賭けてもいい。護衛の3体はともかく、アイツは本物のバカだから間違いなく引っかかるさ」




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜ホムビッツside〜




「ハァ……ハァ……ハァ…………」


 私は現在、卑劣すぎるメグミの時間稼ぎで足を引っ張られ、絶体絶命のピンチに陥っている。



 攻略難度はさして高くないが、早くコアルームへたどり着かないとミッション期間が終了し、ダンジョンの運営権を奪えなくなってしまうのだ!


 ゆえに、「表示される罰ゲームを拒否することなく、違う装置で300回”手形”を認証する」という、時間稼ぎ丸出しの要求を急いでこなさざるを得ない。



<−−− ミッション発動。30分以内に全ての鼻毛を抜いてください。1本でも残っていたら不達成とします −−−>


「テメェ、いい加減にしろよ!!」


 <幸運のネックレス>を身につけているため、命に関わるようなミッションを引くことはないが、くだらな過ぎる上に時間がもったいない。



「ほら、全部抜いたぞ。早くチェックしやがれ!」


<−−− ミッション達成。承認されている貴方様の手形は、現在194でございます。この調子で、承認作業に励んでください −−−>



 しかも<坊主><眉剃り><カンチョー><スクワット>など、地味にダメージをくらう”罰ゲーム”ばかりだから……


 この階層へ入るまで絶好調だった、私のモチベーションは地を這っているよ。






「ふむ……。なんとなくこのルートを行くと、良いことがありそうだな」


 少しでもはやく300カ所で手形を認証し、このふざけたフロアを脱出しようと足掻いていると、不意に私の勘が「コチラだ」とささやいた。



 絶体絶命のピンチに立たされたことで、眠れる「才能」が目覚めたのか……あるいは、<幸運のネックレス>が私を導いてくれたのか……。


「まぁ、結果が同じならどちらでもいい。踊り出したくなるくらい、当たりの認証装置きてくれよ!」



 本能的に「自分の引きの強さが上がった」ことを察した私は、護衛を引き連れて迷路をすすみ……


 その行き止まりに、「ミッションの道具っぽい乗り物」が置かれた認証装置を発見した。



「ホムビッツ様。危険なミッションの可能性もありますので、私が最初に”お試し”を……アァッ!?」


 王の”勘”を信じずバカなことをほざく護衛を、<統率>ギフトで直立不動にさせ、魔法発動体の杖で思い切り殴りつける。



 認証装置は誰かが手を置いたら、その後10分間<凍結中>となり新たな認証が出来なくなるのに、私を差し置いて「認証数」を増やそうなどと……


 不愉快すぎてヘドが出るわ!



「黙れ。<幸運のネックレス>を着けている私に、災難が降りかかる可能性など殆どない。次歯向かったら捨て駒にするぞ!」


「…………。失礼いたしました」






 溜まっていたストレスを杖にのせ、失態を犯した護衛が血を流すまで殴ったあと、スッキリした気持ちで認証装置へ手をかざす。


 すると、目の前のモニターにいつも通り文字が表示され……



<−−− おめでとうございます。この装置は、10回分の手形を認証できる特別なモノ。貴方様の手形は、現在204でございます −−−>


 私の予想どおり、この装置が「当たり」であると判明した。



<−−− ミッション発動。貴方には今から”スライダー”を体験してもらいます。横にある乗り物に座り、ハンドルを握ってください −−−>


「ふむ……。”スライダー”が何かはよく分からんが、見るからにオモチャのような乗り物を使うのだから、”子供扱いする”嫌がらせ系のミッションなのだろう」



 本来なら、「大人に対する礼儀がなってない」と怒るべき場面だが……手形10回分も貰えるなら話は別だ!


 一時的な”子供扱い”くらい、海のように広い心で受け入れてやろう。



<−−− ミッションを開始します。対象者以外は距離をとってください。3,2,1……スタート!! −−−>


 そう思ってオモチャに乗っていると、ミッション開始とともにガクンと床が傾き……



「うおぉぉぉぉっっ!?」


 猛スピードで動き始めた”乗り物”が、「迷路の壁」を突き抜けて……その奥にあった、「糞尿の流れる水路」を滑りはじめた。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
[一言]  ウォータースライダーならぬ糞尿スライダー……
[良い点] ザマアw せっかく護衛が優秀なのに、司令官が馬鹿だとどうしようもないですねw 続きが楽しみですw
[一言] 本当にちょっと誘導するだけで引っかかってるの草
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