室木 柴/しきみ彰『竜王陛下の逆鱗サマ』
誰かに「唯一の人」と深く愛されたい。
それがもし、運命染みた出会いだったなら――
そう思ったことはないだろうか。
この小説は獣人たちが暮らす異世界ファンタジー、それも中華風である。
十二支+猫を合わせた十三の獣人の一族=十三支族。その頂点に最強と呼ばれる竜族が君臨しており、主人公達はその花嫁候補として召し上げられた各一族の姫だ。
主人公:瑞英がまた可愛らしい。しかも一筋縄ではない。
なんと竜族の宮殿=竜宮に召し上げられた目的は、十三支族最強の王の妻となることではなく獣族最大貯蔵の書庫に忍び込むこと!
そう、彼女はいわゆる本の虫。しかも十三支族のなかで最弱とされる鼠族の姫。
弱いからこそ彼女たちは知恵を巡らせてきた。
恋愛ものといえば期待してしまうだろうか。そう、この竜王が瑞英に一目ぼれしてしまうのだ。
文章は柔らかく読みやすい。
甘いところは甘く、しかししめるところはしめる。
私がこの作品が好きな理由に、その華やかで愛らしい世界観もあるが、主人公がいい。大事なことだから二度書く。
優しいのだけれど現実的。目の前のことをしっかり見るが、やっぱり人情にも篤い。
他者のことは考え、しかし無理はせず、しっかり頑張る。
真面目で、時折無邪気な彼女が私はとても好きなのだ。
そして最強の種族といえど、いやむしろだからこそ敵はいる。
恋愛だけでなく、種族間の問題にも触れていく。
瑞英は厭うことなく努力を決心する。努力。それは現実的な選択だが、なかなかできることではない。こうして成長していくのがまた魅力的で、尊敬すら覚える。
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『竜王陛下の逆鱗サマ』
作者名:しきみ彰
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