一言紹介その3
宮沢弘/コメタニ『終わりのとき』
【叙情に勝る人類史】
この作品はSFと呼ぶには叙情的であるようにも思える。だが、それは過度なものではない。もし、人類が科学技術を悪だと言った時代があったとしても、それは過ぎ去ったのだろう。そうであれば、おそらく「男」は、ただの一人の「男」ではないのかもしれない。「男」は一人の「男」であるとともに、人類史上に存在した、すべての個人でもあるのだろう。
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宮沢弘/冬木洋子『After Pandora ―溺れゆく希望―』
【ある世界群の一つ】
前文明や、その遺産というのは、扱いやすく思える題材であるとしても、それゆえに既に多く料理されている。そして、なにを書こうとも、どう書こうとも、なんらかの作品が背景に透けて見えてしまう。それだけ実際には扱い難い題材でもある。SF人は、「見たこともない、想像もつかない風景」を見たいはずだ。ならば、「いくつかの作品が重なって見える」ことはSFとしてどれほど致命的であるか、想像がつくだろう。
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福山陽士/宝狩 わいと『深海 しんかい! 〜Shin-Kai〜』
ほのぼのだけど、ディストピア。ディストピアなのに、ほのぼの。
新感覚――。
とにかくこのひと言に尽きます。
波にたゆたうような不思議な感覚を、ぜひ味わってみてください。
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福山陽士/SPICE5『リサと夜警と魔法の鍵』
作者様の絶妙な構成が光る作品。
季節が巡り、そして迎える結末に、思わず涙してしまいます。
物語が人の心を動かすのに、膨大な文字数など必要ない――。
本作はその事を再確認させてくれるのです。
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