主催:八雲 辰毘古による序文
誰でも胸に抱える物語がある。
それは、自分の経験によるものかもしれない。想像の生み出したものなのかもしれない。あるいは、いつかどこかで見聞きしたものなのかもしれない。
自分に根ざした物語ならば、いつか何かしらのカタチで表現することが許されるだろう。この「小説家になろう」界隈では、そうしたひとたちが集まっている。
しかし、だれかの書いた物語ならば?
だれかが書き、面白いと思ったものは?
個人的に面白いと思い、感想を送り、レビューを送るのはそのひとの自由だし、誰かにその作品のことをオススメすることもある。けれども、そうしたレビューや推薦が情報の海にまぎれて消えてしまうのは、その作品のことを知らないひとにも、そうでないひとにとっても残念なことだと私は思う。
月日が経つのは早く、すでに多くのひとが物語を作り、感想を書き、レビューを物す。しかしそのうちのどれくらいが日の目を浴びるか、考えると身がすくむ。
数の問題ではないかもしれない。けれども、だれかが「面白い」「良い」と感じたものが、知られずにいるのはもったいない。
だからこそ、レビュー祭りも三回目を迎えることができた、と思っている。今回はわたしの不徳の致すところで、駆け足気味な公開になってしまうがご容赦願いたい。その代わり、今回も参加者たちの素晴らしいレビューと、それらが紹介する豊かな作品群に出会えるだろう。その中でもひとつ、読者の琴線に触れるものがあれば嬉しいし、そういった機会を設けられるならば、企画者として本望である。