第二話 モンスターとの戦闘
「そうそれです」
なんてことだ、最近は変わった名前が多いと聞くが、親にユーシャと名付けられる子がいるとは!
この子はこう見えて、名前というプレッシャーと戦いながら生きてきたのかもしれない。
「そうか……、お前も大変だな……。俺の名はデラという、よろしく」
「変な名前ですね」
ユーシャに言われ、俺は、
「お前に言われたくなかった……」
と返すしかなかった。
「ちなみに戦士見習いをしている」
するとユーシャニコニコ目のまま驚いたようにした。
「まだ見習いなんですか、僕は歴戦の戦士かと思いましたよ?」
いやいや。
俺は照れて目をつぶると手をふる。
ユーシャは続ける。
「だって、そんなに筋肉隆々ででかくて顎が割れて大きな剣を持っているんですよ?」
いやいや。
いやいや本当に顎が割れてるのはどうして戦士の証となるのだと思わなくもなかったが
何か褒められたような気がしてツッコミを入れるのはやめておいた。
「俺は筋肉を鍛えるのが好きなただの田舎貴族さ、最近モンスターが強くなったもんでな、ここは一つ俺も魔王を倒す城の部隊に加わろうと、田舎を出たばかりなのだ」
ユーシャは真剣な顔をした。
といっても、ニコニコ目を崩さないままなのだが、なんとなく眉や口の形で表情が読める顔なのだ。
「魔王……」
「そう、この国の最北の山の中に城をかまえ、モンスターを各地に送り込んでいる諸悪の根源だ、俺の村でも作物の被害が出るわ、襲われて金品を奪われるわ迷惑千万なのだ」
「迷惑千万……」
ユーシャは呟き、少しうなだれたあと、何か声を発しようとするかのごとく顔を上げた瞬間。
大きな音と共に、馬車が急停止した。
衝撃で倒れそうになるのを、なんとか踏ん張る。
「トマレトマレー」
「トマレトマレー」
外から、甲高い声が聞こえてきた、この独特な声はもしかして……。
俺は剣を持ち、馬車から飛び降りると御者の元へと向かった。
そこにはやはり、小さな子供大の全身ゼリーのようなものでできた人間……いやモンスターが2匹、馬車の行く手を阻んでいた。
「どけどけシッシッ」
御者の親父はムチでゼリー人間を追い払おうとしたが、ゼリー人間はおどけたように踊るばかりだった。
「トオシテホシケリャソノバシャヨコセ」
「ヨコセヨコセー」
相手はゼリー人間2匹のみ、これは俺の腕を試す絶好のチャンスでもあるな。
「親父、任せろ」
俺を剣を構えると、ゼリー人間の前に出た。
「おお!助かるよ戦士さん!」
御者の親父は嬉しそうに顔をほころばせた、この信頼には何とも答えたい。
「オッヤルカー?」
「ヤルカヤルカー?」
ゼリー人間2匹は俺にターゲットを絞ったらしい、踊りながら俺に近づいてくる。
戦闘開始だな。
俺は剣を持ちあげると、思いっきり振りまわした。
「おお……」
「おー」
背後から親父とユーシャの声が聞こえてくる。
爆発音にも似た音と共に、ゼリー人間のそばの大木が俺の剣を受け倒れたのだ。
「オオ……」
「オオ……」
ゼリー人間も驚いて大木と俺を交互に見る。
外したか、しかし今度は……!
俺は大木から剣を抜くと、ゼリー人間に振り下ろす。
「ギャー」
「ギャー」
ゼリー人間は逃げる、逃げる、また逃げる。
「ギャーアレ?」
「アレレ?」
「戦士さん、大振りすぎて外しまくってますよ」
ユーシャの声の通り、俺の剣は何とも弱そうな外見のゼリー人間にひょいひょいとかわされ続けていた。
「コイツノケンアタンネーゾ」
「コッチダコッチダノロマニンゲン」
あげくの果てには、ゼリー人間たちは踊りだし、スキをついては体当たりして攻撃を仕掛けてくるようになった。




