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その距離約100cm。それが小道を歩くマーウェスとアリサの距離だった。
普段人通りが特にないこの道は整備がなあなあな状態で、脇は草がぼうぼうである。加えて幅も狭い。
真ん中やや右側を歩くマーウェスに対してアリサは片足を草むら突っ込んでいる有様だった。
「な、なあアリサ」
声をかけられた瞬間にそっぽを向くアリサ。しばらくしてフンと言う声まで聞こえてきた。
「昨日は本当にごめん。誓って言うけどわざとじゃなかった」
「へえ、わざとじゃ無ければ許されると思ってるんだ」
声は冷たい。
「いや、決してそういうわけじゃ」
「じゃあ、どういうわけ」
「あ、いや」
口ごもるマーウェスに尚更冷たい目線を向け、先にスタスタと歩いて行ってしまう。
「ま、まってよ」
そう言って一歩踏み出した瞬間、マーウェスは奇妙な感覚に襲われた。
辺りをグルっと見回す。
「アリサ止まって」
急に声音の変わったマーウェスに驚きながらも立ち止るアリサ。その背後から鎧をまとった人が次々に現れた。




