第七の巻 コード一桁
「焔炎!!」
それから数秒後、雪崩の主成分である雪は全て溶け、周りに水溜まりができていた。
「え...?」
龍太は唖然とその新しく出来た、水溜まりを眺めていた。
「火の精霊、火事act2」
羅漢はその水溜まりに向かって火を放った。
するとその水は熱湯へと変わり蒸発させた。
蒸気は周りの温度を上げた...。
「くっ...暑くなってきた...超能力が使えない...」
龍太の形勢は完全に不利になった。
龍太が何を考えていても羅漢の攻撃が止まるわけではない。
「そろそろ飽きたんで終わりにしましょうよ」
羅漢が勝ちを確信したように言うと、今持っている最強の技を使った。
「超能力最終形態!...吸収!」
さっきまで暑くなっていたが、急に熱が羅漢の右手に吸収され、温度が下がったことを体感出来た。
...記録によると、この時世界の平均気温が約1.2℃下がったとされている。
数十秒後にその時はやって来た。
「最終形態!...解放!
」
羅漢の右手にたまっていた超膨大のエネルギーが龍太に衝突した...ことはなかった。
龍太は周りの温度が下がったのをいいことに氷壁を残っている全エネルギーを使って張った。
低い温度下では氷が溶けにくくある...当たり前のことだ。
ジューと氷が溶ける音が鳴り響き、壁はどんどん小さくなっていった...だけでなく、その溶けた水によって炎も小さくなった。
数秒後、水の力によって龍太は最終形態から防ぎきった。
「な、何!俺の全力の超能力を防ぎきっただと!?」
羅漢は初めて焦りの表情を見せた。
龍太はこれを見て自分のターンが来た、と感じ取った。
「よし!反撃いくぞ!」
龍太は自分の最終形態を使う準備をしようとした...が、氷壁にエネルギーを使ってしまい、何も出来ない状態となっていた事に気付いていなかった。
「あれ?エネルギーが溜まらない...どうしてだ?」
龍太は疑問に思った。
ひとまず考えている暇はないと、羅漢との距離を取った。
「ふっ、エネルギー切れか...好機!」
羅漢は龍太の行動を見て、どんな状態であるか分かっていた。
「焔炎!」
...空白の時間が5秒間続いた。
「何!俺もエネルギー切れだと!?」
...羅漢もエネルギー切れであったのだ...
「え?エネルギー切れ?」
ようやく龍太も自分の状態に気付いた。
「両者エネルギー切れとは...つまらないが今回は引き分けという形にしておくか...」
羅漢の言ったことに不満を持った龍太であったが、続けたところで何も出来ないので応じるしかなかった...。
こうして第2の戦国時代初の魔法戦争はこんな形で終わったのであった。
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時系列を少し戻す。
長野と庄助は一騎討ちの途中であった。
「コード1987、1091、0899!」
「無駄です!」
長野は庄助の攻撃を受け流す、しかし
「いくぞ!コード0056...花鳥風月!!」
庄助の技が炸裂する事...は、なかった。
「最後双竜!幽玄!」
キンッと刀が当たる音がして、互いに弾け飛ぶ
「花鳥風月は効かないのか...」
「早く来い!まだ残りコードは55もあるんだろう?」
「チッ、使うしかないのか...」
庄助は次なる技を出した。
「コード0050!乾坤一擲!」
「双竜!」
長野は受け止めようとするが...
「悪いな湯波!双竜は封印させてもらう!」
「は!?」
と、長野が驚いているうちに二つの剣のうちひとつは粉々に砕け散った。
「湯波、これは刀殺しって言われてんだ。刀が触れた時の摩擦で鉄を溶かし、相手の刀を粉々にする...そのために俺のやつは耐熱性になってるんだ...今度は勝たせてもらうよ」
「くっ...」
湯波は歯噛みした。
...紫竜刀よ、力を貸してくれ!
残った1本に願いを込めた。
そして庄助はその耐熱性の刀を大きく振りかぶる。
「コード0043!英姿颯爽!」
「紫竜!旋風!」
長野の刀から強く風が生じ、庄助はノックバックした。
「これが紫竜刀の能力...指定指定したあらゆる物体を吹き飛ばす...今回はお前自身を指定したわけだ!」
「風で人を吹き飛ばすだと!?そんなことが可能なのか!?」
「もちろん、羅漢様の協力の元だがな...1本刀を失ったぐらいで死ぬ僕ではない...」
長野は再び風を起こす体勢にはいった。
「紫竜!旋風!!」
「へ?」
今度は庄助の刀を標的とした。
刀は30m先に落ち庄助は動揺した。
チャンスと見た長野がすぐに次の行動に移す、
「紫竜!新世界!」
...湯波の紫竜刀が庄助の体に深々と刺さった。
「ぐは...」
庄助は口から血を吐いた。
「また俺は...負け...るの...か...」
...否!!
「コード...0012!七転び八起き!」
...唯一の回復コードである0012を唱えた。
「お前は何度でも立ち上がってくるのか...では僕は何度でも倒すのみ!!」
「紫竜新々世界!!」
...本当の新世界が見えるような刀の軌跡が生じた。
「ここでは...絶対に...終わらない!!」
庄助は禁じ手を使う事を決めた...
「コード0009!!!英雄欺人!!」
コード一桁の大台に!
庄助は消えた...ように見えた。
実際には消えていないのだが、速過ぎて...いや速いというより自分の時間が止められたように感じた。
「どうせ、時間が止められたように感じる...とか思っているのだろう?その考えは間違っていないね!」
...そう、実際に時間を止めているのだ!
自分の命を止めた時間だけ犠牲にして、相手の時間は止める荒業なのである。
これがコード一桁の領域...
「コード0056!花鳥風月」
庄助は動きが止まっている長野を切った。
「欺人解放!!」
...止めている時間が再び動き出した。
長野は大量の血を出し倒れた。
「く...僕はお前に負けた...の...か?あぁ...羅漢様...こんな弱い僕を...お許し...くだ...」
その時、一瞬空間が歪み、その一瞬で長野は姿を消していた。
「チッ、羅漢のやつが手を貸して逃げ切ったか...」
どうやら、北條羅漢が見ていて助けたようだった。
...500人が一斉に動いたのはやっぱりこいつが協力していたのか...これからきつい戦いになりそうだ。
「ひとまず湯波とは1勝1敗...次の勝負で本当の実力差を決めるか...」
そうして、庄助は自軍の陣地へと戻って行った。
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「羽田庄助、戻りましたー」
「おー、お帰りー...ってなんでそんな怪我してるのに元気そうにしてるんだよ!?...おーい海星ー!急いで高知の病院に連れていってくれ!」
龍太は深刻そうに言っているがコード0012の能力は強く痛みはあまり感じない...実はこのコード、分からないことがたくさんあり、調査が必要なものの一つである。
話を変えて、龍太と庄助が一騎討ちを終えたあと、大将、エースを共に疲弊された両軍は戦を止めた...というより自分たちの兵の士気が皆無になってしまったからなのであるが。
こういて第一次四国大戦は幕を閉じた。
3ヵ月ぶりですね...博愛です。
どうでもいい話をします...
博愛っていい言葉ですよね...何でも愛するって(説明適当過ぎ)
間接的に『平等』を意味しているような気がします。
次回は和やかなムードのお話にしたいと思っています...やっと僕も中二病から脱出出来るんですね(ボソッ
これからも投稿は遅くなってしまうかもしれませんが、よろしくお願いいたします!