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「はい。とても」
私は微笑んで言った。
「よかった。お口に合わないんじゃないかと内心、心配だったのよ」
「本当にすごく美味しいですわ、おば様。もし良ければ今度作り方を教えて下さい!」
ビクトリアはそう甲高い声で言った。
「ええ。じゃあ、何を作りたいか考えておいてね」
「はい!」
「なら、僕達は試食させてもらわないとね。ねえ、ジョシュア」
「そうだね。兄さん」
「その時はベアトリスさんも一緒に作りましょうね」
「はい。ありがとうございます」
「あの、おば様」
「どうかした? ビクトリアさん」
「このお屋敷には、執事とかハウスメイドはいらっしゃらないんですか?」
「ええ。私と主人とこの子達だけよ」
「じゃあ、お料理とかお掃除は……」
「お料理やお洗濯はすべて私がして、家の掃除は一ヶ月に一回、専門の人を呼んでして頂いてるのよ。あとは各自で」
「そうなんですか……」
放心したようにビクトリアは言った。おば様は今のお継母様とはぜんぜん違う。とても奇麗なお顔なのに、嫌味などまったく無くて……。そういうところは少しだけ、私のお母様と似ていらっしゃる……。