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日曜の礼拝を終えて教会の外へ出ると、ビクトリアはとても眠たそうにあくびをしていた。家に帰ったら更に聖書を読まなければならないのだけれど、彼女はそうしないに決まっている。
「ビクトリア!」
「あら! ジョージ!」
ビクトリアはとたん笑みを浮かべて声の主の方へ走り出した。そこには隣の双子が立っている。いつも本を読んでいる男の子は、横で下を俯いていた。
「あなたもミサを受けていたの? ジョージ」
「そうだよ。奇遇だね。ビクトリア」
「本当。何だか私、運命を感じるわ」
そう言ってビクトリアは、首を傾げて満面の笑みを浮かべた。私がそれを見ていると双子の後ろからとてもきれいなご婦人……お継母様とは比べられないくらいに美しい女性が現れた。菫色の瞳が日の光を受けて鮮やかに輝いている。ビクトリアは一言も発さない。
「あら、ジョージ。ガールフレンドができたの? お母さんにも紹介してくれる?」
「いいよ。ビクトリアっていうんだ」
「……初めまして」
「はい。初めまして。ビクトリアさん。うちのジョージとジョシュアと仲良くしてあげてね」
笑みを浮かべてご婦人は言った。口元から並びのいい白い歯がのぞく。
「はい」
「ねえ、ビクトリア。後ろにいる、あの女の子は?」
「え? ああ、あの娘はベアトリスっていうの」
「へえ。僕たちに紹介してよ。ビクトリア」
「……ええ。ベアトリス! こっちへ来て」
ビクトリアはとても嫌そうな表情を浮かべて私を呼んだ。
「初めまして。君、ベアトリスって言うんだね。僕はジョージ。こっちは弟のジョシュアだよ。よろしくね。ジョシュア。挨拶は?」
「……よろしく」
「……はい……よろしく」
私はとりあえずそう答えた。初めて間近で見たけれど、二人とも見分けがつかないくらいとてもそっくりで……まるで童話から抜け出したように整った顔……。少し切れ長の青灰色の瞳、通った鼻筋、薄く赤い唇。そのどれ一つとっても遜色がない美しさ……。
「あなたはベアトリスさんね。お二人とももし良かったら家へ遊びに来てね。おばさん、うんと美味しいお菓子を作るから」
「はい」
「ありがとうございます! おば様」
ビクトリアは私のあとにそう返事した。