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私の心はまるで眠りから覚めたばかりの状態で留まっているかのようで……頭の中では、雪に佇むジョシュア君の姿が浮かび続けていた。
ボンネットのリボンを解き、脱いだところで、扉が大きな音ともに開かれた。私の身体はあまりの大きな音にはね上がった。
「ベアトリス!!」
「……ど、どうしたの? ビクトリア……」
「さっきのは何よ!? あなたまさか、ジョージを私から奪うつもりじゃないでしょうね!?」
そうまくし立てるビクトリアの瞳は、二重が一重になり、一種異様なまでの目つきに変わっていた。
「……そんなつもりないわ……私には……」
「信じられるものですか!! あなたにはね、あの偏屈な本の虫のジョシュアがお似合いよ!」
ふと気がつくと、ビクトリアの手には何か握られている。よく見ると、何か小さなぬいぐるみのような物だ。
「……彼のことを、そんな風に言わないで……」
「あーら、そう! 引っ込み思案のベアトリスはジョシュアが好きってわけね!! 本当にお似合いよ。あなた達は!!」
そう言って、手に握っていたぬいぐるみをビクトリアは私に投げつけた。
「それは、あんたにあげるわ! 子供っぽいあんたにはお似合いよ!」
「……これは何?」
「ジョージが射的で取ってくれた物だけど、私の趣味には合わないからあげるの。感謝しなさい」
ビクトリアはそう言って、蔑むような笑顔を浮かべた。
「でも、ジョージ君が取ってくれたのでしょう……?」
「うるさいわね! とにかく、ジョージにはちょっかい出さないでよ!! わかったわね!!」
ビクトリアはそう一際甲高い声で言うと、扉をさきほどのように大きな音ともに閉め、去って行った。




