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ソラヌムドゥルカマラ  作者: 佐伯亮平
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 飲み終えた私たちはカップを戻し、メリーゴーランドの手前までやって来た。木馬が上下する度に、辺りへと驚きの声が響く。

「みんな、楽しそうね」

「……そうだね。君も、乗ってみたらどう?」

「そうしたいのだけど、何だか……その、恥ずかしくて……」

「そう」

「……ジョシュア君は、乗らないの?」

「僕はいいよ。興味ないから」

「そうなの……」

 それ以上返す言葉もなく、私は再びメリーゴーランドを見た。ロンドのように、繰り返し、繰り返し、木馬は回転している。幻想的だなと思う私の手に冷たい感触がした。空を見上げると雪が降ってきていた。

「雪……」

 私の言ったことに反射したように、ジョシュア君も空を見上げた。

「粉雪、だね」

「そうね。初雪だから」

 私はそう答えた。最初は少なかった雪が、少しずつ増えていく。……雪の中に佇むジョシュア君は例えようがないほど美しかった。本当に、人間なのかと思うほどに。

「あの、ジョシュア君…………」

 それから先、〝ビクトリアのことが気になるの?〟という言葉が出てこない。返事を聞くのが怖くて……。

「……」

「……ずっと、あのお屋敷にいる?」

 とっさに出た言葉とはいえ、自分でもおかしいと思ったけれど、もう遅い。多分……ジョージ君の言った〝永遠〟が、気になっていたからかもしれない。

「さあ、それは僕にはわからないね」

 返ってきた言葉はしごく当然のものだった。

「ごめんなさい。おかしなことを訊いてしまって……」

「気にしなくとも構わないよ。そろそろ行こうか」

 ジョシュア君は静かにそう言って、私に背を向け、歩いていく。

 彼の背中を見ていると、なぜか切なさと苦しさがともに湧きおこり、心の底から、それらが這い上がってくるような感覚に襲われる。それと同時に顔の中心が痛くなり、私は涙を流していた。

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