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ソラヌムドゥルカマラ  作者: 佐伯亮平
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「ベアトリス」

「何? ジョージ君」

「もし良かったら、僕の家の薔薇園(ローズ・ガーデン)へ来ない?」

「いいの?」

「ああ、もちろんだよ」

 彼は微笑んで言った。




 その薔薇園は、ジョージ君のお屋敷の敷地を抜けた、奥まった場所にあった。まるで隠されるように。薔薇は小ぶりながら、鮮やかな赤色をしている。

「……きれい」

「だろう? 母さんが手入れしてるんだ」

「そう。でも、赤色の薔薇だけなのね」

 咲き乱れる薔薇を見渡しながら私は言った。

「ああ、母さんが好きなんだ」

「ジョージ君も?」

「そうだね。でも、僕は白薔薇の方がいいかな」

 薔薇に触れながら彼は言った。

「……私も色の中では白が一番好き。薔薇もプリムラ・ブルガリスも……」

「そうなんだ。僕と同じだ」

「ええ」

 私は微笑んで言った。

「よかった。元気出たみたいだね」

「ありがとう。ジョージ君のおかげよ」

「どういたしまして」

 彼は右腕を胸につけ、左腕を背中に回し、脚を引くという、貴族のようなお辞儀をした。

「ふふ」

「ベアトリス」

「どうかした? ジョージ君」

「君は、永遠を信じる?」

「永遠……?」

「君を連れて行けたらいいのにな」

「連れて行くって、どこへ?」

「ずっと、ずっと、遠いところだよ。今、いるところよりも……」

 そう言って彼はまた、薔薇に触れた。

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