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ソラヌムドゥルカマラ  作者: 佐伯亮平
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「……まだ決めてないの。ジョージ君は?」

 私は嘘を吐いた。サンド・グラスのことが頭をよぎる。

「僕はもう決めてるよ! スケート靴さ! 近くの池が凍ったら、みんなで一緒に滑ろうよ!」

「楽しみね」

 私はとりあえず、そう答えた。

「何だか、ジョシュとベアトリスは似ているね」

「……え? なぜ?」

「その、どこか遠くを見る瞳とか……さ」

 ジョージ君は、そう静かに言った。

「……ジョシュア君は、いつから、あんな風なの?」

「物心ついた頃からだよ」

「そう……」

「ところで、体調の方は大丈夫なのかい?」

「え?」

「お菓子作り、来なかったろう?」

「……ええ、大丈夫よ。ありがとう、ジョージ君」

 取り繕うように私は答えた。とっさのことだから大丈夫かと内心では落ち着かない。

「残念だったな。君の作ったお菓子が食べれなくて。またの機会を楽しみにしておくよ」

 彼はそう言ってウィンクをした。

「……ジョージ君は、優しいのね」

「そうかな?」

「うん……とっても優しい」

「君のお母さんは、優しくないの?」

 また、私の顔を覗き込むようにしてジョージ君は訊いた。

「お継母様は、私にもヴィクトリアにも興味がないみたいなの……あと、お人形みたいで、本当に生きているのかわからなくなる時があって……」

「そう……」

「……それに、本当のお母様じゃないから……」

 スカートの端を握って私は言った。

「……そうだったんだね」

「……今のことは誰にも言わないで……」

「指切りする?」

「……うん」

 私の返事を聞いて、彼は私の小指に自分の小指を絡めた。

「十字を切って誓ったからには死んでも良いし、針も自分の目に突き刺すよ」

「うん」

「決まりだね」

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