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第二章 ツァンシン (起)

「ぎゃぁあぁああぁぁっ! ひっ、ひぃっ」


 夜の砂漠に悲鳴が木霊する。人のものとは思えぬ、絞り出す様な、だがそれ以上に醜い悲鳴。

 辺りは何故か明るい。夜半を越えて月も出ている。だが、それですら説明にならないほどに、その一角は不自然に明るい光で満ちていた。


「こ、こんな……こんな筈では! あ、あのクソ婆ああっっ‼」


 人生の半ばを僅かに過ぎた男の声。光の前に男がいる。他に周囲に人は居ない。誰もいない。ただ光の柱があるだけだ。なのに男は後じさる。近寄る誰かを遮るように手を広げ、振り回しながら光から遠ざかるように尻餅をつく。


「や、やめろっやめろ寄るな、寄るなああ! 化け物っっ! お前なぞ呼んではおらんわ! 儂の願いは金……ひいっ違、違う‼ やめ、やめろ助け、やめててく……ぎぃゃあああああああ‼ 」


 男の他には何者も居ない。すぐ前に光の柱があるのみだ。どう見ても自然のものとは思えない円筒形の光の筒は、空の彼方から絶海の砂漠を貫くようにまっすぐ静かに堕ちていた。虚空も大気も透過してただ静かに歪まず落ちていた。わずかに小さく雷音ががする。だが、それだけだ。見た目には光の筒がそこにあるだけ、傍からはそれだけに見えた。

 だが男は光に向かって罵声を浴びせ、怖気を貼り付けた顔をして後じさるのみ。そして誰にも届かぬ絶叫を上げ、最後に長く薄い呼吸音だけの喉鳴りを遺しビクリと震え、背筋を伸ばし硬直したまま音もなくグシャリと崩れて砂に落ちた。

 横たわる顔から飛び出た舌は砂に届く程妙に長く伸びきって、目は白く濁り湯気を上げ。横を向いた顔は全ての筋が解るまでに引き吊れて固まっている。すでに、それは生者の姿ではない。

 男が事切れたのを確認するかの様に明滅し、光の柱は静かに消えた。宙に向かって、静かに。



 星が静かに空を移り。ゆっくりと光の消えたざわめきが落ち着いて闇が落ち時が過ぎる。夜明けまではまだ遠い。暗い星の影の中、岩場の陰に男の遺体がたたずんでいる。


「やはり、駄目であったか」


 いきなり声がした。

 人は居なかったはずだ。四方の地平まで人影は無かったはずだ。

 なのに居た。男だった物の傍らに立ちつくし見下ろす者。

 老婆が。


(もう、すぐだというのに。今回【願い】を認められた者はまだ、僅か一人。焦り、資格無き者に条件を満たした瓶を手渡してみればこの有様、か……)


 見下ろし、砂の上から小瓶を手に取り、つぶやく。


「愚かな……」


 空を見上げる。

 男の魂に祈ったのか。他に見るべきものでもあったのか。その顔は、皺の刻まれた口元のみを残し、下げられたフードの奥に隠されている。

 視線を前に戻し、そのまま街の方角へと歩き出す。

 風が強くなってきた。砂が渦に乗り舞い始める。

 黒い、ボロボロの衣をはためかせながら進む老婆の姿は、時と共に強くなる砂嵐の中、次第に紛れて見えなくなった。強まる風渦から、砂と砂との擦れる高い音が鳴り始めた。


「……時が……迫っている……時が………」


 闇の奥から声が、聞こえた気がした。


       ◆  ◆  ◆


 街は賑わっていた。普段でも人通りは多い。市も開く。

 けれどこの一週間は特に凄い。人込みに流されそうだ。

 あと三日。明日からの三日間の祭りの最終日までこの賑わいは続いてゆく。

 三日後の祭りのフィナーレ。それはこのイェナの街に初めて人が井戸を掘り当てた日。だからその人物を讃えて始まったこの【アプルウェーファ祭】には、街に関わりのある全ての人々が集まってくる。

 食べ物も集まる。宝石も。絹布も。ラクダも。娯楽も。そして、【人】も。


 目が痛い。石で造られた家々の輝きは鈍く、鋭い。圧力で潰されるかと錯覚させる強い日射しが反射して、じっと見ていると視力が悪くなりそうなほどに視界全体が白かった。

 街の周囲を囲んで巡る高く厚い城壁のせいで、光と影のコントラストがひどく眩しい。おかげで日射しの強い南側には、どの建物にも窓すらない。逆に壁に近い裏通りは、昼でも薄暗くかげり、お陰で肌を焼く太陽から逃れる旅人のための絶好の憩いの場になっている。朝と夕、日の出と日の入りの一日二回、広大な首都の半分以上を影に沈ませる壁の姿は雄大で、すべての住人に安心と、そしてわずかな畏怖をも与えていた。

 太陽が高くなり壁の影が一番少なくなる昼餉の頃、その南北に開かれた門を通り、この地方では珍しい『馬』が入ってきた。街の南数キロを経て流れる大河。そこから分かたれた無数の人工水路は街のそば、一部は町中までをも潤している。そのどれかを通る定期船に乗ってきたのだろう。

 馬紐を持つ人影はまだ少年のようだ。船旅以外でも何十日も砂漠を旅したらしく、目以外全てを覆う布は煤けて茶色い。辛うじて昔白かっただろうと分かる程度だ。

 若者は、年に一度の宴を前に浮かれる人々をかき分け、姿を消す。しばらくして現れた時には既に馬は無く、銀貨で懐が膨れていた。

 その足で店に入る。看板をみると、宿と酒場の両方の店らしい。

 まだ日は高いのに、店内の全てのテーブルが昼間からジョッキを掲げる人で埋まっていた。何とかカウンターまで進み、マスターを呼ぶ。


「はい。何でしょうお客様」


 口髭を生やした主人が出てくる。儲かっているのだろう。浮かべる笑みも本物のようだ。普段ならからかいの対象になるはずの若い旅人にも、愛想が良い。

 顔を見せないままの客にも、眉を顰めさせていないのは流石だった。


「泊まる部屋はあるか?」


 思ったより高い声が布の奥から聞こえた。


「はいお客様。ありますとも! ただ、少々お狭い部屋になってしまいますが……」

「そこでいい。鍵は掛るのだろう?」

「はい! 勿論で御座いますとも! ありがとう御座います」


 三日間。祭りの最終日まで泊まると宿帳に記し、前払いする。


「ラム肉のソテーとサラダ。それと果汁を混ぜたジンをくれ。冷えたやつをな」


 何か食べられますか、という主人の声に、若者はそう答えた。


        ◇ ◇ ◇


(祭りの最中で助かったな)


 運ばれてくる料理を食べながら思う。口元だけ布を下げ、ターバンは取らないままで食べている。

 ときおり怪訝な視線を投げかける者もいるが、祭りの前夜で皆浮かれているのか、自らのテーブルを離れようとはしない。

 自分でも怪しいことこのうえない格好だと本人も思っている。が、理由があって外せないのだ。普段なら、普通に気の荒い連中の格好の餌食になるところだろう。


(顔を見せろとかからかわれたら、面倒な事になる処だった……)


 ここまで来て、いらぬ面倒は御免だった。あと三日、なのだから。


(永かったな……。だがやっと追いついた。金も何とかかき集めた。これで……)


 あとは情報を集めるだけだ。

 セリ【買う方が値を決めて、一番高い値を付けた買い手に売る売り方】の開かれる場所と時間。日にちは分かる。多分、メインイベントの筈だから。

 若者は黙々と手と口を動かしながら、左側のテーブルから聞こえてくる会話にそのまま耳を澄ませた。


 左後ろのテーブルで、真っ赤に酔った二人組が声高に会話を続けている。


「それでよォ。そいつが見たってんだよ」

「だから、何をだよォ? え?」

「一月前の満月の晩によお。西の方角に光の柱が立ってよォ」

「ああ。その話なら他の奴にも聞いた。月から光が降りてきてまた昇ってったって話だろ? けど俺が聞いたのは一月前じゃなくて三ヵ月前だったぜ? 場所も遠くの砂漠の果てだ」

「へえ。だけどその先はどうだ? そいつは、柱があったらしい場所へラクダを走らせてみた。そしたらよ。すっげえ形相の男の死体があったってよお。何かバケモンでも見たか、ってな死に顔だったらしいぜえ」

「ほう。俺の聞いた話では死人は出てないなあ。光のあった方角から大男が少女を連れて歩いてきてな。そいつ、泣いてたらしいぜ。なんか晴れ晴れとした顔で。そいでラクダを一頭買って戻っていったそうだ。『礼を言う為に』とか何とか言って……」


 ……少し聞き入ってしまったが、自分とは関係無い話だと感じて違う方に耳を向ける。そして真後ろのテーブルの声に身を固めた。


「……凄ぇキレイな奴隷ばっかって話だぜ」


(これだ!)


 いきなり初日から当たりとはツイていた。もっとよく聞こえるように全身を耳にする。口元に食事を運ぶ手も止まった。


「へえ~。一体ドコの奴隷だよ?」

「へっへっ、ヨダレ拭けよお前。向こう通りの広場でな、祭りの日の昼丁度に開かれる毎年恒例のアレだよ。何でも砂漠どころか、海も越えた向こうの国で調達してきたんだとよ。ウソかホントか、本物のお姫様までいるらしいぜ? へへへ」

「ホントかよ⁉ そりゃ見に行かなくちゃなあ、ひひ。でもよ。そんなキレイどころ、一人でいいから手に入れてみたいよなあ」

「現実に引き戻すなよ……俺達なんかに手が出せる訳ねーだろ? どうせどこかの金持ちが大金で買い取っちまうさ。だから、当日だけでもじっくり目に焼きつけとこうぜ? な? そいで最中に思い出す。いいねえ」

「ちぇ。なーんて庶民的! ところで話は戻るがよ。ソレ本当にお姫様か? 一体どうやったら手に入るんだよそんな人間」

「それがな。俺も又聞きだけどよ、戦の中逃げる途中の御一行を襲って、連れてきたとか何とか」

「ひええ。その国の王様から追っ手とかは?」

「ところが当の王様はすでに殺されててよ、国も無くなっちまったんだと。それにまァ、生きてたとしたってこの国に入っちまっちゃあおしめえよ」

「そりゃそーだ。この国じゃ奴隷は合法だからなあ、ひひひひ」


 ガタンッ

 顔を突き合わせていた男達が、いきなり後ろで響いた音に驚いて飛び上がった。

 気が付くと青年は、無意識のまま椅子を蹴倒し立っていた。


(抑えろ、耐えるんだ! 今は……抑えろっ‼)


 その男の言う通りだった。腹は立つがこの国では合法なのだ。


「(だから、自分は走り回って金をかき集めたんじゃ無かったのか! 今こんな所で、それもこんな奴を殴って捕まってしまったら、その苦労はっ!!)………………失、……礼……」


 どうにか言葉を紡ぎそのまま、残りの料理を無視して部屋に上がる。声が震えるのは、どうしようも無かった。


      ◇  ◇  ◇


 荒々しく部屋のドアを閉める。開け放たれた窓越しの太陽の残滓に瞬きし、軽くため息をつく。そしてそのままベッドの上を見て硬直した。


「よう! あんたがそうかい、よろしくな」


 目の前のベッドの端に片手を挙げた男がいた。

 二枚目と云って云えないことも無いが、タレ目がとても軽薄くさい。黒く伸ばした硬めの髪は長く後ろで束ねている。座っているが背は高そうだ。

 ……いや。そいつの風体など青年にはどうでも良かった。問題は今そいつが自分のベッドの上に居る、という現実で。


「……鍵は掛かっていた筈だが?」

「そんなもん。開けて入って来たに決まってるだろうが」


 平然と言う。さっきのこともあって、一気に血が上った。


「そうか……ならば、死んでも文句は無いなこの泥棒!」


 小刀を腰後ろから抜く。残念ながら剣はベッドの奥だ。だが狭い所ではこちらの方がいい。懐からも【クナイ(東方独特の投げナイフ)】を幾つか取り出し指に構えた。


「ち、ちょっと待て! お前聞いてないのか?」


 目を細めて腰を落とす。爪先に体重を乗せ敵に向け体を傾け、


「店の親父からなあっておい! 少しは人の話を……」


 壁に向かって全力で跳んだ。


「シャァッ」

「シャァじゃ無ぇ!!」


 空中でクナイを連続で投げつける。反動で身体を捻り反転し、壁に足を乗せ荷重を殺し逆側の壁へと更に跳ぶ。


「ヒュッ」

「ヒュでも無ぇよッうわっこのうぉっ石頭!単細胞っ‼ ひぃまだ投げるのかこの野郎‼」


 男に避けられたクナイの群れは奥の石壁に跳ね返り、空中で複雑に回転したまま音を立て床に落ちた。


「(ムッ、三本をも躱すか!)貴様、ただの泥棒では無いなっ!」

「だーかーら! ただのでも高価でもなくて泥棒でも無いんだっつって……」

「問答無用!」


 苦虫を噛み潰したような力の抜けた男の言葉をぴしゃりと遮る。床を蹴りつけ背後に向けて飛び上がり、残った一本を投げつける。同時に背にした壁を三角に跳び上がり、音もなくしなる膝が重力を無視したままで天井に張り付いた足裏に力を貯める。筋力に加速と重力を足し合わせる。

 しなやかでありながら大柄なネコ科の筋力を思わせる跳躍だった。部屋を揺るがす二度目の音が鳴り響き、隣の部屋からも殴り返す返答があるが気にしない。勢いのまま落ちながらナイフを逆手に持ち替えて、逆さ落としで後頭部を狙い全力を込めて打ち下ろす。

 男の頭蓋と交差したその瞬間だった。血潮の溢れる音ではなく、何かを叩く新たな音が部屋に響いた。


「何っ⁉」

「ひっふっど、どうだ! ハハ。体術だけは真面目に習っててよかったあっ!」


 体重に筋力を乗せて全力で落とされたクナイは、首に刺さる直前に男の両手に挟まれていた。

 白羽取り。二つの手のひらで降り下ろされる剣を挟んで止める防御の技術だが。青年が小柄とはいえ、二m以上の高さから筋力を込みで落ちてくる、しかも短いクナイを顔の前で受け止めるとは。見た目と違い、男の力も侮れない。

 軽い言葉とは裏腹にびくとも動かぬ小刀に舌打ちし、青年は得物を離さず器用にもそのままの体勢で懐から新たな獲物を取り出しながら上から睨む。


「……なかなかやる。泥棒、覚えておいてやる。名を名乗れ」

「……へえへえ、有難くって涙が出るねぇ。不幸にもアンタと相部屋になっちまった、アリアム様だよ」


 唐突な男の言葉に青年は、小刀一つで繋がった逆さのままで固まった。そのまま逆さで睨み合う。互いに怖ろしい程のバランスだった。


「? 相部屋? ……聞いていない」

「アンタ聞かなかったろうがよ! ったく」

「……困るのだが」

「困ってるのはこっちだ! いい加減にナイフを引いてくれ! ていうかさっさと上から降りやがれ!」


 重ぇよ!とアリアムは怒鳴り、退いてくれるよう繰り返す。未だ白羽取りの格好のまま、逆さの青年を白羽取りで持ち上げたままで会話している。傍目にはとてもシュールな光景だった。


「おお、済まなかったな。で、アリアムは泥棒ではないのだな?」

「……………。早くどけよ」


 青年は、白羽取りを続けたまま震える腕で半眼で答えていた。


      ◇  ◇  ◇


「へえ。アンタ、蒼星(ツァンシン)っていうのかい」


 呼ばれた方は名乗った後、落ちているクナイを無言で拾って回っている。石壁に刺さっている分を抜くのが少し大変のようだ。ウンウン言って引っ張っている。集中すると周りが見えなくなるタイプらしい。あまりに無防備な姿にそれでいいのかと呆れたまま、アリアムは腿で頬杖をつき、静かに返事を待った。しばらくして、何とか抜けたクナイを仕舞うと、蒼星はようやく振り向いて短い返事を返していた。


「そうだ」

(短ぇよ! あれだけ待ってそれだけかよ!)


 そう思ったが、アリアムは口にはせずに別の質問を投げかける。


「ふ~ん。で、名乗る以外でも他に言うことがあるんじゃないかと俺は思うんだが?」


 言われた方は少し考えて真面目に答えた。


「……そうだな、その通りだ」

「うんうんそーだろそーだろ」


 何度も頷く。ようやく話が通じたか、とでも言うように男の顔にも満面の笑み。


「宿の主人に替えの部屋が無いか聞かなくては」

「……………………………………」

「? どうした?」

「……本気で言ってんのかなコイツ?」


 小首を傾げる小柄な姿に全力で長いため息をつき、さっきのドサクサで壊れた簡易ベッドを見て呟く。メインは無事だが備え付けの方がバラバラだった。


「だがまあ……。これじゃあ、どっちかが、他に一人で泊まっている奴の部屋に移るしかないわなあ」


 その言葉に、驚愕に息を鋭く吸い込む短い音。すでに部屋を移る支度を始めた蒼星がぎこちなく後ろを振り向いた。


「開いている部屋は……もう、無いのか?」

「あれだけされて、何で俺がまだここにいると思ってんだ?」


 蒼星はふらついてドアにもたれた。


     ◇  ◇  ◇


(何考えて生きてんのかな、このボーヤは)


 その後。融通の利かなそうなこの青年は、主人に相部屋も一杯だと聞かされて項垂れて戻って来ると、何と床で寝ると言い出したのだ。


「おい、きたねーし風邪ひくぞ。知ってるだろうが砂漠の夜は寒いんだ。それに順序からいやあ、アンタがベッドを使うべきだろーが」

「いや、慣れている。アリアムが使うといい。さっきの詫びだ」

(なんでえ、ちゃんと悪かったと思ってんじゃねえか。謝り方を知らないだけか)


 そういうことなら水に流してもいいか、とも思う。


「いやーはっはっ、謝ってさえもらえればまあそれで……」

「それに……ベッドでは襲われたときに対処が遅れる」

(……コイツ、分かってやってるんじゃないだろうな、オイ)


 驚愕の返答にジト目になったアリアムは心の中で前言を撤回した。


「ちっ可愛くねえ。安心しな。俺に男を襲う趣味はねえ。女なら別だがな」


 言いながら背を向けて横になる。ふて寝の体勢だ。だからその光景をアリアムが見ることはなかった。

 傲岸不遜を絵に描いたような蒼星が、アリアムの言葉の最後を聞いた途端、軽く、だがはっきりと全身を震わせていた。



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