第 三話 『“こどく”の船 〜活性〜』
その部屋は広大だった。
だが、慣れと言うのは恐ろしいもの。これまで彼らが目にしてきた光景と比べれば、もはや驚くには値しない。あまりに凄まじい尺度のものを見過ぎたせいか、その程度の広大さでは、せいぜい【そこそこ】という形容詞がつくレベルでしかない広大さだといえるだろう。
奥の壁まで、目測で直径200mといった所だろうか。少なくとも、全長30kmを超える【星界を行く船】の動力機関室だったとして考えれば、想像していたより小さいとすらいえるだろう。
初めに乗り込んだ直径3km程の寂びれた公園跡を出てすぐの空中回廊。そこから眼下に見える、朽ちてはいるがかつては高度に洗練されていたであろう死街にそびえ建つ、見た事も無い程巨大な建造物群。高度な装飾を施されていただろうと想像できる外観が、かつての栄華を欠片も見出せぬほど荒廃し倒壊しつくされているさまを、空しさと共に張り巡らされた頑丈な空中回廊から眺めながら、青き鳥と杖の示す先に一同は進む。
無常にも破壊され尽くした商業区と工業区、そして誰もいない居住区(農業区は見当たらなかった。通ってきていない場所にあったのだと信じたい)を横目に進む。その先のシャフトを下り枯れた冷却槽を過ぎた先の推進ブロックに、その部屋はあった。
どこかに敵がいるなど信じられないほど何の気配も無いままに、その部屋は音も無く存在していた。煤けていながらも壊れてはいなかった頑丈な扉を皆んなで協力し、こじ開けて中を覗く。遥かな過去に自分の声も聞こえぬほどの騒音を奏でていたであろう薄暗いその部屋は、針の落ちる音ですら響き渡るほどの静寂に包まれ佇んでいた。数百人の兵士と共に、アリアムと仲間たちは静かに足を踏み入れる。
部屋内には、稼動する動力炉は一つも存在してはいなかった。壊れて止まった縮退炉が隅に数機と、解体されたのか壊されたもか定かでない残骸が数機。メインとして中心に存在するのは、あれは元は、反陽子型対消滅反応炉だったものだろうか? 部屋の中央の全てを占めてデンと据えられたままのそれは、ずんぐりとした瓢箪型のプラネタリウムの投影機を真横にしたような代物だった。しかし、それは既に死んでいる。まるで動く気配もない。似ているだけで異なるものに変えられている、崩れた標本かなにかのようだ。それでも、それらが星の海を越える為に数万年もの間動いていたことは事実であり。自分たちに連なる先祖の命を永らえさせた礎だったのも確かなのだった。
ただの絡繰りであるには違いないが、畏敬の念のようなものが見上げる者たちの胸に湧いていた。遥かな過去に稼働していた最盛期のイメージをわずかに垣間見て、クローノは眉根を寄せて嘆息する。そこへ、
「見蕩れている時間はないぞ! 気持ちは分かるが、今は置いておいてくれ。ヤツがここに来る前に、なんとしても本体の場所を見つけ出すんだ!!」
アリアムが声を張り上げる。
そうだ、まずは本体を見つけなければ。ファングを信用してはいるが、彼一人でいつまでも足止め出来るとも思えない。
皆が一斉に動き始める。見た目何の変哲もない大きいだけの動力室。だが、敵の本体はここに、この部屋のどこかに存在する……はずだ。そのように鳥も杖も示したのだから、今はそれを信じるしかない。どこかに必ず、違和感を感じる部分があるはずだ。
息を呑む遥かな過去の光景から視線を剥がしながら、皆が目的の本体を探し始めた。まずは見つけ出さねば始まらない。何のためにファングが時間を稼いでくれたのか、その意味が消えてしまう。
「ファングから連絡は、まだ無いんだよね……?」
一番怪しいのは間違いなく中央部分の機械なのだが。だが、あれは普通に【動力炉】だよなあと、唇を噛み。疑いの眼差しを向けながら、ナハトが【カムイ】の鳥に訊く。
『ハイ、何モ届イテオリマセンデス』
「……そう。なら仕方ないね。オレたちだけでやるしかない」
『ハイ、デス』
ナハトは目線に力を込めて部屋を見つめた。身体中の筋肉を緩め、前後左右のバランスを均等に保ち、垂直に立つ。神経のみで集中し周辺視を駆使しながら、ゆっくりとその視線を一周させる。
仲間の内で誰よりも長い間、オアシスから見える砂の地平線を眺め続けた少年の、もはや異能に近い驚異的な視力と集中力が織り成す眼力。人の限界を突破した注意力が、‘それ’を見つけた事。それは必然、だったのかもしれない。
ナハトが小さく笑みを浮かべた。
「見つけたよ、シェリアーク。あの時守れなかった君との契約、今度はちゃんと果たすからね」
◇ ◇ ◇
ファングの意識が浮いている。ここがどこかは分からない。多分【ガイア】の中なのだろう。軽い諦観とともにそれをちゃんと受け入れる。受け入れてから、目をもう一度見開いた。
(まだ……終わっていないみたいだし。意識が消えてなくなるまでは足掻かせてもらっても良いよね。今さら勝負汚さや行き汚さの無様を恥じる必要は、きっとないんだから)
手足を動かす。動くには動くが、なんだかとても頼りなかった。物理的な空間では無いということなのだろう。だが、ならばなぜ自分は意識を保てているのかが分からなかった。彼は負けた。不覚にも飲み込まれてしまった。そして彼を飲み込んだのは、全ての悪と悪意の塊のはずだ。飲み込まれた以上、苦痛と絶望と焦りと恨みなどの負の感情に囚われ、狂いながら苛まれていてもおかしくない。なのに今、彼は、微かな不安以外の重圧を感じていない。疑問が湧く。意識を保てていることもそうだが、ストレスをほとんど感じていないこと自体がおかしいと思えた。何も見えない。暗闇の中で手足すら定かでないが、感覚だけはちゃんと元の場所に存在していた。記憶の連続性も無く理由も何も分からないが、確かにここには自己がいて、世界を眺め、感じていた。その目の前の空間に、唐突に光の玉が浮いていた。いつからそこにあったのか、全く気づけなかった。気がついたら目の前が熱さも無いまま燃えていた。
『……あなた、は……』
何も見えなかった暗闇に、それは唐突に出現していた。さっきまで何もなかったはずのそに場所に、ずっとそこにあったかのような存在感を保ちつつ居座っていた。燃えたぎるその傲慢なまでの怒りの深さを、ファングの記憶は知っていた。自らの指先も見えない圧倒的な闇の中で、その光の玉は赤く青く、純粋な怒りの焔を上げていた。600年、彼と共に過ごし、旅を続けた相手だった。直接目で見た事は無い。だが、解る。目の前のそれは、間違いなく惑星アーディルの怒りと恨みの塊の玉。
その≪彼≫が600年振りにファングから離れてそこにいた。
『……答えは、出たんですか?』
【彼ら】が彼と共にいた、その意味。共に過ごし、この星の上に【人間】が存在する意味と断罪の答えを見つけること。これから先の未来において、人が存在し続けるに足る価値があるかどうかを見極めるため。
『 』
聞き取れない響きを奏で光の玉が明滅する。静かに形を変えてゆく。
様々な、見たことの無い生き物の姿。点滅し、明滅しながら次々と、矢継ぎ早に。それぞれの姿を持つものが、おのが姿を誇りと共に見せつけるように示し続ける。目にも留まらぬ速さのスライド。なのに、一つ一つのその姿が明確に、確かな形で意識の底へと映されてゆく。刻まれてゆく。
この数千年で滅びてしまった、【人間】に滅ぼされたア-ディル固有の数百万種に及ぶ生き物の姿。それら全てが、種が滅びてもなお消えぬ誇り高さを示してゆく。
明滅するごとに、違う生き物に姿を変えて上映されてゆく、魂たちの叫びのスライド。言葉もなく、意味も通じず、それでも雄弁に語りかけてくる膨大な数の瞳が連続し繋がりながら合わさって、全ての瞳が合体し、巨大な視線を持ち上げて睨めつけながら彼を視る。ファングを見つめる重く深い視線が重なり、針のような痛みをもって彼の意識を貫いた。
その瞳を覗き、覗かれた瞬間、ファングの脳裏に恐ろしい勢いで先ほどとは異なる映像が流れ始めた。
空が圧倒的な蒼さをみせて、そして眼下の地面は血を染み込ませたまま地平まで続いていた。いつまでもどこまでも、限りなく赤色だけで埋め尽くされる。
フィルムが巻かれ、時が流れる。
人が人を殺していた。
人が人を恨んでいた。
人が人を罵倒して、集団で痛めつけて嗤っていた。
『これ、は……ッ』
人が人から盗んでいた。人が人を拷問していた。
人が人を蔑んで、人が人を侮蔑して、人が人に嘘をつき、人が人を使役して、人が人に騙されていた。
たくさんの、数千万シーンにも及ぶそれらの姿。
生身で無い彼の身体がぶるりと震える。ファングには覚えがあった。彼らが旅した600年で、その目で見てきた光景だった。集めた景色の情報だった。
人が人を踏みつけて、人の群れを狩っていた。
人が人を踏みつけて、人以外を凄まじい勢いで滅ぼしていた。
ファングの眉根が痛ましそうに静かに曇る。悲しくて哀しくて胸が傷んだ。
苦しくて悔しくて拳が縮む。
貫く辛さを押しのけて恐る恐る見上げると、光の玉が超巨大な眼球そのものの姿に変化して、まぶたの無い瞳のままで、怒りの視線で彼を見ていた。
◇ ◇ ◇
「皆! あの角のところ、何かあるんじゃないかな?と思うんだけど」
ナハトが挙げた小さな叫びが全ての視線を集めていた。
少年の指差す先を、我先にと眇って眺める。
「どこだ? ナハト」
「ほら、あそこの角。ほんの僅かだけど、小さな歪みがあるみたいに見えるんだ」
ナハトが、数百m先の部屋の隅を指差した。その一角にわずかに歪みが見えたらしい。
「ナーガ」
アリアムがナーガに頼む。
『了解だよ王様』
精霊体であるナーガが瞳をレンズに変化させ、視線の先のその位置をズームで詳細に解析する。
『確かに……当たりのようだよ。どうやら、この巨大な部屋の内壁全てが、合わせ鏡状の多重光学迷彩に覆われているようだね。砂漠に現れる蜃気楼を規模をでかくして構造を縮めたものと思えばいいかな。ほぼ完璧な幻影の偽装だけど、あの一画だけ微妙に綻びがあるようだね。でも、これだけ注意して見てもわずかなものだよ、よく見つけたね』
「なるほどな」
ナーガの分析に納得し、アリアムがナハトに向き直る。
「砂漠の民であるナハトの視力と獅子殺しの集中力、その二つがあったからこそ、その揺らぎの綻びに気付く事ができたという訳だ。お手柄だな」
陽炎ができる程部屋の温度は熱くはないから揺らぎそのものは僅かなものだ。なにより巨大すぎてわずかな光のみしか全体に行き渡らない部屋の片隅。その薄暗い一角が微かに揺らいでいたとして、その壁の輪郭が僅かに歪んでいたとして、常人には……いや、ナハト以外の誰の目にも判別不可能だったろう。
「スゲーよナハト。……よくあんなモンに気がつくな、お前人間の目じゃねェよ……って、うおおおおおイッテェ!!」
呆れ声で褒めたつもりの少年に、隣から神速で少女の蹴りが炸裂する。あまりにも的確に容赦無く脛に極まったその蹴りに、少年の情けない悲鳴が響き渡る。
脛を抑え片足で飛び跳ねながら痛みに喚くカルロスを、蹴った姿勢で片足で見事な程に微動だにせずラーサが睨む。
「ナハトさまなら当然よ。ナニ?文句でもあんのアンタ? てゆーか失礼吐かすそのクチバシ、今からサービスで縫い付けてあげようか?」
「褒めたんだけど!?」
ケンケンしながら近寄ったカルロスがラーサを睨む。が、少女は怯みもせずに応えて叫ぶ。
「あっそう、そうは聞こえなかったから蹴ったのよ。褒めるならもうちょっとこっちに伝わる様に褒めてくれる?」
「ねーよ! おま、幾らなんでも理不尽過ぎるだろこの仕打ち!? そしてお前何その本格的な蹴りの威力!? 格闘家か何かにでも転向するつもりなの水晶使い?! てゆーかお前はいい加減その口より手足が先に出るクセちったぁちょっとでも改めやがれ! でねーとナハトが逃げてくぞ!? ホレ、な?ナハト。躾け躾け、お前もちょっとは言ってやれッ」
「オレになんでそこで振るのさ?」
涙目で文句を言う少年からいきなり矛先を向けられ困惑したナハトに向かい、ラーサの爛々(らんらん)とした視線が迫る! 両手で同調をカモンするカルロスを睨み、
「…………そんなことナイよ、ラーサ?」
ひくつく笑顔で否定するナハト。
「ハテナついてる!? ナハトさまのばかぁ!!」
取り成した矢先に取り成した相手から否定の言葉で返された。
「フォローの正解無いよねコレ?!」
ナハトが口元をヒクつかせ、爆笑するカルロスにラーサが裏拳をめり込ませ。
「……お前たち、置いてくぞ」
3人を残し、全員が示された先に移動してゆく最後尾で、デュランが少々寂しげに、呆れた声で漫才トリオを呼んでいた。
無意識の漫才で遅れた三人が急いで皆と合流し、全員でナハトが見つけた辺りをくまなく探す。と、角の暗がりが深まる場所で、視覚情報のカーテンがめくれた先に、人一人が何とか通れる幅でありながら、天井まで数十mの高さまで吹き抜けの、縦に細長く伸びきった隠された通路が見つかった。
「……一人ずつかよ」
どう見ても罠としか思えない場所に、数百人が一人ずつ細長くなって通ってゆく光景を想像し、漫才トリオに含まれないカルナも含めて年少組全員がゲンナリ気味の顔をする。
「そう言うな。どちらにせよ行かなきゃ始まらないんだからな。そこまで不安なら、スリーマンセルで行けば良い。三人ずつ塊になって、前衛が前方を警戒し、後衛が後方を、中盤が上と壁を警戒しながら進むんだ」
アリアムの提案で三人一組に隊列を組換えて通路に入る。最初にデュラン・リーブス・コールヌイの最大戦力大人組が警戒しながら通路を進む。いきなり襲われても対処できるように、組ごとに間隔を空け、できる限り急いで通路に向かい飛び込んでゆく。躊躇はない。罠など上等。時間が無いのだ。【外】では未だ主砲を失ったとはいえ、小型砲塔をぶちかます敵に向かって、たった十数機の船で顔も見知らぬ味方たちが命を張ってくれている。一人残ったファングも同じ。無駄にする訳にはいかないのだ。
ナハトたち年少組は、全軍のほぼ中央。ど真ん中を三方向を警戒しながらひた走りに走っていた。さすがのラーサやカルロスも、もはや軽口一つ叩かない。
「…………くぅっ」
「どうしたラーサ!? 大丈夫かい?!」
いきなり走りながらよろけたラーサを、ナハトが庇う。
「だ……大丈夫ですナハトさま。すみません。ただ、上を見ていたら、ちょっとめまいが……」
上方警戒担当のラーサは、縦長の通路の上に張り巡らされている、三角だったり四角だったり六角だったりする幾何学模様の無数の群れに酔った様だ。見上げるそこでは、小さな模様が合わさって、同じ形の巨大な模様を形成していた。それらがさらに大きな模様の元となる。下から上へ、マクロからミクロへ。途切れなく連続する模様で出来たグラデーション。それが遥かな先の天井と上方の壁を覆っていた。
「なんだってこんな所にあんな模様が……?」
誰もその疑問に答えを返せる者はいない。そんな中、全員の足元が、ほんの僅か歪んだ気がした。全ての人間がたたらを踏む。
しかし、皆も、ラーサと同じ症状を見せていた。自分も同じく模様に酔っただけだと思い込み、誰も口には出さずに終わる。
そして揺れが瞬時に止まり、やはり気のせいだと誰もが思った。他の人間に今の現象を確かめようにも、スリーマンセルで離れていては難しかった。誰もが頭を振ったまま、納得がいかないままで走り続ける。同時に先頭のデュラン達が通路を抜けて、広間の様な部屋に出た。そこは最初の公園と同じくらいの大きさの、遥か前方に祭壇らしきものがある、礼拝堂のような空間だった。
目の前の、相変わらず認識を完全に狂わされるくらい広大な、部屋と呼んで本当に差し支えないのか既にもう定かでないその場所の、奥の巨大な階段の上。
中央部のテラスの様な広場の上に、一つの建物、神殿と言われても納得してしまう山のような建造物の塊が重量感たっぷりに座している。
さすがの彼らも開いた口が塞がらない。めまいがどっとぶり返す。あの大きさの建物が乗る祭壇とは、いったいどんな大きさなのだ。
そこはもう、一個の部屋というよりは、既に一つの空間だった。すぐ近くに見えれども、きっと数キロの距離があるのだろう。その光景は錯覚をおこすという以前に、既に人間の認識力の限界を軽々と凌駕し、突破していた。
そしてその空間内でさらに圧倒的な存在感としか言い様が無い、異様な威容さをかもし出すその物体の大きさは。
高さも幅も、目測が正しいならば、共に500mは下らないだろう。祭壇も建物ももはや建造物とは言い難い。遠近感などあって無きがごとしだった。何のためにこれ程の代物が船の中に必要だったというのか。先祖を深く深く問い詰めたい。
縦長の長方形の形をしたそれは、超巨大な建造物でありながら、建物ではありえ無く、
「……冗談だろ? さすがにコレは…………?」
「山、ですよね先輩、これはもう?」
数々の異様な代物を見てきたはずの少年たちが、思わずゲンナリと呟いてしまったのも無理は無い。それは、悪夢のような弩級さで、【パイプオルガン】の形を模したパイプ構造を成していた。
同時にそれは、何かの祭壇を為してもいるようだった。
「こんな所に……こんなものが……」
いつかの昔日に、必死で探してとうとう見つけることができなかった敵の本体。それが、ルシアの眼前に広がっていた。かつての探し物を睨みながら、ルシアが呟く。その周りでも、
「どうやら、音管ではなく冷却装置の一種……の様ですが……」
「それにしたってでか過ぎだろ。普通に、冷却中に音楽としても鳴るんじゃねえのか? あの大きさだと」
『だいたいどうして、船の中にこんな巨大なものが必要だったというんだろうね? 皆はどう思う?』
「神を捨てた俺だが、分かる気はする。そうした何かが、目に見える縋るものが、必要だったのだろうな、この船の連中には……」
「それで……」
大人組に混ざって、少女の声がこだました。
「それはまあ良いとして。それで、あれ、コワすの……?」
どうやって? と少女は聞いた。
誰もが答えに窮したまま、口を結んだ。
第 三話 『“こどく”の船 〜活性〜』 了.
第 四話 『“こどく”の船 〜惑い〜』 に続きます。