風紀委員の日常
「なに、これ」
眼の前に見えるのは俺がこの前暇つぶしに描いた「青春」というものに対する自分なりの解釈が書きこんであるメモ帳である。
確かこれは書いた後に自分でもないわ-、と感じくしゃくしゃに丸めてゴミ箱の中に投げ込んだはずだが、なぜいまこの女の中で広げられて見せつけられているんだ?
というかなんでこの女こんなに偉そうにふんぞり返って俺の目の前にいるんだ?
そんなに自分の無い胸を自己主張させておまえは哀しくないのか?
「なぜだろう、今あんたから下卑た獣が獲物に同情したような、そんな感覚を感じたんだけど」
「そういう感覚は実際そういう体験してなきゃ使っちゃあ駄目なんだぞ」
「そうね。下卑た獣から狙われてる感覚はいつも感じているんだけど」
「そりゃ危ないな。夜道とかは時に気をつけろよ。まぁお前のそのたまってもいない脂肪狙う獣がいるとも思えんがな」
「...へぇ、やっぱりそんなこと思ってたんだ」
あ、やべ。墓穴掘った。
俺の発言により静かな怒りにさいなまわれた風紀委員副委員長「九十九紫」は
自分の指をぽきぽき鳴らし血筋を浮かべながらこちらを睨みつけた。
これにはさすがにやばいと感じ九十九に向けていた視線を委員室の片隅...に椅子を置いて一人本を読んでいるもう一人の風紀委員に向け助けを求める。
その視線に気づいたのか、それとも九十九の異変に止めるべきタイミングを見出したのか、
もう一人の風紀委員「木下咲久」がその重い腰を上げてこちらに声をかけた。
「おい...暴れんなら外出てやれ。さっきからうるせぇんだよ」
「OK.分かったわ」
「いやダメだろ、止めてくれよ」
お前いつもそんな感じじゃないだろ。もっとヤレヤレ系ラノベ主人公的なキャラだったろ。
可愛い同級生が頼むんだったらついつい応えちゃう性格だったろ。
「安心しろ...俺はお前が同級生どころか人間だとも思ってねぇ」
「どこに安心する要素があるんだよ、むしろこれからのお前との高校生活について不安要素が残ったよ。ていうか俺の心を勝手に読むな」
「そうか、そいつは悪かったな。早く殴られてこい」
「もう殴られんのは決定なのか「右ストレートで...」おい、ちょっ待てつくm...」
ドゴォォン......
あれ、なんか話逸れてね...
俺が最後に考えたことはただそれだけだった...