『水音』
ピチャン……。
ピチョン……。
水が滴っているのか? 眠っている耳に響き渡る……。
それでも疲れている俺は眠りにつこうと体の向きを変えて目を閉じていた。
バシャン!
ゴボゴボ……。
水の中に落ち、慌てて水面に上がろうと手足を動かす……。
はっ! ……ハァハァ……。
目を見開き天井が見える……体は動かさず目だけを動かし左右へ動かす。
水の中では無い……ベッドの布団の中だ……。
冷房のかかっている部屋、少し涼しくしてあるので布団に入り半裸で眠っている……だがどうだ? 夢のせいで汗が滲む……。
ピチョン……。
ピチャン……。
もう一度眠ろうとするもやはり水の落ちる音が耳に障る。
キッチン、バスと水場を確認して蛇口を締め直す。
これでもう大丈夫だろうと、布団に入り眠りにつくが……。
ピチョン……。
ピチャン……。
やはり何処からか水が滴り落ちているのか?
明日業者でも呼んで点検してもらわないとな……。
俺はあまり気にせず眠りについた。
ゴボゴボ……。
水中にいる夢……、……薄暗く光る水の中……。
手足を動かして泳ぐも深海にでもいるような場所でどちらに向かっているのかもわからない……。
突然暗闇から巨大な鮫が襲いかかって俺の腹は食い破られた……。
うわああああ! ……ハァハァハァハァ……。
ガバッとベッドから起き上がり、頭を軽く振り眉間を押さえて確認する……。
やはりベッドだが布団は汗で濡れていた……。
くそっ! なんなんだよ!
タオルで汗を拭きながら鏡を覗き込む。
その顔は……酷いもんだ……あんな夢を見ちゃこんなにもなるか……。
水を一杯飲み、濡れてまだ乾いていないベッドへ潜り込む。
不思議と不快感は無く、そのまま眠りについた。
ピチョン……。
ピチャン……。
やはり水の落ちる音は聞こえてくる。
もう今日は気にしなくていいだろう。
ザバッ!
ぷはっ!
おいおいおい! 今度はなんだよっ!
急流の幅が広い河川。
泳ぎは得意な方だが岸へ泳ぐも、どんなに泳いでも全く近づけずにどんどん流されていく……。
川の流れが更に早くなり始め、ゴーっと川の先から音が聞こえ始めた。
あれは……、……滝だ!
必死に反対側へ泳ぐ……だが川の流れには逆らえない……。
俺は滝に飲み込まれ沈んでいった……。
ピチョン……。
ピチャン……。
「うっ! これは酷いな……」
「ああ……」
「気分悪くなってきたぜ……」
部屋に入って来た三人の男性はベッドで眠っている俺を見て口を押さえていた。
ピチョン……。
ピチャン……。
ベッドから滴り落ちる赤い色をした水……。
シーツからベッド、床まで全てを赤く染めていた……。
テレビからは連続殺人犯のニュースが流れ、数日後犯人は水死体で発見された……。
恐怖で慄いた顔をしたまま放置された車の中で……。




