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1-1.私

私は長谷川未凪はせがわ みなぎ、女子高生だ。


黒のショートボブは七歳のときからずっと同じ。母に"長い髪は洗うのも乾かすのも大変だから嫌だ"と訴えて、ばっさり切ってもらった。


その時の軽さが気に入り、以来一度も変えていない。染めるつもりもない。短い黒髪は、もはや私の一部だった。


身長は一四六センチ。顔立ちは幼いらしく、初対面ではよく年齢を間違えられる。童顔は得か損か……まだ答えは出ていない。


服の趣味はロリータ寄り。個人的には本格派じゃないけれど、普通とは言えない格好だと思う。本人としては"控えめ"のつもりでも、他人から見ればどうだろう。そこは皆さんの想像に委ねたい。


文章の調子が落ち着きすぎている?女子高生らしくない?そう感じた人もいるかも知れない。でも私はこれでしか自分を語れない。慣れてくれたら嬉しい。そして、信じてほしい――私は間違いなく、ただの女子高生なのだから。


生まれ育ちは、日本の最北端、礼文島。風と海と静けさに包まれた小さな島だ。変化が少ない毎日のなかで、ある出来事をきっかけに、私の心は遠い東京に向かい、小学生の頃には既に決めていた。"十五になったら東京に行く"と。


四姉妹の長女で、妹たちはまだ幼い。家計に余裕もない。それに、私には少し“普通じゃない特徴”があった。だから、東京での一人暮らしなど無謀にしか見えなかったはずだ。両親が反対したのも当然だろう。


それでも諦めず、何年もかけて説得した。そしてついに許可を得て、十五の春、私は島を出て上京し、東京都北区の高校に入学した。


家族も友達もいない東京の街は、思ったより早く馴染めた。新しい友達もできたし、家事もなんとか熟せた。成績は……まあ“そこそこ”だ。


私が上京した理由。それは、"殺人事件"のコンサルティングの仕事をするため。


皆さんはそんな仕事聞いたこともないし、想像がしにくいだろう。簡単に言うと、殺人事件の解決を専門に請け負う民間企業だ。探偵事務所のように浮気調査や人探しを受けるわけじゃない。ただ一つ、殺人事件のソリューション提案に特化している。


まだイメージが湧かない?気持ちは分かる。もし私が皆さんの立場なら、何を言ってるのか、理解に苦しむはずだ。


ただ、もし少しでも私に興味を持ってくれたなら、これから語るいくつかの事件のことを聞いてほしい。


私が実際に見て、感じ、知ってしまったこと。それを辿れば、この仕事の本質が見えてくるはずだ。


そう。最初に語るべき事件は決まっている。


舞台は東京都のはずれもはずれ。本土からフェリーで三時間以上もかかる、開発途中の人工島。観光地化が進んでいたその場所で、殺人事件が起きた。計画は頓挫し、島は今も未完のまま放置されている。


あの時、私は何度も心の中で呟いていた。


 ――この事件、一筋縄ではいかない。


その時のことは、今も記憶の奥底に焼き付き、昨日のことのように思い出すことができる。


だから、ここから始めよう。あの、怒りと憎悪……そして深い深い悲しみで埋め尽くされた人工島の事件から。

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