追ってくる者⑷
教室の床って意外と冷たいんだな、私はへたり込んだまま呑気にそんなことを思った。「緑、貴方これからどうするつもり?オロチ、生徒会役員になったって聞いたわよ。生徒会役員に目をつけられて高校生活を無事に終われるとは思えない。」「…尼子、人間の作ったことわざに『蛇に睨まれた蛙』ってあるじゃない?私、あれをリアルで経験したの。次、あのことわざを使う小説を書くときにはきっととてもリアルに描写できるわ!」「えっと…おめでとう?」私は尼子に抱きつく。「どうしよう、尼子!私、まだ死にたくない!!!!」「お墓には貴方の大好きなクッキーをお供えしてあげるわ。」「死ぬことを前提に話さないでよ!」
その日の晩はろくに寝れなかった。次の日私は三つ編みをする元気もなくて、適当に一つ結びをするとふらふらしながら学校にむかった。教室では既にオロチが男女問わず色んな種族に囲まれていた。相変わらず胡散臭い笑顔だぜ、私は思わず顔をしかめる。そして、まあ、なんと運の悪いこと。ばっちり目が合ってしまった。オロチは笑みを深めて立ち上がる。「おはよう、緑さん。今日は三つ編みじゃないんだね。三つ編み姿も可愛らしいけど一つ結びも良く似合ってて可愛いよ。」おえ…歯が浮きそうなセリフだぜ。私の素直な顔は苦虫をすりつぶしたかのようになる。「あの…。」私は深呼吸すると昨日の晩からあったら必ず言おうと思っていたことを勢いよく口にする。「溺死と電気ショック、それから拷問による死は本当に嫌なんです。殺すならせめて即死でお願いします!どうかお情けを!」私は頭を下げる。オロチはぽかんとした後、笑い出した。「殺す気なんてさらさらないよ。僕が陰口をたたかれたぐらいで相手を殺そうとする男だと思うのかい?隠ぺいするのもなかなか手間がかかるんだ、そんなことで殺していたらきりがない。」私は彼の言葉を聞いて思わず後ずさる。つまり、隠ぺい工作する必要さえなければたくさんの者たちが殺されるということか。後ずさる私を見てオロチは楽しそうに金色の目を細める。「でも君は昨日から何かしらの罰をご所望みたいだからね。」「所望してません。」オロチは私のつっこみを無視して言葉を続ける。「君を僕の秘書として生徒会役員に登録しておいた。これからよろしくね?僕の可愛い秘書さん。」オロチの言葉に私は目の前が真っ暗になっていくのを感じた。なぜって、今の彼の言葉で高校三年間の奴隷生活を宣告されてしまったのだから!




