5章 「それぞれの日常・a」
「それぞれの日常・a」
朝。柔らかな日差しが体を包むころあい。俺は、まだ寝ていた。
「たく、仕方ないね。たたき起そう。いくよ、蘭」
「うんっ!」
「せぇーのっ!」
「「起きろぉーっ!朝だぞーっ!」」
そんな柔らかな朝のイメージとは裏腹に。俺秋沢龍一は、二人の女子にたたき起された。
「ん…今何時?」
「8時30分。予定より20分オーバーや」
「……やっべっ!」
俺は急いで跳びあがり、女子二人を部屋の外で待たせ、着替えを済まして荷物を持つ。そして、部屋を出た。
廊下には美菜、蘭、鴨井、羅衣。全員集合していた。
「たく、早く起きなさいよね。いつもいつも遅いんやから」
「ごめん。ついついさー寝てしまうんだよ」
俺らは朝ごはんを済ませるべく、食堂へと向かう。食堂はかなり近いほうで、すぐ着いた。
テーブルの上には、ザ・朝食・豪華版と言った感じの料理が並べられている。クロワッサンに、コーンスープ。ウインナーにスクランブルエッグ。どれもこれも、合成食材なんかじゃない本物。
「うわぁー…すごい。早く食べようよーっ」
「そうだね。では、」
――いただきます――
やはりみんな始終無言で食べている。
俺も、無言で夢中になって食べた。
どれをとっても、素晴らしいくらいにおいしくてやみつきになる。こんな素晴らしい宿とも今日でお別れだ。何故なら今日観光したら、帰る予定だからだ。なんと名残惜しい。
――ごちそうさまでした――
「おいしかったねぇ~朝ごはんも」
「そうだねー」
俺らは、食堂を出た。
「じゃ、チェックアウトしてくる」
「よろしくー」
俺は受付まで行って、チェックアウトを済ますべく受付嬢に話しかけた。
「あの、チェックアウトお願いします」
「はい。かしこまりました」
{どうでした?三田。だいぶ変わっていて驚いたでしょう}
{そうですね。びっくりしました。とてもいいところです。}
「じゃ。ありがとうございました。お世話になりました」
俺はそそくさとホテルを出て行った。みんなはそれに続く。そして、今日の目的は市内観光。みんなで、ぶらぶらと歩きだした。
「さてと、適当にぶらつきますか。」
「そうやねー。いいお店があったら、立ち寄ろうよ」
朝の日差しは、やっぱり柔らかく。心地よい風が吹いていて気持ちがよかった。今の時代には珍しい自然を堪能しながら、ぶらぶらと歩いている。その時。
「おい、そこのお姉ちゃん達ぃちょぃと金かせや」
「は?」
俺は思わずそうつぶやいてしまった。見るからに不良。と言った格好で、手にはちゃかを持っている。何故今やーさん風に言ったかというと、相手がそういった感じだからだ。
「あぁ?なんだ、その態度は?金かせっつってんだよ。早くしねーと、この子のどたまぁぶちぬくぞっ」
そいつらは、あろうことか美菜の首をつかみ、こめかみに銃をつきつけた。
「お前らなぁ…丸腰の女の子相手に銃だすたぁ。いい度胸してるじゃねーか。」
俺はバルンを一気に引き抜き、相手が持っている銃に向けて撃った。一瞬の動きで、相手はあっけにとられている。その間にも銃は弾き飛ばされ、美菜は肘鉄をそいつに食らわし、逃げた。すると、そいつは携帯を取り出し
「あぁ。俺だぁ。ちょっとこっちきてくんねーかなぁ。…あぁ、20人ほどだ。」
「今から一瞬で俺の部下どもがここに来る、おとなしくするこったなっ。…よくも銃を撃ってくれたじゃねーか」
「ん?部下。なんかの組織か?」
薄々感づいてはいたが、説明臭く聞いてみた。
「あぁ?俺らのことしらねぇのかぁ?お前らぁ。DOTSといやぁ、誰でも知ってるんだがなぁ」
「また、DOTSか。」
そう吐き捨てた刹那。周りから大勢獲物をもった人々が来た。おそらく、いや確実に。こいつの部下だろう。
「よくもまぁ、ぞろぞろと。しかも、獲物持ってやがってるし…て、今日本語変だったな…んなことはどうでもいいんだ。お前ら、やるの?おれと?」
「やめといたほうがいいっすよー。この人、こう見えて結構強いっすからぁー」
「私も、やりますよ。」
「羅衣、お前いつでもその鎖鎌もってんのか!危なくねーかっ?てか、持ち歩きにくいだろっ!」
「危なさに関しては、先輩には言われたくありません。先輩だって、いつも銃持ってるじゃないですか」
「何ごちゃごちゃやってんだよぉ」
「俺達の先輩をやってくれたらしいじゃねーかぁ!なら、おとしまえくらいはつけてもらわねーとなぁ」
「やったっていうか、銃はじき飛ばしただけなんすけどね」
俺は呆れを含めた笑みを浮かべる。
すると、向こうはこっちめがけて走ってきた。
「さてと。ゴム弾。装填。いっちょいきますか。羅衣、暴れていいぞー」
「了解。」
その刹那、羅衣は鎖鎌を取り出し、相手の武器めがけて投げた。すると、鎖が上手い具合に絡みつき、ひょいひょいと敵から武器を奪っていく。その感に、俺も銃で相手を迎え撃つ。ゴムだから、痛いくらいですむので、容赦なく足や手を狙う。
「えぶふぁっ!」
「…なんだあいつら、的確につぼを狙ってくるっ!」
「あぁ、俺ら?俺らはぁ…世界剣銃協会所属高等学校。略してWSGHの一級生徒だっ!」
1級生徒とは、学年のトップクラス。A~Fクラスでいうなら、Aクラスだ。ただ、ある試験に負けると一気にクラスが成り下がり、成り上がり。なのだが。
「…WSGHだと?…あの、軍育成学校か…?」
「なんだそりゃぁ?」
「あれっすよ、先輩。日本に6つしかない、政府直属の学校です。」
「ふーん。それ、すごいのか?」
「すごいってもんじゃないすよ。戦闘知識、、実績においては敵う人はいません。しかも、そのトップとなると…中途半端な喧嘩集団じゃぁ、勝てやしませんよ」
「俺らぁ。中途半端な喧嘩集団じゃねぇんだけどよぉ。あいつらぁ、確かにやべぇな。よし、おめぇらぁっ!一旦引くぞ!」
――シー!――
「シー?何故にイタリア語?」
「さぁな。大丈夫か?美菜。」
「う、うん。」
――同時刻・渋谷の某マンション――
「すいませーん。望月さん。いらっしゃいますかー?」
インターホンに問いかけるその女は、スラっとした足。ひきしまったお腹。顔も上の中くらい。世間的に言う“美女”というやつだった。雨が降っており、若干髪は濡れている。
「やぁ、威海さん。待ってましたよ」
インターホンの向こうから聞こえてくる声は、若い男性と思しき声だ。
「なら、早く開けてくれない?」
「わかってますって。今、開けますよ」
マンションの一室の部屋が開く。出てきた男は、インターホンの声の主。外見年齢20歳くらい。さわやかな顔つきの好青年。といった感じだ。
「さぁ、あがってあがってぇー」
「おじゃまします。」
男は、女をソファーに座らして自らはデスクの椅子に座り、問いかける。
「で、威海さん。今回はどんなご用件で?まさか、用事もないのにわざわざ電話かけたりしないですよね?」
「当たり前じゃない。今回は、あなたを有力な情報屋。と見込んでの依頼よ。」
「おぉー。これは光栄だぁー」
男は、ものすごく軽い口調で言う。
「で、どんな依頼?」
「調べてほしいことがあるの。…最近街に増えてるでしょ?CFO組織。その中でも、DOTSという集団。それと、WSGHのこと。」
「それは、お安い御用だけどー。この前売った情報以外の情報。となると、お高くなりますが?」
「それは、わかってるわ。だけど、調べて頂戴。」
「この件は、僕の中でも未知の領域。というやつでね。10万くらいは払ってもらわないとー」
「それでいいわ。10万。」
「商談成立ぅー♪…では、早速調べるからわかったら電話しますよー」
「そ。じゃぁ、今日は帰るわ。あと、この件はくれぐれも…内密に。」
「まぁ、国家反逆罪に成り得ますからねー僕も慎重に事を運ぶとしますよ」
会話を終えると女はそそくさとマンションを後にした。
――会話終了とほぼ同時刻。三田市・某公園にて。
「さっきの。なんだったんすかねぇー」
「DOTS。と言ってたね」
「DOTSって、新聞に載ってた。あと、壁の落書きにも。あったやんね」
「ん。あんな暴力的な集団じゃぁなかったらしいんだけどな。最近暴力的になってしまったらしい。」
「まっ。ええやんー別に。怪我はなかったわけやしっ気を取り直して、観光―観光―♪」
美菜は、自らが被害にあったというのに、明るく話しを切り出した。おもむろに立ち上がり、みんなの肩をぽんぽんと叩いている。
「そうだね。気を取り直して、観光…と行きたいところだけどー。さっきのいざこざの間に、結構時間を食ってしまったみたいでね。そろそろ新幹線のらないといけない時間だよ」
「まじか。じゃぁ、駅。いこっか」
「そっすねー。まぁ、DOTSのことはーもうどうでもいいっす」
「そうだな。じゃ、行くか」
俺達は昼の街を歩きだした。この公園から、駅まではそう遠くはない。だから、すぐ着く。
歩きながら、街を見ていると先日鴨井が買ったリストバンドをつけた人をよく見かけた。先ほどのDOTSの集団も、皆、一様にあのリストバンドをつけていた。
駅前の壁には、来た時と同じように“DOTS推参“!と文字が描かれている。
駅の入り口をぬけて、改札を抜ける。すると、ジャストタイミングで乗る新幹線が到着。なんと、間がいいことだろう。余裕で俺らはそれに乗車した。乗車して間もなく、みんな寝てしまった。俺も、寝た。
―――そして、次の日の午後16時。学校にて―――
「えーと、そういえばさぁ旅行行ってて忘れてたけど、明日。試験じゃなかったっけ?」
「あ、ほんとっすねー。戦争試験じゃないですかぁー」
戦争試験とは、各クラス学年関係なしに行うテスト。
内容は、この学校のバーチャル空間を作り出し、仮想空間の中で行う戦争。
したがって、仮想空間の中で攻撃を受けても、自分本体には傷がつかない。
というわけだ。だったら、どうやって勝敗を決するのかというと、自分の体についているターゲットマークを破壊すればいい。
勝敗の基準は、自分のクラスで大将を決め、そいつがやられたら負けだ。
そして、自分のクラスが上位のクラスに勝った場合、クラスの地位が反転する。というシステムまである。
「まぁ、うちらは学年トップクラスやし、楽勝やんなー蘭」
「そうとも限らないよ?油断してたら、下位クラスに負けることもあり得るしね」
「そうっすよー、まぁ同学年にやられる前に先輩のクラスはうちらが潰すっすけどねー」
鴨井もまた、学年の上位くらすである。羅衣も同じクラスだ。
「まぁ、俺らがやられる心配はないだろう。もしまけたら、順位が入れ替わる。ただそれだけだし、別にいいけどね」
「順位入れ替わるってことは、進路の有利不利も変わるってことだよ?」
「蘭、俺は進路なんてどうでもい…ぐばはっ…」
「そんなこと言うもんやないの!進路は、大事なんやからねっ!」
「わりぃわりぃ」
「そういやぁ、最近先輩の学年に入ってきた新入生って、どうなんすかねぇー」
「どうって?」
「強いのかなって話っすよーあと、どんな人なんでしょうかねー」
「私は会ったことないからわからんなぁー」
「右に同じ」
「さらに同じだよー」
「まぁ、うちらは現状維持がんばりますか」
―――新宿・川沿いの某マンションにて―――
「ふにゃぁ~…つっかれたぁー」
「恵ぃーお疲れ様ぁー」
「ありがとークロ。本が売れるようになってからというものの、忙しすぎて困っちゃうよね~」
「それ、売れない人にとっては嫌味にしか聞こえないよ?恵」
ソファーにゆったりと腰をかけている18歳くらいの少女。2つ目の声は、その隣に座っている15歳くらいの男の子。横に置いてある原稿用紙には、秋野 恵と書いてある。小説家のようだ。
「全くー僕らも有名になったものだねーほら、外見てみて」
「ほんとだ。マスコミや、一般人。いっぱいいるね」
「こんだけ有名だと、動きやすいのか動きにくいのか…まぁ、僕の興味をくすぐるものはできそうだぁー」
僕と言っているが、秋野 恵は女の子である。
「まぁ、現実と虚構も思い通りにはならないということかぁー」
「どういうこと?虚構は、自分がそういう風に作れば、そういう風になるでしょ?」
「小説なら、最初に決めた設定通り、筋書き通りにしなきゃぁいけない。駒を動かすにしても、その駒にも筋書き通り。話の筋にそってもらわなくてはならないでしょ?だから、思い通りにならない。現実ではもっとだ。駒を動かそうとしても、駒にはそれぞれの意思があり、必ず思い描いたシナリオ通りにはならない。だから僕は作ってみたいんだ。現実で、僕の描くシナリオをね」
「さいで」
恵はふーっと長い息を吐き、また机に向かった。
「ま、好きなだけやりなよ。僕は、恵のやることに従うからさ」
「もちろん。そうさせてもらうよ」
クロは「そう」とだけ呟き、そのままソファーに横になった。
―――翌日 朝。学校にて―――
「えー。只今より、戦争試験を始める!全員、ヘッドフォンをつけるように。」
ごつい体躯の先生の合図で、全員がヘッドフォンをつける。
これが、仮想空間に行くための装置だそうだ。それにしても、なんでヘッドフォンなのだろう。
「では、戦争試験!始め!」
その瞬間。生徒の体が光に包まれ、意識が真っ白になる。
そして真っ白になったかと思えば、目の前には自分の教室が広がる。
「ふー。この感覚には、慣れないな」
「そうやねー。よし、じゃぁどうする?」
「まず、俺と美菜と蘭は特攻隊。敵に突っ込んで行く。それから昨日決めた班で、守りと攻撃に分かれる。A班が守り。B班が攻撃だ。まず俺ら特攻隊が教室から、出て手近なあクラスからつぶしにかかる。そしたら、それに続いてB班も教室を出て、つぶしにかかってくれ。以上!作戦開始!」
俺と美菜、蘭は教室を飛び出した。
すると、Bクラスが待ち伏せている。
それを、俺が早撃ちで一掃する。美菜は、お得意の剣術で道を作っていく。幾人の生徒が仮想空間から現実に引き戻された。
「よし、B班!用意!」
―オーっ!―
「よし、美菜。蘭。あとはあいつらに任せて他のクラスをたたきに行くぞ!」
「わかったっ!」
俺らは敵勢の中を堂々と駆けていく。
「ハッハッハ!いい気分だぜっ!」
「黙れ。五月蠅い。」
俺はバルンに大してかまわず、次に近いクラス。C組を潰しにいく。
「見えた!C組の旗だ!」
「よし!行くよっ!」
美菜がまず敵に向かう。敵のターゲットを的確に、そして木端微塵に斬り刻む。
俺は後方から援護をする。
蘭は美菜に次いで敵陣に乗り入る。
ナイフでターゲットマークを次々と砕いている。
もう援護は大丈夫かなというころ、俺は敵の大将のところにもぐりこもうと教室に入る。
狙い通り大将は教室に居た。護衛は3人ほど。武器は、銃銃刀と言ったところだろうか。相手が撃ってくる前に、バルンを抜き放った。
そして、周りの護衛が一瞬にして現実に戻される。
「さてと、大将同士の一騎打ち。というわけですかー」
「…ッ…」
俺はバルンでターゲットマークを撃つ。大将と言えど、所詮は学年最下位クラス。倒すことなど造作もなかった。Cクラス大将は、一瞬にして現実に戻された。
これで、この学年は制覇しただろう。そして、1年生を次々と倒し、残るは2年だけとなった。2年も、2年同士でやり合ったはずだからもう残っているのはトップのAクラスだけだろう。
「あらあらぁー先輩いー派手にやりましたねー」
「鴨井か。…げ、Aクラスほぼ全員生き残ってるし。」
「これはさすがにやばいかもね、龍」
「でも、美菜ちゃんと龍君と私なら大丈夫だよ~」
「羅衣がいることも忘れないでくださいよー」
「先輩。覚悟してください。」
その刹那―――羅衣が前に踏み出した。それが合図だったのか他の敵生徒も前に踏み出し、攻撃態勢に入る…前に、俺がその生徒の半分くらいを瞬間的に現実に戻した。
残るは、羅衣と鴨井。そしてその他数人だけとなった。
「とりあえず周りのやつらは俺がやるから、美菜は羅衣を!蘭は鴨井をやってくれ!」
「「了解っ!」」
俺はそれを聞き、うなずくとまたバルンを手にとって、周りの敵生徒を撃ちまくった。
そして、蘭は…
「鴨井の武器ってぇー初めて見るんだよね~どんなのどんなのー?」
「まぁまぁー見たことなかったんすねぇー」
鴨井は、一瞬だけ目を細めた。
「なら、見せてあげましょうー」
「じゃじゃじゃじゃーんっ♪」
鴨井が取り出したのは、長めの槍。しかも、両刃だ。
「げ…蘭は分が悪かったか…」
俺は横目でそれを見ながらつぶやく。
蘭は、それでも余裕という表情で鴨井を見ている。
「じゃ、行くよー」
蘭は、ナイフを一つ。投げた。その瞬間、鴨井の体は宙を舞う。その隙に蘭はもう一本ナイフを投げる。鴨井はそれを槍ではじく。甲高い金属音が鳴り響く。
蘭は今度は投げずに鴨井に突っ込んでいく。鴨井は、槍を水平に構える。蘭はそれを呼んでいたのか鴨井が槍を振るうモーションに入った瞬間に、天井に跳躍、そして天井にナイフを突き刺し、それをつかみ、一瞬だけぶら下がる。そして、後ろに跳ぶ。そして鴨井の頭上から、ナイフを投げる。
そして、弾かれることを予測して相手の死角に入ったと思った地点、もちろん空中からナイフを何本か投げる。そのうち一本はターゲットに。
「そんなアクロバットしたって、はじけるっすよ~」
「…っな」
「先輩なめたらだめなんだからねー?」
鴨井が気付いた時には、ターゲットにナイフが刺さっており、そのターゲットは砕けた。
鴨井も現実に引き戻される。
そうこうしているうちに、敵の雑兵は俺が全部倒した。そして、あとは羅衣だけ
「正直いって、羅衣の武器苦手なんよね~合わないっていうかさぁー。なんかぁーこちらとしては分が悪いというか」
「そーですか。ということは、こちらにとっては相性が良いということですね」
羅衣は、鎖鎌を両手に持ち、いつでも来い。というように構えている。
対する美菜は、刀を腰の位置に持っていき、水平に構えている。
「じゃっ!いくでっ!」
美菜が、羅衣に突っ込む。水平に構えていた刀が羅衣の手前で素早く薙ぎ払われる。
羅衣は、身をよじらせてよけて鎖鎌の鎖で刀をまきつけようとする。
が、失敗に終わり美菜が羅衣の足を斬りつける。ここでは実際に斬れるわけではない。
が、相手がひるむ。という設定になっている。その設定通り、羅衣は一瞬ひるんだ。そして、その隙に美菜はターゲットを突く。だが、そう上手くはいかず、羅衣は状態を立てなおし、後方に跳躍。そして、鎖鎌を投げた。投げたと言っても、鎖をつかんでいるのですぐ引き戻せる。操れる。美菜は、刀で防ごうとはせずに後方に跳躍。その後、高く前に跳躍。鎖鎌の鎖の合間を縫いくぐって、羅衣の懐に潜り込む。
「しまったっ…!」
《だめ…!たとえ試験でも、私は…!私は…!誰よりも強くならなくちゃいけないのに…っ》
「取ったぁーっ!」
美菜の刀が羅衣のターゲットを貫く。
ターゲットは、無残にも砕ける。そこには俺らだけが残った。そして、試験終了のチャイムが鳴る。
俺らも強制的に現実に引き戻される。
戦場から無事帰還。今回もトップの名目を保つことができた。他のクラスは、順位入れ替えがあったとこもあったらしい
まぁ、あまり聞かない方がいいだろうと思ったから、あんまり聞くことはしなかった。
なにはともあれ戦争試験は、何事もなく無事終了だ。今日はもう授業はない。
校長の話を聞いた後、俺はとっとと家に帰った。
―――同時刻 渋谷の某マンション―――
「いいね~いいね~全て俺の思い通りにことは進んでる~っ!こうやってると、自分が神にでもなったような錯覚に陥るよねー」
精悍な顔つきをした美少年。“望月 空也”
はソファーに深くもたれて、トランプで遊んでいる。
まぁ、遊んでいるといっても一人なのだけれど。
望月の視線の先には、威海がコーヒーを飲んでいる。
彼の部屋のデスクには、資料が山積み。そして、パソコンがある。そのデスクに腰をかけて、威海はコーヒーを落ち着いて飲んでいる。
「ほんと、あなたって黒幕主義よね」
「いいじゃないですかー結構楽しいもんですよー?人を情報によって意のままに操るというのはねー」
「ほんと性格歪んでる。」
威海は無表情で望月の性格を批判する。
「あなたには言われたくないですねー」
「それで?この前頼んだ情報どうなったの?」
「それならぁー…っとっととー…このUSBに入ってます。」
「そ。じゃぁ、お金ね」
「毎度ありぃー」
威海はデスクにお金を置く。すると、すぐさまその部屋を出て行った。
「彼女もまた、駒の一人なんだけどねー」
「そういえば、今頃DOTSの創始者様はどうなってるだろうかぁー」
今回は、長いですねw
正確に言うと、今回”も”長いねw
いやぁー
読むの大変ですねー
改行はしてるんだけどね
まぁ、よんでくれたら幸いです
今回は新キャラ結構でたねー
これからも、出るよb
僕の小説はキャラクター多いからねーw
それぞれが重要な役を果たします。
さて、黒幕キャラが2人いますね
そこは、後々わかります
気にしないでくださいwww