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4章「旅行ですよ」

4章「旅行ですよ」




 さて、今は何時だろう。なんだか長い間眠っていた気がする…が、そんなことはよいのだ。旅行の準備を整えなくてはならない。



ちょっと待てよ、俺今寝てるの?起きてるの?意識はあるのに寝ているようだ

 「りゅう~りゅぅーうぅー?」

声が聞こえる。美菜の声だろう。あぁ、でも真っ暗だ… 

 「起きろぉっ!」

 「いてっ!」



俺は美菜のチョップにより強制的に現実へと引き戻された。窓の方を見ると朝日が眩しいとは言えず、天気予報は晴れだったのになと思いながら時計を見る。

するともうお昼の3時…まぁ夕方だが。



 「ふぇ!?もうこんな時間!?ちょっ!やばいっ!買い物行かなきゃーっ」

俺は途中転げながら大慌てで階段を駆け下り、さすがにお腹すいているので置いてあったおにぎりを犬が餌を食べるようにほおばり、着替えを済ました。

 「もう…何度起こしても起きひんから奥の手使っちゃったやんかぁ~」

 「奥の手ってあれかよ」

 「そっ♪怒りの鉄槌美菜チョップ~」



どこが怒りの鉄槌?マンガの読みすぎじゃないか?

 「私は龍が起きるまで買い物ずーーーーーっと我慢してたんだからね?感謝しなさいよ」

 「ごめんな。よし、じゃぁ行きますか」

俺らは一通り準備ができたので近くのデパートに向かった。途中バルンが吠えたので何回か殴ってやった。もちろん自分の手も痛いから自滅行為である。

 「まず何買う?」

 「そうやねぇ~…あ!カメラの電池!」



美菜は言うとすぐさま電気屋に向かって行く

それを俺は追いかける。

 「カメラの電池ねぇ~…」

今度行くところはカメラ要らないと思うが…



と俺は内心思った。間違ってもそれを口に出したりはしない。

 「あれや。あれぇー…えーとー。あれにいるんよ」

 「活動報告やらレポート?」

 「そうそう、それそれ!」



美菜はカメラの電池を数個買いだめした。

次は日用品。まぁこの場合は旅行用携帯歯ブラシとかそこらへんだろう。

 「歯ブラシと~…あ!この棒付き飴ホルダー!」



 「それって日用品かよ。なんでそんなもんが日用品売り場にあられるんですかぁ?」

俺はその棒付き飴ホルダーに対して突っ込んだ。ほんとにわけがわからない。なんでこんな物が日用品・雑貨売り場に売っているのだろうか

 「ねぇこんくらいでいい?買うの。」

 「あぁーいいんじゃない?他のもんはたいてい家にそろってるだろうしさ」

 「そっか。じゃぁそろそろ行こっか」

 「うん。行くかぁ~。今日も早くねるぞ~」

 「ねぇっ!今日はさぁ~一緒に寝よー?」




美菜が俺の腕にしがみつきながら言う。なんというか、こいつはとんがっている時が多いのにこういうときもあるもんだからちょっと困る。

 「んー。いいよ。今日は一緒に寝るか」

 「龍一さんよ~どういう風の吹きだまりだぃ!?」

 「吹きまわしだろ」



バルンは人間の言葉にうとい。熟語なんて間違えまくりだ。

俺らは笑いながら家に帰る。バルンと美菜がずっとボケっぱなしだったから突っ込み側としては少し疲れたけど、それもよかった。

俺らはパジャマに着替えてすぐベッドに入った。

 「三田…か…しかも…」



俺はいやな予感が少しだけした。



  「さてと、そろそろ行かないと待ち合わせに間に合わないよ」

 「わかっとるよーっ!ちょぃと待ってて」



今日は旅行部の旅行の日。行き先は兵庫県の三田市。美菜は少し準備が長引いている。まったく何をしているのだろうか。

さしずめ水月の手入れでもしているのだろう。

数分後美菜は部屋から出てきた。

 「お待たせっ!早くいこっ!」

 「準備遅れたやつが言うセリフですかぁ?それは」



俺はドアを開ける。朝の日差しが眩しい。やっぱり目は最初は慣れない。

渋谷駅西口は俺の家からありえないほど近い。あっという間につく。

俺達は少し早歩きで歩いていた。

 「三田かぁ~楽しみやなぁー」

 「お前、行ったことないの?」



 「私は関西人やったけどさぁ~三田って昔なにもなかったんよねー。だから行かんかったんよ」

 「何もなかった…かぁ~。じゃぁなんで楽しみなのさ」

 「それはぁ…」



美菜は少し考えている。俺も気になるので黙って待つ。

 「それはねぇ~私はぁー最近噂のDOTSとかマリオネッツっていうグループのこと知りたいからだよぉ~」

俺は一瞬だけほんの一瞬だけ固まった。

少し戸惑っているうちに、みんなと合流した。

正直助かった。



 「龍くん、美菜ちゃん~っ!こっちだよー」

 「あっ!蘭ーっ!お待たせぇーっ!」

美菜はあたりを見渡す。

 「やっぱり先生は来とらんみたいやねー」

 「そうだなぁ~残念」



美菜は浅いため息をついた。

俺はみんなを先導して駅に入る。切符を買って改札をくぐり、電車に乗る。

 「どれくらい時間かかるんですかぁ~」

 「んーっとなぁここからだと2時間くらいかな」

 「意外とかかるもんですねぇ~ぃ」

 「そうだねそれまでひまだねぇ~」



蘭はすこしため息をついた。確かに2時間も電車の中で揺られるのはひまでたいくつでいやだろう。

ガタゴトと揺れる電車の中でもう10分近くは経過しているだろうか。そしてなぜかこの時電車には俺達しか乗っていない。どういうことなのだろうか。

 「んーなんだろうね、なんで人がいないんだろうね。普通はいっぱいいるはずなのに」

 「まさかとは思うけど、運転手もいないとかいうのはやめてくれよ…?」

 「ははは・・・まさかそれはないんじゃないすか?」

  「ちょっと他の車両見てくるかな」




俺は席から立ち上がり、揺れる車内を探索することにした。他の車両には人がいるかもしれないし…まぁその気配はないんだけれどね

2車両目…いない。

3車両目…いない。

最後の車両…いない。

 「どういうこと…?ほんとに人がいないなんて…ははは…運転手は大丈夫だよな…」

運転手席に向かう。この車両からはかなり近いのですぐだ。揺れる電車の中を歩き、スライド式ドアを開けて車掌室に入る。

…いない




 「おいおい…これはどういう冗談だ…?」

 「龍一、こりゃぁ一体どういうこった!?」

 「それは俺が聞きたいねバルン」



俺は驚きのあまり、ただ突っ立っていた。目の前の操縦桿や、ボタンの数々をただぼーっと眺めている。

 「ひょっとしてどこかに全員拉致されてたりしてな!」

 「まさか…ん…?いや待てよ…確か電車に乗る前は人がいたはずなんだ…うん。ということは、確かにどこかに拉致されてたりする可能性もあるな。」



 「ほぉらな!!じゃぁとりあえず電車の中をもっと詳しく探ってみようぜ!」

 「そうだな…こういうのはだいたい…電車の上に居たりするもんだよなぁ経験的には」

俺は上につながる梯子がないか調べる。こういう梯子というものは車掌室にあったらベターでよい。

 「龍一さんよぉ!お前ってしょっちゅうこういう怪奇事件に巻き込まれるよな!」

 「俺だってまきこまれたくてまきこまれているわけじゃないんだけどな。」

俺は車掌室をくまなく調べる。梯子以外にも何か気になるものがないか。




 「ふ~…梯子はないのかな…」

 「ん…?これなんだろう…」

俺は床に落ちているなにかを拾い上げる。

それは薄っぺらく、カードのようなものだ。

おそらく名刺かなんかだろう。写真と名前等が載っている。



 「んー…あ、これ電車運転手って書いてあるよ。運転手さんが落としたんだろうね」

 「んーつぅことはだ!確かにここに居たってことだよな!」



バルンの声はこういうときでも大きい。いつ何時でも元気なのがこいつなのだ。

第一だ、そんなことは言われなくてもわかっている。わざわざ説明臭く言うことないだろうに。

 「んー…どこに居るんだろうなぁ…」



俺は天井を仰いだ。天井を仰ぐというのは変な表現なのだろうけれど、それがしっくりくる。すると、スライド式の扉的な何かを見つけた。

 「これひょっとしたら開いたりして、そして上につながってしまったりしてな」

それはちょっとベターだなと思いながら、でもそれがいいのかもと思いながら開けてみる。

 「見事に開いたなぁーしかも上に出れたようだし」



走っている電車の上は風がものすごい勢いで

吹きぬけていき、とても危ない。

俺は少し見渡した。すると、数人人が固まっているのが見えた。家族らしき人たちと、運転手が固まっておびえている様子だ。

その周囲には黒ずくめで明らか不審者というようないでたちの人が3人いた。おそらく脅されているのだろう。



 「おーい!そこの黒ずくめーっ!なにをやっているのかなぁー?」

俺はそいつらに近づいていった。走っている電車の上を走るという無謀なことをして、そいつらに接近。

 「ちっ…!ほかに客がいたか…」 

 「き、君っ!ここは危ないから早く逃げなさいっ!」

 「それはこっちのセリフなんすけどね。」




俺は不審者に殴りかかる。不審者の一人は、たいしてよけることもせず(パンチが速くてよけれなかったのだろうが)電車のしたに転がり落ちた。

 「さぁてと、お前らもこうなりたい?ほらぁ、この電車今走ってるでしょ?落ちたら、大けがどころじゃ済まないかもよ?」



俺は、残酷さを増すために笑いながら不審者に詰め寄る。周りの人はポカーンとしている。

俺は、演技とはいえ、こういうのは苦手だ。できればしたくない。残酷なのは羅衣だけでいい。

 「…構わんっ!やれぇぃっ!」




不審者が全員俺の方に走ってくる。そのすきに乗客を下に行くように目で合図する。わかるのかどうかわかんないが、おそらくわかるだろう。―わかってくれたようだ。みんな逃げていく。

一人殴りかかってきた。俺はそれをよけて、鳩尾に一発いれる。

 「さぁ、誰からでもいいよ?かかってきな?ただし、この俺秋沢 龍一にかてるものならね」

 「秋沢…龍一だって!?」

 「なに、お前ら俺のことしってんの?光栄だねー俺も有名だとは」

俺は少しおどけてみる。なんでこいつらが俺のことを知っているんだろう。

 「秋沢さん、DOTSに戻る気はないですか?」



DOTS…なんでこいつらが…あぁ、そうか。


 「DOTS?なんだそりゃ。んなもん知りませんよ」

 「そんなはずはありません。三田市主体のチーム・DOTSはあなたがつく・・・」

俺は喋っているやつの腹に一発殴った。

 「人違いだ。わかったら消えろ。今なら見逃してやるから」




俺はこつこつと電車の上を歩き、したにもどる。下には乗客と運転手が居て、ものすごく歓迎してくれた。礼を言われ続けて、ちょっと照れくさい。それにしてもさっきのノットという単語…気になる。



 「どうもどうもー無事でなによりです。それより、ちゃんと進むべき道に進んでます?この電車」

 「はい、大丈夫です!」



運転手は歩いていく俺の背中に敬礼をする。もちろん俺は見えていないけれど。

敬礼してくれた気がした。


 「もう!なんで一人で突っ走っちゃうのよっ!」

美菜だ。



 「いやぁ~わりぃわりぃついね」


 「心配したよ?みんな龍くん帰ってくるの遅いねって」


「美菜も、蘭も、みんなもごめんな。さて、結構時間たったし。もうそろそろつくんじゃないか?」

俺は話をそらす。都合の悪いこととなると話をそらすのが俺の悪い癖だ。わかっていても、治らない。

 「あー三田ってどんなところだろー」


棒読みだ。



 「もうっ!龍くん?そんな明らかに話逸らさないでよぉっ」


蘭が腕をたたいてくる。みんなはそれを見て笑う。笑いがとれたのならよかったと俺は思う。

 

「いやぁ~それにしてもすごかったらしいっすねぇ~先輩の残酷さで不審者を怖気つかせたようで~」



 「人聞き悪いなーあれ、演技だから。おれが残酷なことしたり言うわけないだろ本心から。羅衣じゃないんだし」

 「なんで私が出てくるんですか?私別に残酷じゃないですよ?」



 「あ、気付いてないのね。うん、いいんだよ。うん。残酷でも友達いるんだからいいんだよ」

 「何子供を慰める?みたいに言ってるんですえすか。その喉つぶしましょうか?」

 「だからそこが残酷なんだ―」

 ―えー終電―三田―三田―お降りの際はー

足元に十分ご注意してください―



 「何か言いました?」

 「さぁーてー降りるぞー」

わざとらしく俺はあしらうと足早に電車を降りる。降りるときに乗客全員と、運転手に敬礼されたから僕は軽く会釈した。



 「ごまかさないでくださいっ!」

羅衣が俺に軽い蹴りをいれる。

 「一応先輩なんだからさ…!こういう…いっつ…蹴りとかやめような?な?」

 「今のはね、龍くんが悪いよ」

 「そうそう」

 「そうっすね」

 「…ごめん。」

 「ぶふっ…!あははははは!!」



羅衣が笑いだす。俺はこの笑い方が苦手だ。

この子はあまり笑わない。だけど笑ったらなかなか止まらない。しかも笑い方が…まるで世界終末直前のように狂って笑うのだ。

世界終末直前を目の前にして、人はこんな風に笑うのだろう。はぁ…

ため息をつきながらも、駅を後にする。それからしばらく町を歩いていると壁にある羅気学を見つけた。




 「DOTS推参!だってさ。なんだろこれ」

 「チンピラじゃないすかぁー?」

 「さぁな、知らんし興味もないよ俺は」

 「んーなんか気になるねんなぁーこれ」

 「いいから、早くホテルに行くぞ。今回は結構高いところなんだから、粗相のないようにね」

 「はぁ~い …一応写真とっとこ…」




美佳は、この時俺に気づかれないようにぱしゃりとシャッターを押した。フラッシュは出なかったので、全く気付かなかった。

 「美菜、早く来いよーおいてくぞー」

 「あっ!ちょぃ待ちっ!」



美菜はこちらに走ってくる。そして、みんなッそろってホテルに向かって歩く。ホテルはここからすぐだそうだ。

 「あぁ~ホテルにぃー緑色のツインテールでエメラルドグリーンの瞳の妹系キャラメイドさんはいないもんすかねー」

 「あぁ、それ何言ってるかわかった。わかってしまう俺も俺だなぁ…てか、いるわけないだろそんなの」

 「意外と…いるかもしれませんよー?。いいじゃんかぁー。妄想くらい膨らませてやったらいいじゃない~。」

 「蘭、珍しいなこいつの肩を持つとはさ。腐女子伝説は、本当だったりしてな」

 「龍くん?」

 「冗談だよ!冗談!―あぁ…怖いなぁー…」

 「ん?なんか言った?」

 「言ってないっ!言ってません。――――あ、あれホテルじゃないか?」



 俺は目の前の豪華絢爛な出で立ちの建物を指差す。看板にHOTELと書いてある。

庭はものすごく広くて、緑豊か。いろいろな花が咲き誇り、堂々と真ん中に噴水が位置している。昼の日差しが噴水に反射してなんとも言えない鮮やかさを映し出している。

 


「うっわぁ~っ!あれ?ねぇあれ?あれなに?」

 「何度も聞くなよ。たぶんこれだろうなぁ」

 「すごいっすねぇーほんとにさっき言ってたメイドさんがいそうっすねー蘭先輩っ」

 「そ、そうね~…ってなんで私にふるの!」

 「え~だってぇーふじょs…ぐばっ!」

 「お前らなぁー少しは静かにしろよ。中に入ったらくれぐれもお静かに」

 「はぁ~い」

 「じゃぁ入るぞ。繰り返すけど粗相のないように」



俺達は、立派な庭を通りぬけて横びらき。まぁスライド式ドアの中に入っていった。そこは、あまりにも豪華で言葉も出ないほどだった。赤いじゅうたんが敷き詰められていて、天井にはシャンデリアがつりさげられている。そして立派な階段。立派なカウンター。立派な椅子、机。どれをとっても素晴らしい。



 「うわぁ…きれぇ~い」

 「ほんとだねぇ~私たちこんなところに泊るんだねぇ~過去最高のホテルじゃん~っ」

 「じゃぁ、俺手続きしてくっから」

 「うわぁ…」



いつまでも目を輝かしている二人を置いて俺と後輩達はチェックインをしにカウンターに行った。

 「あの、予約していた世界剣銃協会所属高等学校旅行部ですが―」

 「あ、はい。5名様ですよね?かしこまりました。お部屋は、草の間と森の間となっております。ご自由にお使いください。こちら、部屋のカギとなっております。」

 「はい。ありがとうございます。」



 {あぁ、そうそうお話聞いてると思うけど俺のこと特別扱いしないでくださいね。お願いしますよ。こいつらのことも、うるさかったら注意してやってください}

 {わかりました。では、○○を楽しんでくださいね}

 {ありがとう}

 「なにしてんすかぁー?早く行きましょうよー」

 「あぁ、ごめんごめん。今行くから」

{じゃ、くれぐれも}



俺は受付嬢にぐッポーズをして、みんなのところに戻った。



 「なにしてたんすかぁ~?受付嬢ナンパしてたんすかぁ~?」

 「そんなんじゃないって。ナンパなんてするわけないだろ」

 「じゃぁ何してたんすかぁー?」

 「ちょっと部屋のこと聞いてただけ」

 「ふ~んおもしろくないっすねぇ~ん」



俺らは階段を上がり、3階の草の間と森の間を見つけた。

 「じゃぁ部屋割は当初の予定通り。じゃぁ一次解散」

 「わぁ~い」

 「美菜!走るな!」

 「たく…」



俺は森の間の畳に胡坐をかいてため息をついた。部屋のやつは鴨井。女子は女子で、男子は男子の部屋。森の間は狭いから二人くらいがちょうどよいのだ。森の間は、かなり和風で俺にとっては過ごしやすい。あの外見から洋室ばかりと思っていたけど、和室があって安心した。やっぱり和室が一番いい。

 



「秋沢先輩ぃ~これ見てくださいよーこの新聞なんですけど~」

 「ん?お前が新聞読むなんて珍しいな。明日は嵐か?」

 「おれだって新聞くらい読むっすよーそれより、これさっき壁に書いてた“DOTS”ってのが書いてますよ」



 「あぁー。あれね。ちょっと見して」

 「あ、はい。どうぞー」



俺は新聞に目をやった。すると、“CFO組織DOTS!”と大きく見出しが書いている。しかも、この記事は一面だ。

内容を見ていると、CFO組織(子供の自由な組織)であるDOTSが勢力を伸ばしてきている。渋谷にまで会員を増やし始めた。創始者は現在失踪中等々…



 「ふ~ん。CFO組織ねぇ…渋谷にもいっぱいいるよな」

 「そうっすねぇーまぁ、別に害はないんすからいいんすけどね~」

 「まぁな。だけど犯罪に手を染めるところもあるらしいぞ」



 「そうなんすかぁ~。でもやっぱりなにかないと面白みがないですよね~たとえばぁー大勢を率いて闇企業に立ち向かうとかぁ~」



 「お前やっぱり小説の読みすぎ。それか、アニメ飲みすぎ、マンガのよみすぎ」

 「先輩だって人のこと言えないじゃないすかぁー雷撃文庫いっぱいもってる癖にぃ~」

 「いいじゃんよ。別に俺はお前みたいに2次元と3次元の区別がつかないような人間じゃないの」

 「2次元と3次元の区別くらいついてますよっ!むしろわかった上で、僕は2次元を選んでるんすよー」

 「あぁ、お前やっぱりバカだわ」

 「ふたりともーっ!そろそろ出かける時間やなかった?」




美菜が部屋に入ってきた。俺らは、あわてて鞄をもって外にでる。受付がどうのこうのうるさかったけどすべて拒否させてもらった。

 「さぁてと、どこ見る?歴史博物館もあるし、図書館も2つほど。こっからだったら、歴史博物館が近いな」

 「なんでそんなに詳しいん?」

 「ガイドブックみたからだよ」

 「ふーん。それじゃぁ案内頼むわぁー。じゃぁさぁ歴史博物館だね。まずは」

 「うん。そのあとは、自由にしていいぞー」

 「やったぁ~っ!」



 「歴史博物館で勉強済ました後はぁー三田市限定発売のあのかっこいいリストバンドかうんすよねぇーぃん」

 「リストバンド?」



俺らは歩きながら喋っている。三田の町並はいたって普通。だけど結構発達しているほうなのだろうか。店もいっぱいある。自然もあり、便利でとてもいい街だ。



 「そうっすよーリストバンドっす~ガイドブックに載ってたんすよねー」

 「ふーん。俺も見てみようかな」

 「あぁ、それにしてもさぁー三田っていい街やねー感激しちゃったぁ」

 「まぁ、そうだなぁーいい街だ。ここは」

 「あっ喋ってる間に歴史博物館についたみたいだよー」



蘭が指差した先にはザ・博物館のような建物が建っている。Historyと看板に書いている。

 「うん。あれだな。じゃー入るぞー」

 「三田の歴史ってどんなのなんすかねー」

 「まぁ、これでわかるよ。ちゃんと聞いとけよ?」



ここのドアはスライド式ではなく、外開きのドアだった。それを開けると、案内人のような人が建っていて、内装は暗い感じになっている。博物館なのだから、暗いほうがいいのだろう。博物館は別段広いわけではなく、モニターと椅子が数個あったくらいだった。映像で見る歴史というやつなのだろう。

 「こんにちは。見学したいのですが…」

 「あ、あなたは…いえ、なんでもありません。どうぞこちらへ」

 {今、なんて言おうとしたの?}

 {いえ、特になんでも}



 「こちらへお座りください。本館は、すべて映像と私の説明で歴史を説明させていただく形となっております。」

 「やっぱり映像なんだなぁー」

 「まぁいろんな品々みるよりは映像のがわかりやすいって」

 「では、そろそろ始めます。」



あたりが一気に暗くなり、モニターに映像が映し出される。









昔、三田は摂津の国と呼ばれていました。そして、三田藩とのちに呼ばれるようになり

今の三田市となりました。そして、昔からここは自然がとても豊かでのどかな場所でした。



ですが、繰り返される戦争。戦火の中で自然は焼かれ、ここは荒地になりました。第3次世界大戦時にはもう修復不可能な状態にまで追いやられていたのです。



それがどうやってここまで来たのか?それは、一人の旅人のおかげでした。その旅人はこの荒地を見て戦争を思い出し、こんなことがあってはならないともう二度と繰り返してはいけないとここにいくつもの種を植えました。



そしてそれは序序に芽吹き始め、数年後には自然をある程度まで取り戻したのです。そしてその旅人は大変お金持ちだったのでこの土地を購入し、いろいろな施設を建て、人を呼び戻し街は再興の方向に動き始めました。ところが…再興とともにこれはつい最近ですが、とある怪奇事件が起こり始めたのです。



学生による大量殺戮事件。


それが、ただの殺戮事件ではなかったのです。

世界で話題になったあのスリーピーリッパー事件です。

事件を起こした学生たちの目はうつろで、人間離れした動きでした。



そして、生気などもなく催眠状態に近い状態だったので催眠殺人と呼ばれています。



その学生たちは大量に市民を殺しました。そして、人口が大量に減ったのです。



そして、その事件を収束したのもまた学生でした。



その学生たちは自らをDOTSと名乗りました。そして、事件を起こした学生全員の催眠をときました。


そして、その後そのノットのリーダーはあの旅人の子供と言うことが分かりました。



そして旅人は政治家になり、全世界に存在が認められ総理大臣となりました。



そしてノットの登場により、CFO組織が確立しました。今日本中で話題のCFO組織の発生はここ三田というわけです。そして、総理大臣の支援を受けてこの三田は今のすばらしい状態を保っているのです。以上近代史でした。




 「お疲れさまでした。これで見学はすべて終了とさせていただきます。」

映像が消え、ゆっくりと電気がつけられる。

電気がついても、まだ若干暗い。



 「あぁ~疲れたっすねぇー」

 「そうだなぁー。お前ちゃんとさっきの話保存してたか?」

 「してたっすよー。パソコンのキーボードの音を最小限に抑えてたんすからぁー」

 「それならいいけどな。またおれだけしかやってないってことになったらどうしようかと」

 「そんときはぁーりゅうのを使って新聞作るだけだよ。うん。」




俺はため息をついた。博物館を出て、広い大通りを歩きながら、鴨井の言っていたリストバンドを売っているというお店を探す。



時間はすっかり夕方になっていて、オレンジ色の光が優しく包んでくれる感じがした。お店がいっぱいあって、ここはおもしろそうだ。今日はここで買い物をすることにしよう。




 「じゃぁ、今日はここで買い物していいぞ。じゃぁ、一旦解散。ホテル集合な」



俺は美菜と鴨井と行動することになった。鴨井は、リストバンドを見れればそれでいいらしくそれを先に行って、そしたらすぐホテルに戻るそうだ。



 「リストバンドねぇーそんなもん売ってるのは…ここらへんだったらぁ。ジータイって店だな。」

 「ジータイ?」

 「あぁなんの略かはしらないけど、若者に人気でいろんなものが売っているらしいよ。三田限定のもいっぱい売ってる。」

 「へぇーそなんすかぁー。変な名前ですね」

 「言うな。失礼」

 「そうやで、失礼やでー鴨井」

 「すんませ~ん」

 「誤る気ないね」

 「そうだな」



俺は見渡して、それらしい店がないか調べる。すると、一つだけ周りのお店とちがう雰囲気の古い感じのお店があった。近づいて看板を見ると、【ジータイム】と書いてあった。

 「これじゃないか?」

 「んー看板的にここっぽいね」

 「入ってみましょうよ~」

 「うん。入ってみよう」



入ると、カランカランと懐かしい音がした。

カウンターには感じのよさそうなお姉さんが座っていて、内装は結構新しかった。

 「いらっしゃいませー」

 「ちょっと見させてもらいますね」

 「リストバンド~リストバンド~」



鴨井がガイドブックを見ながら、つぶやいている。そして、店内を探しまわっている。

 「あ!これですよー先輩ぃー」

 「ん?あぁーこれ?」



鴨井が指したそれは赤いリストバンドに黒い髑髏がデザインされている。結構デザインはいい。でも、これは…



 「値段はぁ~っと…安いっ!300円すよっ!お得っすよ!」

 「じゃぁ、レジもっていけよー俺はもう少し店内見とく。」

 「言われなくても~」


鴨井は猛ダッシュでレジにリストバンドを持って行った。


 「せわしないねぇ~鴨井は。」



 「ほんとだね。さてと、お土産みようよ。美菜」

 「うんっ!もちろん、二人で…だよね?」

 「もちろんだよー俺も疲れてるからさ、二人がいいし」

 「とりあえず~このお店もうちょっと見ようよ!」

 「おっけぃ~」



俺達は、鴨井が出て行ったので心おきなく買い物を楽しむことにした。今の時間は6時。食事は8時。まだ時間はある。お店にはかわいい免税品、かっこいい免税品。いっぱいある。多種多様。

 「これかわいい~!ペアネックレスだって~っ」

美菜がかけられているペアのネックレスを指差して言う。

 「ペアかぁ~―これ、買う?」

 「うんっ!」

 「じゃぁこれまず決定ね」

 「二人でつけようね~」

 「うん。じゃぁ、俺はこのネックレスともう一つ、しおり買っていくかな。」



俺はペアネックレスとそのしおりをレジに通す。ネックレスは、ハート型の半分ずつ。しおりは、真ん中に六方星が書いてあるだけのシンプルなつくり。 

 


「はい、これ美菜の分な。」

 「ねぇ、つけてよっ!」

 「ん。…いいよ」

 「やったぁっ!」



俺は美菜の後ろ首に両手を回し、ネックレスをつける。美菜の胸元にそれがよく映えて、すごくかわいい。

 「どう?似合ってる?」

 「うん。すごく似合うと…思うよ?」

俺は照れ隠しに時計を見てみた。すると、針は6時30分を指している。

 「美菜ぁ、そろそろ帰ろうか」



 「あぁ~うんっ!ホテルに帰ったらご飯やねーっおいしいんだろうね~」

 「そりゃぁ、あんな豪華絢爛な外装アンド内装なんだ。おいしくないはずはないよ」




店を出る。カランカランという懐かしい音。ホテルに向かって歩く。地面は夕焼けの赤に染まっている。舗装された地面の音をこつこつと音を立てながら二人で手をつないで歩く。恥ずかしい。でも、幸せだ。

 「さてと~明日は、全員で街でも散策すっかな。な、美菜?」

 「うんっそだねー気になることもあるし。」

 「気になること?」

 「あぁー、うん。ちょっとね~」



美菜はわざとらしく頬笑みながらこちらをうかがう。俺は、気になってはいたがそれほどに追及することはなかった。

 「遅いっすよ~っ先輩ぃ―」

 「あぁ、わりぃわりぃー。」

 「みんな戻ってるっすよー早くご飯たべましょー」

 「そうだね。行こう、りゅう」

 「うん。そうだな」



俺らはホテルにつき、荷物を持ったまま、食堂にあつまる。食事はいたって豪華。

牛肉のクリームシチューに、名産の白いご飯。



カルボナーラに、パン。今の時代。この上ないくらいに豪華だ。このホテルは、どこまで豊かなのだろうと俺は疑問を抱えながらも、いただきますとあいさつをする。そして一口。シチューを口に運ぶ。

 「うまい。」まさに、その一言だった。



みんな一様に料理を口に運んで、うまい。その一言。あとは黙々と食べ進めていった。

そう、始終無言で。

 「ごちそうさまでした。」




みんな、すぐに食べ終えた。皿には綺麗に食べつくされて何も残っていない。

 「どれもこれもおいしかったです。ありがとうございます」

 「どういたしまして。」



俺は、一礼するとすぐに部屋に戻った。

明日は、散策。「DOTSのやつらが出てこなければいいが・・・」



そんな独り言を漏らしながら、布団に横になりながら携帯をいじっている。すると、鴨井も帰ってきた。鴨井は、布団の上に座ると、先刻のリストバンドをつけてにやけている。



 「先輩ぃー誰とメールしてんすかー?」

 「いいじゃねーか。誰でも。」

 「まさか、浮気っすかぁー?いけないすねー。美菜先輩というかわいい彼女さんがいるのにー」

 「なわけないだろ。昔の友達にね。メールしてたんだよ。」

 「昔の友達ねぇー。それは、男ですか女ですか?」

 「お前、わかって聞いてるだろ…?女友達だ。」俺は文字を打ちながら答える。

 「なんのことっすかねー」

 「とぼけんな」

 「ほらほらー先輩、そろそろ消灯時刻じゃないすかー?」

 「…ごまかすなっ」

 「おやすみなさいー」




鴨井はその瞬間。一瞬にして寝てしまった。

 「早すぎるだろ。おやすみ言ってから寝るまで。」

俺はため息を少しつくと、布団をかぶった。





久しぶりの更新ですね笑



さてと、次から話が動きます。やっとです。

前振りはこれでおしまい


まずは 秋沢 龍一の話。

これが終われば、すこしはしやすめに

学校の話しをいれようかと


まぁー

ネタばれはそこそこにしといてと笑


最近いろんな小説を読むようになりました


電撃がほとんどですが笑

最近は忙しくてあんまりここのサイトの小説よめてないなぁ


ごめんなさいね

また、まとめてよんどきます


ではっ!次回をお楽しみに

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