12章(獄中編) 「始まりの話」
12章(獄中編)「始まりの話」
処刑場へと連れてこられた美菜。
クロという男がそこに居て、怪しげな光を放つ石だけを持っている。
処刑場は今までと比べモノにならないほど暗くて寒い。
そして、武器達もここに閉じ込められているようだ。
クロという男はその石を手中で弄んでいる。
「ねぇ、この石。色が変わるんだよ。おもしろいよねー、無数の色に光るんだぁ」
「それがどうしたっていうんですか。」
「…おもしろくない女だなぁ。もう少しリアクションしろよ。」
「馬鹿じゃないの? こっちは捕らわれてるのよ? そんな余裕あるわけないじゃない」
「口は慎んだ方がいい…」
クロは手に意識を集中させて、前に突き出した。その瞬間。美菜の体は宙を舞い、そして地面に叩きつけられる。
「何…これ…武器は使ってないのに…」
「ほぉら、口は慎んだ方がいいと言ったでしょう?」
美菜は地面に倒れたまま身動きが取れずに、もがいている。
クロはそこにあった椅子に腰かけ、石をずっと眺めている。
そして、一言。
「君……………」
……
「え………」
―――恵の部屋―――
「あはっは! 驚いてるねー驚いてるねーもっと驚け~もっと泣け~もっと呆けろ~。
あっはっはっははは!」
机に向かい、一人大笑いする恵はパソコンに映る画面を楽しそうに眺めている。
恵は、人の表情を見るのが大好きだ。
そして、人を動かすのが大好きだ。
小説家である彼女は、世界を自分の筋書き通りにしたいと望んだ。
そして、それを実行できる力を恵は持っている。
総理大臣に取り入っているし、コネだってある。
財もあれば、行動力もあり、信頼もある。
そして、自分に定評がある。
変にスキャンダルなどされていないので、ファン達は素直に彼女を応援している。
このような環境が、人を利用するのが容易となる環境なのだ。
そもそも恵が何故このような思考を持つようになったか。
それは、ある日に遡るのだが。その話はまた追々していこう。
だけれど、全ての始まりくらいは今話してもよいかもしれない。
全ての始まり、それは小説を書きながら旅をしていた時、書いた日記。
それが全ての物語の始まり。
世界の醜いところ、素晴らしいところ。
人間の醜いところ、素晴らしいところ。
世界の全てを記した日記。それが全ての始まりだ。
そして、その日記を書きながら、小説を書きながら旅をしている時。
ある街である石に出会う。古物商が売っていたその石は、七色どころか、無限の色に光るとてもとてもきれいな石。
それを手にして、旅をしていた。そこまでは、何の問題もなかったのだ。
その石の名前は…セフィロト。
それを恵は知らなかった。もちろん使い方も。どのようなものなのかも。
ただ、ある人の家に泊まりある人に殺されかけるまでは…
ある街で出会った一人の少年。まだまだ幼かったその少年は、旅人である恵を家に泊めると言った。
恵はその親切に肖り、泊めてもらうことにした。そして、3日間楽しい日々が流れた。
恵はそろそろここに腰を落ち着けてもいいか。等と思うようになり、日々少年と遊び戯れていた。
そしてある日。
その少年の父親が、旅人の持っていた綺麗な綺麗な石を盗もうとした。
そして、その石を手にした瞬間。
その父親をなにか黒いものが包んだ。
そして父親は、気が狂ったように毎日暴れ倒した。
恵が調べてみると、その石というのはとてつもなく危ないもの。だけれどとても魅力的で価値のあるものだとしった。
その石に触れて、己の願望をつぶやけば…それが叶うという代物。どんなインチキなことだってかなう。
たとえば、不老不死になりたい。
宇宙人を呼んでほしい。超能力を使いたい。
物に魂を与えたい。
だけれど、その願望が“野望”もしくは“悪事”の場合、石は使った人間に悪しき性格を与え、しばらくそのショックで暴れるという。
そして、その父親は願った総理大臣という地位を手に入れた。
その代りに、本来の性格を失いそして邪悪な性格を手に入れてしまった。
そして、邪悪な父親は…石を自分の物にしようとする。
まぁ、人間の心理からすれば当然のことだろう。
こんなに便利で魅力的なものを目にし、一度使ってしまえばどうしてもそれが欲しくなる。
子供がよくゲームを買う前、インターネットでホームページを見たりしてそのゲームが欲しいという願望が強くなるのと同じことだ。
そしてその父親は手に入れる手段を交渉ではなく、武力で奪おうとした。
石を守る恵に銃口を突き付けて、引き金を引く。そしてその瞬間。恵は不老不死になりたいと願い、撃たれて血が流れ死んだ後。
助かったのである。
父は、石を持ち逃げ。
少年は家を飛び出した。
恵は一人そこに倒れている。そして、しばらくして…生き返ったのだ。
それからというものの、この自分の筋書き通りに人を動かすということに目覚めたのである。
一人でパソコンの画面を見てにやけている恵。
彼女は、とても楽しそうに愉しそうに…人が驚くさま、あがくさまを見ている。
―――龍一達―――
龍一は、走りながら物思いにふける。
美菜を助けたい。美菜を助けたい。
そして、どこか遠くへ逃げよう。
ただ逃げるわけではない、どこか遠い国に行って日本政府を改変する手立てをする。
そうだ。そうしよう。
龍一は、昔からずっと独りだった。
親は仕事でかまってくれず、友達という友達も居なかった。
ただ、自分に絡んでくる者はいた。
だけれどそれは友好的なものとは言えなかった。
からかい、罵り。使い走り。
そのようなものばかりであった。別段嫌われるような顔つきでもなければ、性格でもない。
じゃぁ、何故か?
それは態度だった。昔から図太い態度で椅子に座っている。そして、我がもの顔でいるのだ。
そんな龍一が気に食わない人間が、罵ったりするのだが。
それも別段気にしているというわけではないようだったから、逆にいじめっ子を煽ってしまう結果となってしまったのだ。
そして龍一は学校でも放課後も家でもずっと独り。小学時代はずっと独りだった。
そんな時、旅人が街にやってきた。
その旅人は、美人というよりものすごく可愛らしかった。
その可愛らしさに小学生であった龍一は見蕩れ、うちに泊まりなよと声をかけた。
そして、泊めることになる。
毎日のように遊んだ。遊んで戯れてずっと一緒にいた。一緒に寝て、仲がいい姉弟のようだった。
だけれど、それも長くは続かない。
幸せな日々は壊れやすい。
ある日、旅人は…龍一の父親の手によって、殺害された。
血を噴いて死んでいく旅人の姿を。
あの明るかった大好きな旅人の新で行く姿を間近で見ていた。
銃殺。一瞬で終わった。
父親は旅人の私物だけを持って逃亡。
龍一もわけがわからず家を飛び出した。
唯一の友達を、姉の様な人を殺した父を龍一は許しはしなかった。
そして、あの組織を作ったのだった。
だけれどある事件で嫌気がさし、東京へと逃げる。それから友達ができて、彼女ができた。
今は幸せ。この日々を壊したくないと願った。
だけど、自らの手で幸せも壊してしまう。
今は、独りぼっちではない。
それだけが、龍一を駆り立てるのだ。
大切な人をもう一人として失いたくない。
父親が狂った原因を突き止め、父を殺した後にそいつも殺す。
それだけが頭の中を渦巻いていた。
ふー
そろそろね
日本にいるのも終わりかな
イタリアかぁ・・・
行きたいですね笑
実際に笑
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