11章 (獄中編)「ド派手にやっちゃいましょ~」
11(獄中編)「ド派手にやっちゃいましょ~」
「ほら、鴨井も掘って」
「りょ、了解っす…ていうか、何で皆僕だけ名字なんすかぁー?」
「さぁ?」
鴨井と羅衣はせっせと穴を掘る。
「不公平っす! 不平等っす!」
「じゃぁ、名前で読んであげようか…?」
「ほんとっすか!?」
「うん、えっと…翔、ちゃんと堀りなさい」
「はいっす!」
鴨井は羅衣の手の動きを盗み見た。
すると、羅衣は人間離れした早さで地面を削っている。削るのに何を使ったかというと、羅衣が隠し持っていた金属製の棒を使っている。
この牢は地下にあり、やたらと入り組んだ道に懲りすぎて地面にお金を注げず、土になっているのだ。
だから、穴を掘りやすい。
「…羅衣? その手の動きやばくないっすかぁ~?」
「これくらい、造作もないことよ」
本当なら――ガガガガガ――などと音がしてもよいほどの速さで、ドリル並みの破壊力。速さだ。
にも関わらず、ほとんど音が聞こえない。
「…翔? 手の動きを止めて、そこの布団で穴をふさいで」
「なんでっすかぁ~?」
「看守が来るよ」
急いで作業を止め、布団で地面の穴をふさいだ。そうすると、間もなく看守が来た。
「…お前らの処刑日が決まった。他の連中も同じ日だ。」
「いつですか?」
「3日後だ。」
「そうですか…ありがとうございます」
「うむ。では、私は職務があるので」
二人は看守が去っていくのを見送ると、再び作業を再開した。
「3日後って、きつくないっすかねぇ~?」
「がんばって仕上げるんだよ、ほらもうだいぶ掘ったじゃない。あともう少しすれば潜らないと作業できなくなるほどだよ」
「そうっすけどね~」
「弱音を吐いている暇があったら、作業しよう。」
―――彩香の牢にて―――
「全く、龍一と話されちゃったじゃないのーっ ていうか、一人だしっ」
彩香もまた一人で牢に閉じ込められた。
そして、処刑日を告げられ、投げやり気味にぼーっとしている。
「まぁいいわ。どうせあの子のことだから、脱獄でも狙ってるんでしょう…」
彩香は、龍一の狂愛者。
愛しい弟の顔を思い浮かべ、一人うっとりとした表情になる。
―――3日後・龍一の牢にて―――
「今日が処刑日だ。間もなく看守がここに来るだろう。その前に穴に入り、仲間を探しだし、逃げる。いいな?」
「はい、白さん」
「いくぞ」
龍一達は黒灰の掘っていた穴に潜り、ひたすら直進した。暗いので、突き当たるまで進んで、そこから上へ出る。
そこからは、迷路の始まり。
穴の中は狭く、暗く寒い。
「武器は?」
「奪われました…でも、僕はナイフを数本隠し持ってました。」
「私は火薬玉を数個。」
「生憎だが俺は何も持っておらんのでな。少しナイフを貸してはもらえないだろうか?」
「いいですよ」
ナイフを手渡し、ひたすら走る。
すると、結構早く突き当たった。そこから壁に両手両足を当てて、じりじりと上へと昇っていく。
そして、重たいふたを開けて出た先は、監獄の廊下の真ん中。
喋らないただのナイフを準備。
そして、廊下を駆けた。
牢があるたびに立ち止り、中を確認。
看守に見つかりそうになったら隠れ、また走る。
そして立ち止り、確認。隠れ、走る。
この繰り返し。
迷路のような監獄の中を駆ける三人。
―――同時刻・羅衣と鴨井―――
羅衣と鴨井もまた同じように駆けていた。
ただ、三人と違うのはド派手にやっているということだ。
出てくる看守達をメッタ打ちにし、冷たい地面に寝かせている。
というのも、羅衣が持っていた金属の棒を武器にして戦っているというわけだ。
対する看守達は、銃。
どうみても不利だが、羅衣が見事に銃弾を弾き、避けて懐に潜り込んでいる。
これだけド派手にやっていれば、龍一達に気付いてもらえるだろうという鴨井の提案。
「翔、また看守が来たよ」
「ド派手にやっちゃいましょうよ~」
「…脱獄者だぁっ! 例の二人だぁ!」
砲撃。
羅衣は走りながら弾を弾く。
砲撃。砲撃。
弾く。弾く。
鴨井も後ろに続き、看守との距離が縮まった頃、上に跳躍。
看守の額を棒で突く。
ひるんでいる隙に羅衣がみぞおちに一発。
後ろ首にも一発。
倒れる。
再び走り、龍一達との再会を目指す。
―――同時刻・美菜―――
美菜の処刑の順番は最初になった。
美菜は看守から皆が脱走中ということを聞く。
助けてくれる、そう信じて処刑室へとゆっくり向かう。
―――同時刻 羅衣・鴨井―――
看守が悲鳴を上げるせいで、看守に遭遇する率が高くなった二人。
そろそろ気づいても良い頃だろうと二人は思う。
どうせ看守に気付かれているのならば、いっそのこと大声で叫んでみる。
「先輩ーーーっ!!!」
―――同時刻 龍一達―――
「ふー、ここまで来ても見つからないとは…さすがに広いな」
「あぁ、そうだな。」
「ねぇ、それにしてもさっきから看守にも会ってない気がしない?」
「そういえば…」
「ん? なにか悲鳴が聞こえぬか?」
「ほんとだ、いってみましょう!」
声のする方へと走りだした。
それは、割と近くだった。
声がだんだん大きくなる。
はっきりと聞こえる。
そして、声の発信源に居たのは…
看守数名と、羅衣と鴨井。
「え…?」
「羅衣~、鴨井ぃー」
「あいつらが仲間か…?」
「あ、先輩ぃー」
「以外な所で会うもんだな…」
羅衣と鴨井は看守を倒し、落ち着いたところで話をする。
「…っと、こんなところで話していては看守が来るな。さぁ、いくぞ」
再び走りだした。
鴨井達が看守から手に入れたという地図を元に道をたどっていく。
美菜が閉じ込められている牢へと急いで向かった。現在地点から一番早かったのだ。
そして幾分か走り、美菜の牢の前にたどり着いた。
そして…覗き込んでみても誰もいない。
「…な…」
「まさか…もう処刑場に…?」
「間に合うか…?」
「間に合わなくても、行くっすよねー」
「あぁ、姉さんは…自力で脱出できるだろうから、処刑場に向かうぞ」
遅くなりました
の割に出来が悪いw
それは承知のもとですw
それでもよんでくれるという心優しいかた
心から感謝ですっ
感想は、ブログの方に
http://playlog.jp/gzza/blog/
お待ちしてます^^