9.神様の思い出作り、その三。神様と外食しよう。ホットサンドとホットコーヒーなら、心も体も温まるかな?
暖かいレストランに入ってメニューを見ていた俺は、ホットサンドとホットコーヒーをテイクアウトして、公園のベンチに座っていた。
「暖かい室内でなくて良かったのか?」
と神様。
「神様と話せなくて、神様に食べてもらえない室内で、一人で食べるより、神様と話しながら食べたくなった。
今日は、神様と一緒に遊ぶ日だから、俺が一人で食べるのを神様が黙って見ているのは、違う。」
「小童は、すぐに無茶をする。」
と神様。
俺が、無茶をするのは、神様と過ごしたいからだよ、神様。
「俺は、神様と一緒が楽しいんだ。
神様、コーヒーにチャレンジしよう?
コーヒーフレッシュの入れ物に、スプーンで、少しずつ移し替えたら、神様も試せると思う。
残ったら、俺が飲むから。」
俺が、そっと、そっと、コーヒーを移し替えるのを、俺の手の甲に乗って見守る神様。
「志春が捧げるものを拒んだりはせん。
志春は、捧げたいものを、自信持って捧げに来るとよい。
では、コーヒーとやらを飲んでみよう。」
と神様。
「俺も。いただきます。」
温かいコーヒーは、冬の海風で、飲み終わる前に冷めてしまうだろう。
神様と同じ飲み物を、同じ場所で、同じタイミングで飲みたかったんだ。
「コーヒーは、酒とは違うが、水とも違う。人の世の飲み物だ。」
と神様。
コーヒーは、神様の知らない味覚だったんだ!
よし!サプライズ成功。
ホットサンドは、ホットじゃなくなったけど、ホットサンドも試してもらおう。
エビとアボカドのホットサンド。
エビは、煮たり焼いたり、シーフードカレーにして家で食べていたけど、アボカドは、手が出せなかったんだ。
エビは、主菜になれても、アボカドは、メインをはれない。
メインをはれないアボカドにお金をかけるのは、躊躇してしまって、毎回、買えなかった。
食の冒険は、外食ならでは。
二つあるうちの一つを千切って、神様にどうぞする。
神様は、食べなくてもいいけれど、捧げられたものは食べることができるんだ。
「アボカドって、柔らかかったんだ。
緑色だから、熟していなくて固いのかと思った。
エビとアボカドは合う。
神様は、エビとアボカドの組み合わせ、気に入った?」
「エビとアボカドとパンとレタスとソースには、酒でなく、コーヒーが合う。」
と神様。
神様は、ホットサンドとホットコーヒー、両方を気に入ってくれた。
俺が、神様に気に入ってほしい、と考えて選んだものだから、顔がにやける。
神様と美味しいご飯を一緒に食べるのも、このランチが最後だから、味わって食べよう。
ランチの後は、水族館だ!
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