80.俺と神様と山の怪(け)と勝利のパーティーを開いたら、猿、鳥、猪、アオダイショウが来た。神様は、友達。ネットショップ〈神棚〉は営業中。
俺を捕まえにきた団体さんのお引き取りが終わって、ご飯食べて寝て起きたら、次の日だった。
荒らされた庭や、家の周りを確認。
車のタイヤの痕には、腹が立つ。
明日から、少しずつ、手をつけていこう。
今日は、神様と俺と山の怪で、勝利のパーティー。
会場は、我が家の庭。
山の怪は、直に地面を移動しているから、家の中に入ってもらうのが、ためらわれた。
庭なら、山の怪も移動し放題。
俺は、庭に食べ物と飲み物を持ち出そうと、庭に面したガラス戸を開けた。
昨日、折られた木の枝の影が、俺に伸びてきて、花の形になる。
「山の怪、いらっしゃい。」
山の怪の後ろから、四本脚の何かが歩いてきた。
お礼を伝えよう。
「猪、昨日は、ありがとう。猪がきてくれて、心強かったよ。」
猪は、よせやい、というかのように、鼻息を荒くして、応えてくれた。
山の怪の上を鳥が羽ばたいている
「鳥、昨日は、ありがとう。鳥がたくさん来てくれて、味方がいるんだと安心できたんだ。」
鳥は、俺の頭上と山の怪の頭上を回りながら飛んでから、庭の木に止まっていく。
山の怪に頼まれたから、助けたわよ?みたいな感じ?
俺のピンチ脱出に貢献してくれた、鳥と猪には、功労賞をあげたい。
俺の目の前には、俺の手に持つ食べ物を狙いすます猿がいる。
猿は?
俺は、山の怪に確認した。
「山の怪、猿は、お助け部隊に入っていた?」
山の怪によれば。
俺が山の中にいたとき、猿は呼んでいなかった。
猿は勝手にやってきて、勝手に戦利品を持って逃げていっただけ、ということだ。
猿は、たくましい。
野生を餌付けしてはいけないので、飲み物、食べ物は、家の中にしまい込む。
落ち葉雪崩で、山の中を往復したアオダイショウもいる。
「アオダイショウ、来てくれてありがとう。昨日は、寝ているところを起こすことになったけれど、体調は悪くない?」
アオダイショウに聞いたら、アオダイショウは、俺に乗っかろうとして、元気さを見せようとしてくれた。
気持ちは、ありがたい。
本当に、マムシがいなくて良かった。
毒蛇が乗っかろうとしてきたら、逃げ出さない自信がない。
「俺と神様と山の怪の友情と勝利をたたえて、勝利のパーティーを始める!」
俺の宣言で始まったパーティー。
「一番、勝利の歌を歌います。」
「二番。山の怪を見て、何かあてようクイズ!」
俺が歌いながら、皆で体を動かしたり、山の怪の動きや形を見て、影絵当てをしたり。
俺と神様と山の怪以外は、庭を出たり入ったり。
猿は、食べ物や飲み物が出ないと知るなり、いなくなった。
最初は、仲良くゲームしていたのに。
タダで、飲み食いしにきたんだ、と隠しもしない猿。
山の怪にお願いして、猿には、我が家の食べ物を与えないと伝えておいた。
食べ物を見つけたら、我が家に入り浸るどころか、住み着きそうだから。
たくましい、を超えて、図々しい猿と同じ屋根の下に住むのは、嫌だ。
猪には、庭が狭いらしく、自由な走りを求めて、庭から出ていった。
鳥は、庭には、鳥の食べる実がなっていない、と、山へ戻っていった。
なんだかんだで、アオダイショウが、庭を気に入っている。
山の中よりも、趣味に合うらしい。
アオダイショウには、庭に遊びにきてもいいけど、俺がびっくりしないように、遊びに来たいときは、あらかじめ、山の怪に伝言を頼むようにしてもらうことにした。
庭で、しゃがんでいて。
顔をあげたら、アオダイショウがコンニチワ、していたら、叫ばずにはいられない。
神様と山の怪と俺で、今後の話もした。
「山の怪の気が向くとき、我が家の庭の警備をするがよい。」
と神様。
「警備?」
山の怪の警備?
「我が家と庭には、守りがないより、ある方がよかろう。」
と神様。
「ありがとう。山の怪の気が向くときで。」
山の怪は、気が向いたら、我が家の庭に遊びに来ることになった。
山の怪とアオダイショウは、山の中へ帰っていく。
パーティーを終えた俺は、神様と話をしながら、イラストを描いている。
パーティーと言っても、飲んだり食べたりしないから、小一時間で終了している。
今日は、いつもより、すいすい描ける。
描きたいものが、明確になっているから?
真夜中の山の中の風景。
勝利の朝の、空の風景。
勝利のパーティーに来た猪が走り去る場面。
鳥が木の実の餌を探している場面。
パーティーに食べ物が出ないと知った猿が、スン、となって、帰る場面。
アオダイショウが、お気に入りの場所を探す場面。
出来上がったイラストを商品として、ネットショップ〈神棚〉のホームページに並べる。
今日の神様は、しめ縄で綱渡りをしている。
しめ縄って、神様限定だけど、用途が広い。
俺が新商品入荷すると、早速一点、売れた。
「イラストを商品として出してすぐだった。」
売れたのは、勝利の朝の空の風景。
「響くものがあったのであろう。」
と神様。
「俺の描いたイラストを買いたい人に、買ってもらえる生活って、最高。」
「売り上げを気にしておったが、どうだ?」
と神様。
カリスマ店員である神様。
神様と俺が、ネットショップ〈神棚〉を続けていけるように、俺と一緒に、ネットショップ〈神棚〉について、真剣に考えてくれる。
風景画だから、新しい風景を見にいきたい。
「神様。
俺、また、電車に乗って、神様と出かけたい。
今度は、神様のお見送りじゃなくて、神様と行楽しながら、イラストの題材探しをするんだ。」
俺は、わくわくしながら、神様を誘う。
俺は、これから神様との思い出をたくさん作るんだ。
「志春と行楽か。志春の行きたい場所にするとよい。」
と神様。
神様は、俺に賛成してくれた。
「俺の行きたい場所?神様の希望は?」
「前の旅では、志春の希望の場所を選んでおらぬ。
次は、志春の希望を言うがよい。」
と神様。
「次ということは、その次もある?その次のその次も?」
嬉しい。
「志春、案ずるな。
小童は遊びたがるもの。
付き合うよりも、小童と共に遊ぶ方が、小童にはよいであろう。」
と神様。
「神様、ありがとう。
俺、神様は友達だと思っている。
神様も、俺にしてほしいことがあれば、言ってほしい。」
「親ではなく、友達か。」
と神様。
神様は、親の心づもりもあった?
いつも、俺に寄り添い、見守り、良くないことからは一生懸命、俺を守ろうとしてくれていた神様。
「神様、親は、親なんだ。
逃げることも、断ち切ることも、親子は難しい。
俺は、そう思った。
友達は、親とは違う。
ゼロから積み重なって、一になってから、始まるのが友達だから。
俺と神様は、友達。」
「友達か、よかろう。」
と神様。
「友達と遊びに行くんだから、俺だけの希望を叶えるより、神様の希望も聞きたい。
神様、希望は?」
「希望の前に、知らねばならぬ。」
と神様。
俺と神様は、明日から、次の行楽の予定を立てることにした。
お見送りじゃないから、行きも帰りも、神様と一緒。
楽しみで仕方ない。
行楽先でも描きたくなるだろうから、行楽先で新しく風景画を描いて、商品として並べていこう。
俺のネットショップ〈神棚〉の和風のアバターは、住み込みで働いているカリスマ店員の神様だってことは、俺と神様と山の怪だけの秘密。
ネットショップ〈神棚〉は、毎日、開店。
今日も、明日も、明後日も。
ホームページにアクセスしたら、ネットショップ〈神棚〉に棲んでいる神様に会える。
俺は、神様と一緒に、ネットショップ〈神棚〉を経営して生きていく。
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