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神様WEB!山のふもとの一軒家に住む俺と、俺のネットショップに棲む神様の冒険と日常  作者: かざみはら まなか


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70/80

70.俺を探す人達とじっと息をひそめている俺。協力者も探す?枯れ葉を踏みしめる複数の足音。見つかった?見つかっていない?

俺は、息をひそめて、耳を澄ます。


近づいてくる足音はしないけれど、山の怪と離れている俺は、見つかったら、自力で逃げ切らないといけない。


庭が騒がしくなった。


俺を探しに、歩き回っていた人達が、庭に戻ってきた。


「いねーな。」


「隠れたか。」


「隠れる場所なんてあるか?」


「探していない場所なら、あるだろ?」


懐中電灯が、次々に山に向けられた。


見つからないように。

俺は、じっとしている。


「正気か?」


「暗い中でも、足さばきに問題なく、山の中に逃げていったんなら、山に慣れているよ、その子。山育ち?」


「いや?都会の裕福な家で育ったはずだ。」


「見かけによらず、バイタリティーあるぞ。」


「こんな出会いじゃなかったら、鍛えて使ってみるのも考えたのに。」


「使って、なあ?」

ギャハハと笑う声。


「夜目がきいて、根性すわっているんだろう?

適職じゃないか?」


適職が、暗殺者の仕事に聞こえる。


「逃げていただけだぞ?」


「命の危険がなかったからだろう?」


「死体に話は聞けねーよ。」


「いやー。本当に残念だよね。可能性のある若者の未来を摘んでしまうことが。」


「残念かよ。」


「残念だよ?聞いていたより、随分、骨のある子じゃないか。」


「その骨のある子が、気合い入れて、逃げ回ってんだ。

ロッキングチェアーを持ち込んで座ってないで、動けや。」


「あれえ?とっ捕まえるのは、そっちの仕事じゃなかったっけ?」


「捕まえるまで、茶すすって、読書している気か?

ケツが決まってんだ。

やることやって、とっとと引き上げるぞ。」


「せっかちだなあ。まあ、いいか。手こずっているみたいだから、手伝ってあげるよ。」


「うぜー。恩着せがましいやつは、嫌われるぞ。」


「恩着せがましいんじゃなく、恩を着せているんだよ?分からないかなあ?」


「さっさとしろ。元気があるうちに、捕まえてやらねーと、話す前にくたばるぞ。」


「ええ、心配してあげているんだ、優しいねー。」


「特に鍛えていないなら、体力の限界が先に来るだろう。

一晩中、山の中を逃げ回るほどの体力はねえ。

捕まえる前に喋らなくなってりゃ、世話ないぞ。」


「ああ、はいはい。そこまで言うなら、働くよ。」


「言われる前に、働けや。」


「うるさいなー、もう。」


音声だけでも、めちゃくちゃ怖い。


俺、こんな人達を相手にしているんだ。


スマホを握る手が震える。


俺を捕まえてどうにかしようという内容を、笑い話にしている。


怖い、怖い。


なんで、こんな怖い目に。


じっとしていないといけないのに、歯がかたかた鳴りそうだ。


「やみくもに探してもなあ?」


「タイパだろ?」


強風でもないのに、庭の木の枝が揺れた。


山の怪が、木の枝を揺らしている。


俺が、怖がったから、話を終わらせた?


「木の枝を揺らしているやつがいるぞ?」


木の周りに、懐中電灯の明かりが集中する。


「いねーな。」


「ふうん。その子さあ、本当に、一人っきり?

協力者がいそうだよ?」


「協力者か。納得した。ツラ拝んどくか。」


「協力者がいるとは聞いていなかったぞ。

単独行動だっただろ?

いつ協力者を集めた?」


「ネットで募集かけたんじゃないすか?」


「ネットで集まるのかよ!」


「趣味の集まりなんて、興味があれば、そん時だけ来て、終わったら解散する感じで十分しょ。」


「お手軽か?」


俺は、腹の底が冷えていくのを感じた。


「山の怪がやりおる。

志春しはるは、捕まらなければよい。」

と神様。


捕まらなければ。

本当にそうだ。


害意を平気で垂れ流しにできる人達は、俺をどうにかすることについて、落ち葉を掃くくらいにしか、感じていないのかもしれない。


俺がすることは、震えて隠れていることじゃない。


あの人達の動きを見ながら、捕まらないようにすること。


神様、山の怪、俺。


三者三様、自分のできることをする。


次、あの人達は、何をする?


俺は、耳を澄ました。


話し声が、聞こえなくなった。


「協力者を警戒して、話すのを止めたのであろう。」

と神様。


ヘッドライトが消えた。


「明かりを消して、暗闇にまぎれるのだろう。」

と神様。


明かりを消すなら、懐中電灯も使わない?


足音を忍ばされて、包囲されたら、気付くのが遅れる。


近くにいると気づいても、山の中で、俺だけの足で逃げ切れる?


「山の怪は、山の怪で動いている。

志春しはるは、言う通りに動くがよい。


志春しはるは、よく考えて行動できる小童。」

と神様が励ましてくれる。


「うん。よろしく。」


俺は、神様の合図を待ちながら、山の怪を応援する。



俺は、枯れ葉を踏みしめる複数の音を聞いた。


「うお、何かにつまずいた。」


「一分も静かにできないのかよ。」


「木の根じゃね?」


「隠れていないで、出ておいでー。怖くないよー。」


「顔が見えないから、怖くはないのか?」


「怖い顔の人なんていませんよー。皆、優しいよー。」


「顔だけな。」


「そう、顔だけ。」

ギャハハと笑い話が響く。


俺を探しに何人か、山に入ってきた。


何人かじゃ、足りない。


全員、山に足を踏み入れてくれないと。


辛抱して待つ。


恐怖で、音を立てて自滅しないように。


落ち着け、落ち着け。


俺の方に向かってきているという確証はない。


懐中電灯で、照らしながら歩くことはしていないのか、話し声と枯れ葉のカサカサ音は聞こえるけれど、姿は見えない。


「あ、あれじゃね?」


「見つけた?」

ギャハハと笑う声。


「楽勝!」


「お待ちかねのご対面だよー。」


声は、聞こえる。


でも。

すぐ隣には、来ていない。


俺の視界に入る距離、お互いの姿が確認できる距離には、いない。


どこにいる?

どこから、見ている


見つかった?

本当に?

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