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神様WEB!山のふもとの一軒家に住む俺と、俺のネットショップに棲む神様の冒険と日常  作者: かざみはら まなか


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59.迎え討つために。俺と神様と山の怪(け)のチーム〈神棚〉。山の怪に詳しくなろう。人通りが減ってきた道の進行方向に、ダルそうな三人組発見。

山のは、俺の影と一体化して、俺の影を縦や横に伸ばしている。


影の形って、本体との共通点をなくしていても大丈夫?


俺の影が、人の形をしていない。


イソギンチャクみたいな形になっている。


俺は、触手を生やしていない。


山にイソギンチャクはないから、俺の知らない植物なのかもしれない。


影が変形しても、俺自身に害はなさそう。


でも。


影がイソギンチャクの形をしていたら、俺の存在そのものを怪しまれない?


『影を動かせる忍者を見つけた!』的な動画を拡散されたりしない?


俺は、ネットショップ〈神棚〉のイラストに注目を集めたい。


俺自身への注目はいらないんだ。


俺の描いたイラストを見て、イラストが欲しいからと買う人を増やしたい。


びっくり人間が描いたイラスト、みたいな売り方はしたくない。


「山のは、俺以外にも見える?」


「山の怪の姿が志春しはるに見えるのは、山の怪が、志春しはるに姿を見せたがっておるから。」

と神様。


「俺に姿を見せたがっているんだ?

元々、自己主張激しいわけじゃないんだ?」


「山に帰れるのを喜んでおる。

浮かれておる。」

と神様。


山の怪、浮かれているんだ。


いいことをした。


勝手に憑かれているだけだけど。


帰りたい場所が、山の怪にもあるんだ。


「倉庫の居心地が悪かったから?」


「山の怪は、山に棲むが、一処にとどまらぬ。倉庫から移動できぬ暮らしは、退屈であったろう。

山の怪は、山のあちこちを移動するもの。」

と神様。


「倉庫に来る人に憑いて、倉庫から出ていくのは、難しかった?」


「山の怪は、憑きたいものにしか憑かぬ。」

と神様。


山の怪は、河原の石に憑いて、倉庫に憑いて、俺に憑いた。


俺以外、無機物。


選ばれた感が、全然ない。


「山の怪には、憑きたい対象がある?」


「山の怪は、気に入ったものに憑くが、移り気で、次々と対象を変えていく。」

と神様。


「俺、安全?」


「案ずるな。山の怪は、山に帰る志春しはるを安全に帰そうとする。」

と神様。


山の怪が、コバンザメみたいに思えてきた。


「山の怪の元いた山でなくても、山ならどの山でもいい?

元いた山を知らないんだけど。」


「構わぬ。山に着けば、山の怪は困らぬ。山を移りたければ、好きに移る。」

と神様。


山の怪は、言葉は話さないけれど、意思表示をする気はあるらしい。


影の形が、ニホンザルに変化した。


多分、神様に同意している。


前は、猿がいた山に棲んでいたんだと思う。


山の怪が、影の形を変えるの見ていた俺は、疑問を持った。


「山の怪の姿が見えなかったら、山の怪が元々憑いていた石の絵を描いて、奉納だか、供養だか、を考えるほど、山の怪に脅威を覚えないんだけど、何が怖かったんだ?」


「姿が見えぬが、何かがいる、というのが、恐ろしかったのであろう。」

と神様。


「山の怪が見えないのに、いるかどうか分かる?」


神様に教えてもらわなかったら、倉庫に何かがいる、なんて発想は出てこなかった。


「山に帰りたがった山の怪が、呼び集めたものが恐ろしかったのであろう。」

と神様。


呼び集めた?


「野良犬や、野良猫?」


「自ら動くものであろうな。」

と神様。


「虫、鳥。」


「人も動くであろう。」

と神様。


「毎日、知らない訪問者?」


「呼ばれてきた人も、呼ばれてきた理由が分からぬであろう。」

と神様。


「呼ばれてきた人は、門の前に立っていて、インターホンを押しているときに、自分が何をしているのか、気づける?」


インターホン鳴らしているときに、気づいたら、間違えました、と帰れる。


「倉庫に入るまでは、気づかぬであろう。」

と神様。


ナニソレ。


「怪談?」


志春しはるを呼びつけたのは、志春しはるの母親の娘の縁者だからであろう。


引き寄せる縁を志春しはるに押し付けようとしたのであろう。」

と神様。


「目論見通りで、腹が立つ。」


「安心せよ。志春しはるは、血縁だから憑かれたわけではない。」

と神様。


「神様のお陰で、腹正しくはなくなった。」


「山の怪が、山に帰る目的に当てはまったことが、志春しはるを選んだ一番の理由であろう。」

と神様。


俺の影が、変化して、鹿の形になった。


なんで、鹿に?


山の怪が、神様に同意していることは分かった。


「移り気な山の怪は、志春しはるの母親の家にいても、志春しはる以外には興味を示しておらぬ。


山の怪は、憑いていた石を拾った娘にも、興味を示しておらぬ。


安心するがよい。

志春しはるに憑く山の怪は、楽しんでおる。」


俺の影が、猪の形になった。


俺、憑いている山の怪と、山に帰ってからも仲良くできるかもしれない。


「生命活動を終えたものも、移動が可能であれば、山の怪に呼ばれてきたであろう。」

と神様。


生命活動を終えたお客様に押しかけられるのは、嫌だ。


我が家を、心霊現象が起こる家にはしたくない。


山に着いたら、山の怪は、山に帰そう。


野性のものは、野生に。


山の怪は、山に。


神様と相談したいから、母さんの家を出てからずっと、バスに乗らずに歩いている俺。


警戒しているけれど、今のところ、誰も、俺を攻撃していない。


「人通りがある場所では、来ない?」


目撃者が多いから?


「母親に警察が来たのであろう。近くに、警察が控えていてもおかしくあるまい。」

と神様。


警察が見張っている場所では襲撃しない、捕まるから?


見る人が見れば、誰が刑事さんか分かる、ということ?


俺には分からないけど、犯罪に関係する人は、捕まらないように嗅覚が発達しているとか?


深川さんは、警察と犯罪に関係する人、どっちの情報も収集してそう。


歩いているうちに、人通りが少なくなってきた。


そろそろ来る?


まだ来ない?


若い男性の三人組が、俺の進行方向で、ダルそうに立ち話をしている。


ダルそうなのは、俺を待ち伏せしているから、じゃないといいんだけど。

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