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神様WEB!山のふもとの一軒家に住む俺と、俺のネットショップに棲む神様の冒険と日常  作者: かざみはら まなか


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42/80

42.逃げ出すために向かった玄関に、俺の靴はなかった。神様は、父さんの足止めをしてくれた。でも、父さんには、協力者がいる。仕事の依頼主が。

俺が家を出るまで、父さんと父さんの奥さんは、部屋から出てこなかった。


神様が、何かをして、足止めしてくれた。


玄関に、俺の靴はなかった。


靴箱を開けて見たけど、どこにも入っていない。


俺が、仕事から逃げ出さないように、靴を処分した?


父さんの靴と、父さんの奥さんの靴は、靴箱に並んでいる。


俺の靴の代わりに、履ける靴は、サンダルか、父さんの靴。


昨日、父さんが運転する車の車窓から見る限り、父さんの新居は、幹線道路から外れていて、電車の駅も近くになかった。


俺のスマホを取り返して、この場所を調べてから、最寄り駅を探すことも考えた。


スマホを探すのは、お金を取り返すよりも、時間がかかる。


財布が棚から落ちてきたから、お金は取り戻せた。


スマホは、どこにあるのか、見当もつかない。


俺は、この家から、一刻も早く出ていく方がいいと感じている。


神様は、俺が我が家にたどり着くまでの間、父さんと父さんの奥さんの足止めはしてくれる。


俺は、父さんと父さんの奥さんが、追いかけてくる心配はしていない。


今、俺が、懸念しているのは、父さんと父さんの奥さんじゃない。


父さんから逃げ出そうとしている俺が、一番見つかってはいけない人物が、父さんの関係者にいる。


父さんの奥さんが、俺を追い出す先に考えていただろう人物。


父さんは、俺の仕事部屋に、俺の仕事を用意していると、最初から、俺に話していた。


父さんの認識は、父さんだけのもの?


父さんの奥さんは、他の場所で俺を働かせることを、父さんに勧めていた。


父さんと父さんの奥さんは、仕事で繋がっている。


父さんが、俺の仕事だと言っていたデータ入力の依頼主が、俺を認識していない、とは言い切れない。


父さんではなく、データ入力の依頼主が、俺に仕事をさせようと捕まえにこないとは、言えない。


俺は、昨日と今日で、用心深く、疑り深くなった。


俺は、サイズの合わない靴とサンダルを見比べて、サンダルで、歩くことにした。


真冬の寒さに、サンダルは辛いけれど、明らかに足に合わない靴よりは、歩き続けることができる、と俺は思った。


上着を急いで取りに戻って、サンダルを履き、玄関ドアを開ける。


冬の風は、冷たく、顔に突き刺さる。


靴下にサンダルの足の指が、かじかみそう。


寒さにおののきながら、俺は、玄関から一歩踏み出した。


表札の横の住所を確認する。


全く見覚えがない場所。


俺の今までの人生で、縁のなかった場所。


神様が、縁を切ってくれた。

俺が、この家に戻ることは二度とない。


昨日の車窓からの景色を思い出しながら、昨日来た道を戻っていく。


どこか、大通りに出れば、バスか何か走っているはず。


電柱にある住所を見比べながら、歩く。


前方に、こちらへ向かってくる車が見えた。


俺の歩いている道に、それる脇道はない。


俺に車が見えるということは。


走行中の車の運転席から、俺が確認できているはず。


赤の他人ならいい。


通り過ぎてほしい。


びくびくしないようにしよう。


昨日の今日で、痛みのとれていない体には、寒風の中での徒歩移動が辛い。


でも、歩くのを止めたら、俺は終わる気がする。


捕まりたくないなら、前に進まないと。


俺は、顔を上げて堂々と歩く。


足元がサンダルで指先が寒い。


でも、弱っているところを見せたら、絡め取られる。


父さんが、俺にそうしたように。


俺に対する情がなく、俺のことを使ってなんぼ、としか、考えていない人は、俺を丸め込んで使うことに、罪悪感なんて、覚えない。


車は、俺の十メートル手前から減速して、ゆっくりと俺の横を通り過ぎていく。


良かった!


杞憂だった。


俺は、ほっとして、張り詰めていた息を吐き出した。


そのとき。


減速して通り過ぎた車が停まった。


ドアを開けて、誰かがおりてきている音が聞こえる。


俺は、後ろを振り返ることはしなかった。


俺は、無関係なんです、というていを保ちながら、前へと足を進める。


寒さとは、別に、緊張で、肩が強張る。


運転席からおりてきた人物は、歩き出した。


俺の方へ。


「どこへ行くのかな?」

と背後から声がかかった。


運転席でハンドルを握っていたのは、壮年の男性だった。


俺が歩いている道にいるのは、俺とその男性しかいない。


俺に話しかけてきているのは、その男性しかいない。


男性が話しかけている相手は俺しかいない。


どうする?


呼び止められていないなら、無視して進んでも?


俺は、足を止めなかった。


背後の足音が止まる。


このまま進んでいける?


俺は、緊張したまま足を上げる。


そのとき。


背後の男性は、よくとおる低めの声で、俺に確認してきた。


小野おの志春しはるくんだよね?

小野おのさんの息子さんの。」

と言う背後の男性の声音には、逡巡が見られなかった。


背後の男性は、確信を持って聞いてきている。


この道を来たということは、父さんの関係者で、データ入力の依頼主の可能性が高い。


見つかりたくない人に、見つかってしまった。


神様は、父さんの家で頑張ってくれている。


今の俺の最優先は、俺のできる最善を尽くして、我が家に帰ること。


後戻りしたくないなら、考えろ、俺。

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