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神様WEB!山のふもとの一軒家に住む俺と、俺のネットショップに棲む神様の冒険と日常  作者: かざみはら まなか


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40/80

40.父さんの奥さんが、笑いながら差し出してきたのは、かじるには固すぎる古い食パン、父さんの奥さんのスマホ。神様に会える!神様、助けて!

朝、起きたら、やっぱり体中が痛い。

動こうとすると、痛みで、顔が歪む。


動作を中断することを繰り返しながら、俺は、朝食をとりたくて、父さんと父さんの奥さんを探しにいった。


動くためには、エネルギーがいる。


何か、食べないと。


台所に行くと、父さんの奥さんがいた。


父さんは、見当たらない。


俺は、おはようございます、と、父さんの奥さんに挨拶する。


何しに来た?と聞かれる前に、朝ご飯が食べたいと、父さんの奥さんに伝えた。


父さんの奥さんは、笑いながら、賞味期限が一週間以上前に切れている食パンを、俺に出してきた。


食パンなのに、ふんわりしていない。

白い部分が、フランスパンみたいに、カチコチになっている。


父さんの奥さんの笑い方は自然で、意地悪そうには、全然見えない。


父さんの奥さんの意図が分からない。


俺から働きかけよう。


俺は、一つ一つ、意思表示をしていくことにした。


「食パンは、トースターで、焼きたいです。

トースターは、ありますか?

飲み物を飲むためのコップも貸してください。」


父さんの奥さんは、ぶっと吹き出した。


「食パンは、そのままで、十分でしょ。

志春しはるくんなら、その食パンを食べられるわ。


コップで飲みたいなんて、贅沢よ?

志春しはるくんが使ってもいいコップがあると思う?


志春しはるくんは、注文ばかり一人前になったわね。」

と、父さんの奥さんは、朗らかに笑う。


昨日の夜、親切にしてくれた、父さんの奥さんは、もういない?


俺は、水道水が出てくる蛇口から、直接水を飲んだ。


俺が手で水をすくっても、父さんの奥さんが、濡れた手を拭くタオルを貸してくれるとは思えなかった。


水道水を飲む経験をしておいて良かった。


喉が乾いていたから、ごくごく飲める水があって、嬉しい。


父さんの新居が、上水道の通っている家で良かった。


「父さんは、どこですか?」


「仕事に行ったわよ。」

と父さんの奥さん。


父さんが、俺の仕事部屋を作って、閉じ込めようとしたのは、父さんが仕事でいない間、父さんの奥さんが、俺と家にいることを嫌がったから、とか?


「父さんは、家で仕事をしているわけじゃないんですか?」


俺の小学生時代、父さんは、会社を経営していたと思う。


『社長』と呼ばれていた。


今は?


志春しはるくんは、お父さんの仕事はしないんでしょ?

志春しはるくんには、お父さんがどこにいようと関係ないわよね?」

と朗らかに話す父さんの奥さん。


話をそらされている?


「俺を連れてきたのは、父さんなので、話をしたいんですが、父さんの帰りはいつですか?」


「遅いわよ。夜中になるわね。」

と父さんの奥さん。


「そうですか。」


俺は、考えた。


昨日の寒い仕事部屋で、今日も再びパソコンに向き合う方が、神様に会える可能性が高くなるなら、寒い仕事部屋に毛布と布団を持ち込むけど。


一晩経って、冷静になった。


昨日の寒い仕事部屋で、神様に会うのは難しい。


インターネットを使える環境として、昨日の寒い仕事部屋は決して良いものじゃない。


今日は、別のもので試したい。


俺が黙って考え込んでいると。


「ねえねえ。何を考えているのか、お姉さんに教えてよ。」

と、父さんの奥さんは、急に馴れ馴れしくなった。


「ネットが出来る場所はある?」


「第一声が、ネットしたいって?何にハマっているの?そんなに面白いの?」

と父さんの奥さん。


「面白いというより、毎日見ていたい。」


「ええ、重症!どんな面白いものがあるの?」

と父さんの奥さん。


「神様がいる。毎日、ネットで神様に会える。」


志春しはるくんねえ、妄想を真面目に話されたら、気持ち悪いんだけど?

話を聞いている人の身にもなれば?」

と、父さんの奥さんは、笑いながら、俺を貶してくる。


父さんの奥さんは、声が聞こえなかったら、俺を貶しているとは到底思えないくらいの、人好きのする笑顔を俺に向けてくる。


「ネットでなら、神様に会えるんだ。」


「そこまで言うなら、志春しはるくんの神様に会わせてよ。」

と父さんの奥さん。


俺は、父さんの奥さんが、神様に何かするんじゃないか、と警戒した。


父さんの奥さんは、信用してはいけない気がする。


母さんが、父さんの近くにいることを嫌がった理由は、三角関係だけじゃないかも。


「なんで?関係ないのに?」

俺は、父さんの奥さんに、関係ない返しをした。


志春しはるくんて、可愛げがない、と言われない?」

と父さんの奥さん。


「知らない。わざわざ、俺に向かって、可愛げが、とか言ってくる人なんて、いない。」


「ふーん。まあ、いいわ。志春しはるくんは、ネットの禁断症状あるんでしょ?」

と父さんの奥さん。


「禁断症状?」


考えたことがなかった。


「ネットしたいんでしょ?

させてあげる。」

と父さんの奥さん。


「俺のスマホは、父さんが持っている。」


志春しはるくんのは使えないね?残念だよね?」

と父さんの奥さんは、また、からかってくる。


何が言いたい?


期待していたから、腹が立つ。


「お姉さんのスマホを使ってみたら?」

と父さんの奥さんは、ロックを外したスマホを俺に渡した。


渡されたスマホの電波状態を確認。


ネットができる!


俺は、急いで、ネットショップ〈神棚〉のホームページにアクセスした。


嬉しい。やっとだ!

早く、早く、と気が急く。


アクセスできた!


ああ、神様がいる!

神様は、まりを持って新体操をしていた。


「神様!俺!会いたかった。やっと会えた!」


鞠を腕に乗せて、コロコロ移動させる神様。


志春しはるがいるのは、父親の家か?くたびれて、どうした?」

と神様。


「神様、俺、父さんの家で、父さんに無理やり働かされそうになっているんだ。


俺、神様と住んでいた我が家に帰りたい。


俺は神様と仕事をするんだ。


父さんとは、仕事したくない。」


俺は、破裂しそうな気持ちを言葉にして神様に伝えた。


そういえば。


俺は、父さんの奥さんに、スマホを貸してもらったお礼を言っていなかった、と気づいた。


意地悪されたけど、スマホは借りたから、父さんの奥さんにお礼を伝えようと、俺は、スマホから顔をあげた。


そのとき。

父さんの奥さんは、急に、俺から後じさった。


え?何かあった?

俺は、周りを見回す。


父さんが、ダイニングキッチンに入ってこようとしているのが見えた。


父さんの奥さんは、父さんから、逃げた?


なんで?

父さんと父さんの奥さんは仲良しじゃない?


俺は、父さんの奥さんに渡されたスマホを手に、父さんの奥さんに急いで歩みよる。


すると。


父さんの奥さんは、突然叫びだした。


「いやあ、やめて、こないで!

志春しはるくんの恩知らず。

優しくしてあげたら、調子に乗るなんて、最低!


助けて!

ネット中毒の志春しはるくんは、私のスマホを取り上げたの!」


スマホは、父さんの奥さんが貸してくれたのに、なんで?


父さんが、大股で部屋に入ってきた。


俺は、スマホを離すまい、と両手で持つ。


やっと神様と会えたスマホを取り上げられる?


怖い!

また、父さんに殴られるのは、嫌だ!


「神様、助けて。

父さんに殴られたくない。もう、痛いのも、寒いのも、怖いのも嫌だ!」


俺は、スマホの画面越しに、ネットショップ〈神棚〉のホームページにいる神様に、無我夢中で叫んだ。

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