38.父さんの奥さんは、父さんと母さんに亀裂を入れる原因になった?母さんと俺のことが気に食わない?
俺は、父さんと奥さんの家族に入らない。
「本当に、家に置いておくの?
こんなのが、同じ屋根の下にいるなんて、気味悪いんだけど?」
と奥さんは、顎で、俺をさす。
「志春は、部屋から出さなければ、問題ない。」
と父さん。
「同じ建物にいることが、気持ち悪いって言っているの。
昔は、お馬鹿なだけだったのに、気持ち悪い成分しかないって、誰に似たの?
鳥肌が立ったわ。」
と奥さん。
父さんの奥さんの、俺の昔を知っているムーブが、鼻につく。
俺は、知らないのに。
「いつから、俺のことを知っている?」
「あら、まともになった。
錯乱していただけ?
いつからって?
勿論、最初から。」
と父さんの奥さん。
父さんの奥さんは、俺が質問すると、面白いものを見つけた、という顔になった。
「最初って?」
「志春くんが、赤ちゃんのとき?」
と父さんの奥さん。
「そんなに前?」
「あは、真面目に受け取りすぎ。
ちょっと、ホラ吹いたかな。小学生の志春くんは、知っている。」
と父さんの奥さん。
「父さんとどういう関係?」
「お姉さんはね、志春くんのお父さんと一緒に働いていたのよ?」
と父さんの奥さん。
父さんの奥さんは、情報を小出しにするのが、楽しいみたいだ。
「今は、父さんと結婚している?」
「したわよ。どうして結婚したか、知りたい?」
と父さんの奥さん。
「知りたくない。」
俺は、父さんの家族に入らないと決めたから、父さんの家族とは、仲良くならない。
父さんと母さんの家族は、俺にとって、一番遠くにいてほしい他人になった。
「志春くんのお母さんに、何か聞かされているの?
お姉さんが、志春くんのお父さんと結婚したのは、志春くんのお母さんのせいなのに。」
と父さんの奥さんは、含みのある笑い方をする。
「志春くんのお母さんが、志春くんのお父さんとお仕事していたお姉さんを、人前で、泥棒猫だと罵るから、お姉さん、とても、困ったのよ?」
と父さんの奥さんは、俺の方へ身を乗り出してきた。
「俺に話すことじゃない。
父さんと母さんとお姉さんの三角関係なんだから。」
俺は、聞きたくないから、拒絶の言葉を発した。
でも、父さんの奥さんには、俺の言葉は響かない。
父さんの奥さんは、俺の意見に聞く価値があるとは思っていない。
「志春くんのお父さんはね、お姉さんがお仕事出来る人だから、絶対に辞めてほしくないって、引き止めてきたのよ。
お姉さんは、人前で悪者扱いしてくる女の人より、お姉さんを理解してくれる優しい男の人のお願いを聞いてあげたわけ。」
と父さんの奥さんは、口元をほころばせる。
母さんは、父さんの近くにいる女の人を警戒した。
女の人全員を警戒したのか、父さんの奥さんになった人だけを警戒したのか。
父さんは、仕事の能力を優先して、後に奥さんになる女の人を、父さんの近くで働かせることを選んだ。
女の人は、父さんに請われたから、というよりも、母さんに思うことがあって、父さんの近くで働き続けることを選んだ、という風に聞こえた。
「志春くんのお母さんは、志春くんのお父さんの近くにお姉さんがいるのが気に入らなくて、お姉さんに嫌がらせをするようになったの。
志春くんのお父さんが、いつも、お姉さんを助けてくれたから、お姉さんは、無事だったけど。
志春くんのお母さんに、お姉さんは迷惑をかけられた、ということを、お姉さんは、志春くんに知っていてほしいな。
志春くんのお母さんは、志春くんのお父さんがお姉さんを助けるのが、気に食わなくて、嫌がらせをやめてくれなかったのよ?
お姉さんは、お仕事をしているだけなのにね。」
と父さんの奥さん。
父さんの奥さんは、俺に、なりそめを聞かせたい?
「結果的に、父さんと結婚したんだったら、父さんに近づけたくないという母さんの危惧は、当たっていると思う。」
その気はない、と言いながら、一番近くにいて、最終的に父さんと結婚しているなら、結果が全てを物語っている。
「志春くんは、今も昔も可愛げがない。本当に、誰に似たの?」
と、父さんの奥さんは、笑いを引っ込めた。
「俺は、父さんと母さんは、似た者同士だと思う。
父さんも母さんも、似たような行動をしてきた。
父さんの胸の内も、母さんの胸の内も。
かけらも分からないまま生きてきた俺は、父さんにも母さんにも似ていないと、自分で思う。」
俺が会話しているのは、父さんの奥さん。
俺は、父さんの奥さんと話しながら、父さんの様子をうかがっていた。
父さんは、父さんの奥さんが、暴露話を始めても、止める素振りを一切見せなかった。
父さん、俺には、父さんのことが理解できそうにないよ。
父さんは、両親の不和を息子に聞かせたい?
不和の一因の一人に、不和のおこりについて、語らせたい?
何のためにそんなことをしている?
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