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神様WEB!山のふもとの一軒家に住む俺と、俺のネットショップに棲む神様の冒険と日常  作者: かざみはら まなか


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37.父さんの奥さんは、以前の俺を知っている?痛いのも怖いのも寒いのも嫌だ。俺は、神様と仕事をしている。父さんに与えられた仕事はしない。

神様には、会えないまま、夜になった。


パソコンは、インターネットに接続しようとすると不安定になることが分かった。


パソコンが古いのか、置かれている場所が悪いのか。


ネット接続に関係ないパソコンの中身を消したら、接続できる?


神様に会いたい。


俺の頭の中にあるのは、それだけ。


神様に会える方法を見つけたと思ったのに、会えなかったことが、こたえる。


志春しはる、成果を見せなさい。」


父さんが、部屋の扉の向こうにいる。


父さんじゃなく、神様が来てくれたらいいのに。


神様と一緒に暮らした、山のふもとの我が家に帰りたい。


今日中に、神様に会えないと思ったら、どっと疲れてきた。


何もやる気になれない。


俺は黙って、扉を見ていた。


扉の前の重石が、動く音がする。


扉が開くと、そこにいたのは父さんだけじゃなかった。


母さんより、十歳以上年下に見える女の人が、父さんの斜め後ろに立って、俺を見ていた。


父さんの奥さん?


志春しはる。成果を見せなさい。」

父さんは、椅子に座って脱力している俺を押しのけた。


「成果、ゼロだと。

志春しはる、今まで、何をしていた!

時間がないのに!」

と言うなり、父さんは、俺の頭を叩いた。


脱力していた俺は、父さんに力任せにふるわれた腕の威力をまともにくらって、デスクにぶつかり、椅子から落ちた。


頭が痛い。


椅子から落ちるときに、デスクにぶつけた横っ腹や太ももが痛い。


椅子から落ちたときに、打った腰も痛い。


体中、どこもかしこも痛い。


なんで、俺は、夜中まで、冷えきった部屋の床に、痛い思いをして転がっているんだろう。


山のふもとの我が家にいたら、布団の中で、ぐっすり眠っている時間。


志春しはる。聞いているのか!

すぐに仕事に、取りかかりなさい。」

父さんが怒鳴っている。


父さんの怒鳴り声なんて、聞きたくない。


耳をふさぎたくて、手を動かした。


すると。

ふざけているのか!と父さんは、俺の胸ぐらをつかんできた。


父さん、どうして、俺を家に連れてきた?


俺が気に食わないなら、俺を父さんの視界に入れないで、俺から遠ざかったままでいてくれた方が良かった。


父さんと母さんから、遠く離れたところで、父さんの荒ぶる姿を知ることもなく、いつの日か、思い出になるのを待てたかもしれなかったのに。


俺は、父さんに胸ぐらをつかまれているけれど、父さんのなすがまま。


俺、この期に及んで、父さんに、どう振る舞うのがいいのか、分からないんだ。


俺が知っていた父さんは、いきなり、俺に暴力をふるう人じゃなかった。


俺は、今まで、暴力をふるう人と接したことがない。


暴力をふるわれた経験もない。


暴力は、喧嘩とは違う。


喧嘩は、同じエネルギーがぶつかる。


暴力は、激しくて一方的だ。


「仕事は、真面目にやりなさい。」

と、父さんは、俺の胸ぐらをつかむ手を緩めない。


「返事!」

と父さんが、また怒鳴る。


俺は、言いたかった。


暴力をふるわないで。


一方的に従わせようとしないで。


もう痛いのは嫌だ。


寒いのも嫌だ。


帰りたい、帰りたい。


「神様に会いたい。神様に会いたい。」


痛い、怖い、寒い、という悲鳴の代わりに。


俺は、『神様に会いたい』と繰り返していた。


止める人がいない目覚まし時計みたいに。


ふと、俺は、もう、父さんに胸ぐらを掴まれていないことに気付いた。


父さんは、俺から離れて、女の人の肩を抱いていた。


父さんが、俺から離れた。


俺は、父さんとの距離が出来たことで、段々、落ち着きを取り戻した。


俺、父さんとは、この先、何があっても、一緒にいることができないと思う。


父さんの腕が届く範囲にいると、俺の体は、恐怖で、強張る。


「気味悪い。ちょっと見ないうちに、何にハマったの?

前は、そうでもなかったでしょ?」

と女の人は、嫌悪の眼差しで俺を見ながら、自身の腕をさすっている。


女の人は、今じゃない俺を知っている?


「頭を打ちすえたくらいで大げさな。

仕事をしない志春しはるが悪い。」

と父さん。


父さん。


俺、父さんに与えられた仕事は、絶対にしない。


父さんには、言っていないけれど、俺は、もう一国一城の主。


俺には、自分の店がある。


俺の店には、カリスマ店員の神様だっている。


俺の居場所は、父さんの新居じゃない。


「神様に会いたい。俺は、神様と暮らした家に帰る。父さんとは一緒にいない。父さんの仕事は、絶対にしない。

俺は、もう、神様と仕事をしている。」

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