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神様WEB!山のふもとの一軒家に住む俺と、俺のネットショップに棲む神様の冒険と日常  作者: かざみはら まなか


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33/80

33.父さんと会話したいのに、父さんがノッてくれる話題が分からない。新居に行く前に、服屋がある大型スーパーに寄ってほしいと話したら。

ゴミは、ゴミの日にいないので、ゴミ焼却場に持ち込んだ。


部屋の中は、空っぽ。


家具は備え付けだから、持ち出すのは、手回り品と新しく買った布団と毛布。


山のふもとの家に、布団と毛布を送ろうとしたら、両方、父さんの新居に持っていこうと言ってくれた。


車移動だから、と言われて、遠慮なく、トランクに積み込む。


父さんと話したくて、助手席に乗ろうとしたら、後部座席に乗るように、強く勧めてくる。


運転席と後部座席じゃ、距離があって、話しにくい気がする。


四年ぶりの父子の語らいなんだから、隣合って座っても、おかしくないと思うんだ。


俺は、助手席の扉に手をかけたまま、父さんに聞いた。


「助手席に誰か乗ってくる?」


父さんは、運転席に座って、前を向いたまま、俺と目を合わせない。


どうして?


誘ってくれたのは、父さんなのに。


不安になってくる。


うちに来たら?は、社交辞令だった?


真に受けたら、ダメなヤツ?


社交辞令かどうかの見極めなんて、俺には無理だよ、父さん。


父さんと俺は、この四年間、用件以外のやり取りをしてこなかったんだから。


「助手席は、志春しはるの乗る場所じゃない。言われた場所に乗るように。」

と、父さん。


取り付く島もない父さん。


俺は、黙って後部座席に座った。


俺は、父さんに、父さんの新居に行くにあたり、着替えの服や靴、卒業式用にもスーツが一揃い必要だと説明した。


「父さん、服屋のある大型スーパーに寄って。

俺、お金持ってないから、父さんに買ってもらわないと。

ないと困るものだから、買ってから、新居に行きたいって、思っているんだけど。」


ミラーにうつる父さんの顔を見ながら話す俺の声は、どんどん尻すぼみになっていった。


ミラーにうつる父さんの顔は、俺がお金の話を持ち出した途端に険しくなったんだ。


父さん。

俺、父さんの息子でいて、いいんだよね?


父さんの家族の中に、俺が入ってもいいんだよね?


だめだったら、俺に、家に来てもいい、なんて、言わないよね?


父さん、俺、新居に行っても大丈夫だよね?


父さんは、俺をいらないものに分類したりしないよね?


「家にあるもので、間に合わせるように。」

父さんは、その後、車内で一言も話さなかった。


「父さん、俺の卒業式の服は、どうすればいい?

あ、父さん、俺の卒業式、見に来る?」


俺の父さんへの問いかけは、車内の沈黙の中で、なかったことになった。


俺は、上着のポケットに入れたスマホを、上着を撫でながら、何度も確認した。


神様、神様。


どうしよう。


俺、父さんが怖い。


うちにおいで、と誘ってくれる前の父さんは、俺を遠ざけてはきたけど、怖い人じゃなかった。


車の中が、ピリピリする。


俺は、お金以外の話をしようと思った。


でも、機嫌が悪くなった父さんに、何の話題を出したらいいのかが分からない。


父さんが、どんな話題なら、会話してくれるのか、俺は知らないんだ。


この四年間は、用件だけだったけど、その前は、どうだった?


俺、どうしていた?


父さんと母さんには、話したいことを話したいときに話していたから、何を話せばいいのか、なんて、気を遣った会話をした覚えがない。


父さんと母さんは、俺の話を聞いて、どうしていた?


思い出せる?


いや、思い出さないと。


父さんの新居にいくんだから。


父さんと打ち解けた会話が全然ないまま、新居に入ることは避けたい。


今が一番、父さんと話せるタイミング。


思い出せ!


父さんは、俺のどの話に食いつきが良かった?

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