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神様WEB!山のふもとの一軒家に住む俺と、俺のネットショップに棲む神様の冒険と日常  作者: かざみはら まなか


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32/80

32.父さんが、新居に来るように誘ってくれた。大学入学してから一度もなかったのに。招いてくれた理由は、俺が卒業するから。どういう意味だろう?

父さんからのメッセージは、『詳細に。』だった。


俺は、警察が来て、証拠集めをしていただろうことまでを一気に書いた。


最後の一文を付け足すか、迷っている。


『ワンルームは、危ないので、片付けをしたらワンルームを出ていくけど、卒業式には出たいから、前日泊する宿泊費を出して欲しい。』


父さんとは、この一文で完全に縁が切れても、諦めがつくか、を考えてみる。


父さんも母さんも、俺の大学生活には、関心がなかった。


俺の大学生活に、というより、大学生になった俺に関心がなくなった?


父さんと母さんは、俺が一人で自活できるだけのお金を払うから、離れた場所にいて、父さんと母さんに存在をアピールしないようにして、父さんと母さんに迷惑をかけないようにしなさい、というスタンスだった。


母さんと俺の縁は、切れている、と思う、多分。


母さんが、俺の部屋を勝手に貸し出ししているのは、俺の存在を忘れているわけじゃないと思いたい。


実のところは、どうなんだろう?


去る者は日々に疎し?


忘れてはいないけれど、俺のことを疎ましくは思っている?


俺の部屋は、俺が大学生の間、住むところとして、父さんが入学前に契約している。


父さんと母さんと俺の三人で、契約の確認をした。


父さんと母さんで、俺にかかる費用を折半するという書類も、三人で確認した。


両親だから、半分ずつ、俺に責任を持つため。


母さんが切り出した離婚に、父さんが同意するための条件だったんだって。


父さんとの縁が切れたら?


俺は、嫌だ、寂しいと思う?


想像してみたいけど、出来ない。


縁が切れてからじゃないと分からないのかも。


分からないことを考えても、結論は出ない。


俺が、気にしないといけないことは、安全確保は最優先ということ。


命は、なにものにも代えがたい。


母さんが犯罪に加担している可能性が高い今、ワンルームに居続けるのは、危険。


俺は、迷っていたメッセージを、父さんに送ることにした。


父さんから、メッセージが!


初めて、日をまたがずに、父さんから返信がきた。


『迎えに行く。』

と一言。


迎えに行く?


ワンルームに、俺を迎えに?


助かるけれど。


初めてだから、戸惑う。


迎えに来てもらった後、俺はどこに行くのか、を父さんに確認する。


すぐに返事がきた。

父さん、今、手が空いている?


父さんからのメッセージに俺は、びっくりした。


『うちに来なさい。大学卒業してから、うちに住まわせる予定だった。少々早まるぐらい、問題ない。』


どういうことだろう?


俺と一緒に住む予定だったって、最初から?


俺、何にも聞いていない。


でも、無条件に嬉しい。


俺は、ワンルームに暮らし始めてからずっと、ワンルーム以外、どこにも行き宛がないと思っていた。


山のふもとの家を買ったから、今の俺には、帰る家がある。


困ったときに。

『うちにおいで』と、父さんに誘われて、俺は、悪い気はしないどころか、天にも昇る気持ちだった。


父さんは、俺のこと、忘れたいわけじゃなかったんだ。


ほっとして、安心する。


母さんは、分からないけれど、父さんは、俺を捨てていないんだって。


良かった。


父さんのことを疑いすぎたかも。


安堵した途端、父さんに申し訳ない気がしてきた。


手土産を用意しよう。


父さんの新居だから、父さんと奥さんの二人分の何か買っていこう。


卒業まで寝泊まりするなら、着替えがいる。

どこで買おう?


卒業式の服も靴も買うか、レンタルするかしないと。


スーツを一着、ワンルームに置いていったんだけど、なくなっているんだ。


俺は、想定外にかけられた父さんの言葉に浮かれていた。


父さんからの用件じゃないメッセージを見て、俺に対する思いを、父さんは持っていてくれたんだ、と思った。



俺は、喜びを噛みしめるために、もたげてきた不安を見なかったことにした。


この四年間、ずっと俺を遠ざけてきた父さんが、どうして、俺を家に入れてくれる気になった?



俺は、ワンルームから、父さんの家に避難して、そこから卒業式に出ることを神様に伝えた。


「危ない場所にいるよりは、良かろう。

見守ってやろう。」

と神様。


「誰が乗り込んでくるか、分からない部屋にいるよりは、ずっといい。


それに、初めて、父さんから、俺を家に呼んでくれたんだ。


初めてなんだ、神様。初めて。」


浮かれている俺とは反対に、神様は冷静だった。


志春しはる

住まいを移して、変わらぬものもあれば、変わるものもある。

人の心は、その最たるもの。」

と神様。


「うん?」


分かるような、分からないような。


「小童は、心のままに過ごすもの。

志春しはるを見ておくのは、志春しはるでなくても良かろう。


志春しはるは、安心して過ごすと良い。」

と神様。


「神様が一緒だから、行くのが楽しみ。」


ワンルームに残されているものをゴミ袋に詰めながら、俺は神様と話をしている。


「小童は、外出を楽しみにするもの。」

と神様。

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