21.神様が、アバターになった?アバターじゃない?じゃあ、ホームページにいるのは、神様?ダブルブッキングで、常世に席がなかった?
神様に出会えて泣きたいくらいに嬉しい。
嬉しいけど、目の前の出来事の意味がわからない。
「神様、なんで、俺の店のホームページにいるんだ?しかもアバターになって。常世に還ったんじゃなかった?
まさか。
波にさらわれたときに、かまぼこ板ごと遭難して、還っていない?」
救命胴衣がないなら、浮き輪の代わりになる何かぐらい探せば良かった。
発泡スチロールがあれば、ビート板みたいに。
俺が、神様との別れを思い返して、落ち込んでいると、陽気な声が話しかけてきた。
「案ずるな、志春。還ったとも。還ったから、ここにいる。」
神様のアバターは、俺に、落ち着け、と手を振る。
常世に還ったのに、人の世で、アバターを作って、俺のホームページで、アバターを使う神様?
「神様、説明して。」
「常世に還ったら、ダブルブッキングで、席がなかった。」
「ダブルブッキング。」
予約の二重とり、神様の世界でもあるんだ?
常世は、座席指定?
座席を予約して、総入れ替え制の映画館?
「ダブルブッキングにより迷惑をこうむったから、人の世で、志春と過ごすことを条件に、寿命を延ばしてきた。
安心するがよい。」
と神様。
「神様、今日から、また一緒に暮らせる?」
俺は、マグロのぬいぐるみから手を離して、くるくると手足を動かす神様のアバターを見つめる。
「席が空くまで、無為に時間をつぶすよりも、志春といる方がよかろう?」
と神様。
嬉しいよ、神様。
ありがとう、神様。
会いたかったよ、神様。
俺は、うんうん頷く。
横に置いてあるマグロのぬいぐるみの頭を持ち上げて、マグロのぬいぐるみの頭を上下させてみた。
「マグロも、それがいいって。また一緒に住みたいって、言っている。」
「志春。
小童は、生きていないものを動かして遊ぶものだ。
志春は、存分に遊ぶとよい。」
と神様。
神様は、俺の好きにしたらいい、と言って、背中を押して、見守ってくれる。
いつもいつも。
最初から。
俺、神様に出会えて、良かった。
「俺の店のホームページにアバターを作ったのは、なんで?」
「志春の言うアバターが、何を指すのか分からぬ。
志春が生きている間、人の世で、志春といるのに、棲む場所がいるのでな。
志春が作った神棚があったから、棲んでおる。」
と神様のアバターが話す。
「俺の店のホームページにいる、神様のアバターに見えるデフォルメされた神様は、神様本人?
神様が、俺のネットショップに棲んでいる?
神様って、ネットショップに棲めるんだ?」
「棲めるとも。志春が手作業で、心を込めて作った家だ。」
と神様。
「褒めてくれて、嬉しいけれど、神様が元々いた山のふもとの家には、帰ってくる予定はない?」
ネットショップで会えるだけでも、嬉しいけれど、また一緒に、神様と暮らしたい。
「その家との縁は、切れておる。」
と神様。
「そうだった。一度、縁が切れた家には、二度と神様は、戻らないんだった。もう神様は、うちに戻ってこないんだ。」
神様との暮らしを期待した後だけに、がっかり倍増。
気になることを聞こう。
「俺の店のホームページは、神棚になっていて、神様が棲んでいる、ということは。
俺が話しているのは、アバターじゃなくて、神様そのもの?」
「アバターというのが、何を指すのか、分からぬ。
志春の作った家は住み心地が良い。
気に入った。」
と神様。
アバターじゃなくて、神様本人だ。
俺のネットショップには、神様が棲んでいる!
俺は、絶対に、俺の店をたたまないと決めた。
神様が褒めてくれた神様の家。
俺と神様を繋ぐ場所。
俺が寿命で、ぽくっと逝く日まで、店を続けるんだ。
まずは、売り上げ、一。
ほっとしたけど、売り上げ、一、だけじゃ、店を続けるには足りない。
売り上げ、二、になるように、神様と相談だ!
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