18.注文殺到、しない。ネットショップ〈神棚〉は、売り上げゼロを毎日、更新中。自信作なのに。何がダメだ?考えろ、俺の店だ、俺の商品だ。
俺は、ドキドキしながら、ホームページを見ている。
注文、注文、来るのはいつだ、いつ来るんだ?
オープン初日は、アクセス、ゼロだった。
一日目だから、ゼロでもあり。
俺のイラストが売られている店の存在が、世界に知られるには、まだ早かった。
二日目。
売り上げ、ゼロ。
アクセスは、あったのに、売れなかった。
なんで?
俺のイラストの、何がダメだった?
俺は、自画自賛になるけれど、うまく描けていると思う。
自信作なんだけど。
見るだけで十分だったとか?
買うほどじゃなかった、ということ?
三日目。
売り上げゼロ。
アクセスは、ある。
昨日より、減っているけれど、俺の店は、世界に認知され始めている。
ホームページにかかりきりになって、掃除していなかったから、掃除する。
我が家を掃除しない期間は、三日が限度。
四日目には、ホコリが目につくようになる。
一週間、掃除しなかったら、床のホコリが気になって、落ち着いて眠れなくなかった。
それ以来、掃除だけは、最低でも、三日に一回はするようにしている。
四日目。
売り上げ、ゼロ。
アクセス、ゼロ。
アクセスがないなら、売れないのは、仕方ない。
俺の店の知名度って、低かったりする?
検索してみた。
エゴサーチをする日が、俺に来るとは思わなかった。
エゴサーチだけは一生しない、と思っていたのに。
エゴサーチしても、誰かにコメントされるほどの人との繋がりが、俺にはない気がする。
高校までの友達とは、大学に入った後、俺と友達との家庭環境の落差に、俺がついていけなくなって、俺から脱落した。
当たり前に家族と喧嘩して、口をきいていない、と怒りながら、喧嘩の発端を話してくれるんだ。
腹を立てていても、家族だから、縁は切れないと疑わない友達が、羨ましくて、妬ましくて、俺は、自分の身に起きたことを話すことが出来なかった。
辛いときに、辛い気持ちを友達に、話していたら、何か、変わっていたかもしれない。
でも。
大学生になったばかりの俺は、辛い気持ちを吐き出すことも、辛いと思う境遇から助けを求めることも、思いつかなかった。
現実についていくのに、いっぱいいっぱいになって。
日常の風景を置き去りにしていた。
父さんと母さんに頼れない一人暮らしが、軌道に乗ったとき、やっと、自分以外の人が見えたんだ。
あ、誰もいない。
俺の周りには、誰もいなかった。
気がついたら、高校までの友達とは疎遠になっていた。
前みたいな距離に戻ろうとしても、ぎくしゃくする。
俺も変わったし、友達も変わったんだ、と思うことにした。
そんな俺だから。
俺についてエゴサーチしても、読むところがないと思うんだ。
俺自身について、書くことがあるとすれば、四年生の途中から大学に来なくなった、こと?
卒業に必要な単位は、既にとってある。
でも、優秀な成績は、おさめていない。
俺には、特筆すべき事項が全然ない。
今回、エゴサーチするのは、俺自身じゃなく、ショップ名だけど。
〈イラスト〉と〈神棚〉でエゴサーチしても、何にも出てこなかった。
俺の店は、まだ、世界に浸透していない、ということ。
ネットで調べてみた。
検索の上位にいるためには、工夫と出費がいるらしい。
収入もないのに、出費は必要経費に出来ない。
工夫といっても、難しい。
アクセスが多ければいいって問題でもない。
検索されて、アクセスが伸びても、商品のイラストが売れなかったら、意味がないんだ。
考えろ、俺の店だ。
俺の商品だ。
俺が、好きなことを仕事にするには、商品を売り続けないと、店は続けられない。
どうしたら、売れる?
楽しんでいただけましたら、ブックマークや下の☆で応援してくださると嬉しいです。




