表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様WEB!山のふもとの一軒家に住む俺と、俺のネットショップに棲む神様の冒険と日常  作者: かざみはら まなか


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/80

15.『いってらっしゃーい。』『行ってくる。達者でな。』かまぼこ板に乗った神様が遠ざかるのを見送って。

かまぼこ板に乗る神様。


和風フィギュアと言えないこともない。


かまぼこ板には、和装が様になる。


様になるけど、神様のことが、心配になってきた。


俺は、掌にかまぼこ板を乗せた。


「神様、今さらだけど、スイムスーツは、着なくて平気?


いつもの格好で、かまぼこ板サーフィンできる?


波が荒れてきたよ。


服って、水を吸ったら重くなって、沈むらしいから。


映画で見たことがあるんだ。


神様が、泳いでいるところを見たことがないんだけど、泳げる?


かまぼこ板から、落ちない?


神様のサイズの救命胴衣はさすがに、売ってないし。


せめて、浮き輪の代わりになるもの、探す?」


神様は、かまぼこ板の上から、海を見ている。


志春しはる。案ずるな。常世への道はひらかれておる。

かまぼこ板から、落ちることもなければ、溺れることもない。


志春しはるは、かまぼこ板を海に押し出したら、早く浜から離れよ。

波が、かまぼこ板をさらいにくる。


志春しはるの御守のマグロは、海を泳ぐには向いておらん。


波が来る前に、マグロと共に逃げるがよい。」

と神様。


神様の目は、海の彼方を見ている。


神様の意識は、常世に向いている。


「御守のマグロは、ぬいぐるみだから、海水吸ったら、ずっしり重くなる。

俺も、ダウンが海水吸ったら、危険。」


志春しはる。危険を予測して、危険を回避するのは、小童の知恵。」

と神様。


神様が、俺を振り返る。


「もう、時間が来た?」


分かっていても、確認してしまう。


「そうだ。達者でな、志春しはる。」

と神様。


「ありがとう。神様。神様と一緒に暮らせて、毎日、楽しかった。」


俺は、波が押し寄せたタイミングで、かまぼこ板を波に乗せた。


波が引いていくときに、神様が乗っている、かまぼこ板も引っ張っていく。


「神様、いってらっしゃーい。気をつけて。」


俺は、さようなら、もバイバイも、言いたくなかった。


永遠の別れになると分かっているけれど、俺からは、神様との縁は切らないという意思表示。


だから、お見送りの言葉は、『いってらっしゃい』にした。


神様をお見送りする、と決めてから、なんて言って、見送るか考えていた。


神様を笑顔で見送りたい。


俺は、笑顔で、手を振り返る。


神様は、一度だけ、振り返った。


「行ってくる。志春しはる達者でな。マグロと仲良く暮らすがよい。波が来る。逃げよ。」

と神様。


俺は、『逃げよ。』を聞いて、砂浜を走った。


灌木の生えているあたりで、立ち止まって、海に向き直る。


先ほどまでとは規模が違う大きな波が寄せて、スピードあげて、沖へとひいていくのが見えた。


神様の乗っているかまぼこ板は、どんどん沖へとすすんでいく。


俺は、神様の背中に声を張り上げる。


「家に帰って、一度神棚に置いたら、今日は、マグロと一緒に寝るよ。


明日も、明後日も、マグロと仲良く、元気にやっていくから。


神様も元気で。」


神様の乗っているかまぼこ板は、すぐに見えなくなった。


目をこらしても、目の前にあるのは、冬の海。


俺は、鞄の中にある、マグロのぬいぐるみに、声をかける。


「家に帰ろう。これからよろしく。」


マグロのぬいぐるみは、話をしない。


ぬいぐるみは、話さないもんだよな。


マグロのぬいぐるみを見るたびに、神様との思い出を思い出す気がする。


俺は、電車に乗るために駅に向かった。


日が落ちてきて、空気が冷えてくる。


神様がいない帰り道は、寒さプラス、寂しい地獄を想像していた。


電車に乗ってみたら、案外ケロッと過ごせた。


神様が、俺に、楽しい思い出と、マグロの御守をくれた。


俺は、立ち直れないほどには落ち込まなかった。


俺は、神様をお見送りにいって、マグロと帰ってきた。

楽しんでいただけましたら、ブックマークや下の☆で応援してくださると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ