表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様WEB!山のふもとの一軒家に住む俺と、俺のネットショップに棲む神様の冒険と日常  作者: かざみはら まなか


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/80

10.神様の思い出作り、その四。水族館は、人と人の距離が近くなる。俺の父さんと母さんは、大学入学おめでとう、と言いながら、俺の手を振り払ったんだ。

外より小さな声で、神様に話しかける。

「エイは、鑑賞している人に、顔を見せてくれる。

ガラスが好きなのか、人が好きなのか。

動きが楽しいから、エイは、見ていて飽きないんだ。

俺、小さいときから、エイが好き。」


「海の中で、見たいものを見ながら散歩か。よくできている。」

と神様。


水族館の中は、とても暖かい。


待ち時間に凍える心配もない。


陽の光とは違う、人工の明かり。

水槽の中を泳ぐ魚。


水族館の中は、人と人との距離を近くする。


美術館とは違って、ワイワイ騒いで鑑賞してもいい。


家族連れも恋人同士も、友達も。


見て回る人同士だって、水族館の中じゃなきゃ、互いの位置を意識して、譲りあったりしない。


水族館の中の時間が、穏やかなのは、水族館には、仲が悪い人同士で来ることがないから?


俺は、いくつまで、家族で水族館に来ていたっけ?


思い出せないほど昔じゃなかったと思う。


父さんと母さん。

ずっと一緒にいるのが当たり前だと思っていた。


いつから、二人は、別々の方向を向いていたんだろう?


いつから、俺にナイショで俺の手を離す計画を立てていたんだろう?


全然気づかなかった。


俺は、うちの家族は、仲良し三人家族だと疑わなかった。


父さんも母さんも、演技がうますぎるよ。


俺の大学受験が終わった後、父さんと母さんは、俺におめでとう、と祝福しながら、別離を告げた。


俺は、全然理解できなくて、家族がバラバラになるのは嫌だ、と抵抗した。


でも。

父さんも母さんも、

『考え直してほしい』と言う俺に。


『決まったことだから。』

『これが一番イイ方法だから。』

と繰り返すだけ。


父さんと母さんは、二人で話し合って決めた、と俺に話すんだけど、話し合うときに、どうして俺を加えてくれなかったんだろう?


俺と話し合いするのは無駄だと思った?


父さん、母さんだけで、家族を作っているわけじゃない。


父さん、母さん、俺の三人で、俺達は家族だったんじゃないの?


俺は、ハナから、家族の数にカウントされていなかったの?


父さんと母さんの結論は、俺が何を言っても変わらなかった。


二人は、俺が大学を卒業するまでは、二人で半分ずつ面倒をみると決めていたんだ。


俺にかかる学費も生活費も、全部、折半。


志春しはるが大人になるまでは、親としての責任を果たす。』


もっと早く気づくようにあからさまに不仲な二人だったら、俺だって、呑気に大人になっていなかったのに。


お金に苦労しなくて、良かったことには、父さんにも母さんにも、感謝しているよ。


でも。

俺に対する愛情はないの?


親としての責任感でしか、俺と向きあいたくないの?


子どもっぽいことを言うけれど、俺は、二人の子どもなんだから、俺の言葉を無条件に聞いてくれるのは、二人しかいなかったのに。


二人とも、俺が大学生になったら、一人暮らしをする、と決めつけて、三人で住んでいた家を処分して、別々の場所に行ってしまった。


住むところがあるから、大丈夫、じゃない。


住むところはあるけれど。


俺の還る場所は、どこにもない。


父さんと母さんは、父さんも母さんもいなくて、思い出も何にもない、まっさらな空間を俺に用意して、去っていった。


俺は、自立なんかしたくないのに。


まだまだ、父さんと母さんといたかった。


父さんと母さんは、別の家族を作ったけど、俺の家族は、父さんと母さんと俺、の三人だから。


神棚に神様がいなかったら、俺は、山のふもとの家を即決しなかった。


神様は、何も聞かないで、俺に優しくしてくれた。


神様は、俺の家族じゃないけれど、神様がいたから、毎日が楽しかった。


神様、今日で、いなくなるんだなあ。

楽しんでいただけましたら、ブックマークや下の☆で応援してくださると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ