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第八十八話 初体験

バン。


「ちょめちょめ」 (じゃじゃじゃーん。転移する道具を準備できたわよ)

「何それ?指輪?」

「ちょめちょめ」 (そうよ。これを使えば好きな場所へ転移できるのよ)

「嘘だー。転移ってすごいパワーが必要なんだよ。そんなちっぽけなものじゃ無理よ」

「ちょめちょめ」 (説明するより実際に使ってみた方が早いわ。ミク、ルイ、こっちに来て)

「ちょめ太郎、どこかに頭をぶつけたんじゃないの。だから訳のわからないことを言っているんだよ」


必死になってミクに説明をしてみるがまったく受け入れてはくれない。

まあ、実際に使っている転移装置は巨大な機械だから信じられないのも無理ないが。


「ちょめちょめ」 (バカにしないでよ。私は正気よ)

「ちょめ太郎、きっと悪い人に騙されたんだよ。そんな小さなもので転移なんてできないわ」

「ちょめちょめ」 (そんなことない……ていうか悪い人ってところは当たっているわね。だれが見てもちょめジイは悪人なのだから)

「ちょめ太郎はルイのことを想ってそう言ってくれたんだね。ありがとう。でも、嘘はよくないよ」

「ちょめちょめ」 (だから、嘘じゃないんだって。なんで信じてくれないかな)


ミクが私の説明を聞いても信じてくれないのは普段からそう思われているからだ。

確かにミクの信頼を買うようなことはあまりしていない。

どちらかと言うとミクやルイのぱんつを奪ったりしていただけだ。

そんな”変態ぱんつ泥棒”の言うことを信じてくれる人はちょめジイぐらいなものだろう。


「ねぇ、お姉ちゃん。ちょめ太郎はなんて言っているの?」

「あの指輪を使えば好きな場所へ転移できるんだって」

「ほんと!すごい!」

「ルイ、信じちゃダメよ。ちょめ太郎は嘘を言っているんだから」


純粋に驚くルイを嗜めるようにミクがひと言そえた。

ただ、”ちょめ太郎は嘘を言っている”ってところはいただけない。

私は断じて嘘など言っていないのだ。


「なら、試してみればいいじゃん。その方がはっきりするよ」

「もう。ちょめ太郎がバカなことを言うからルイが信じちゃったじゃん」

「ちょめちょめ」 (私のせいにしないで。ルイは正直なだけ)


私がルイを褒めるとミクはちょっと嫌そうな顔を浮かべる。

それは自分が正直者でないと言われていると感じたからだろう。


「ちょめちょめ」 (じゃあ、私の周りに集まって)

「楽しみだな。どこへ行けるんだろう」

「私は信じないからね。もし、できなかったらちょめ太郎を軽蔑するから」


ミクにいらぬプレッシャーをかけられて私も気が気でなくなる。

もし、ミクの言う通り転移できなかったら私は大嘘つきになってしまうのだ。

そうなったらちょめジイを恨んでやる。


私は指輪を振り上げて天に掲げた。


「ちょめちょめ」 (さあ、私達を転移させなさい)

「「……」」


しかし、何も起こらない。


「ちょめちょめ」 (あれ、おかしいな。転移できるはずなんだけど)

「……やっぱり嘘をついていたんだね」

「ちょめちょめ」 (嘘じゃないわよ。ちょっと調子が悪いだけ)

「言い訳はいいよ。ちょめ太郎を信じた私がバカだったわ」


何も起こらないのですっかりミクの信用を失ってしまう。

すると、様子を見ていたルイが転移の指輪を手に取った。


「きっと魔力を注げばいいんだよ」

「ちょめちょめ」 「あっ、それを忘れていたわ)


ちょめジイにもらったものだからてっきり念じれば転移できるとばかり思っていた。

私とちょめジイの会話は念話を使って話しているから自然とそう思ったのだ。

ちょめリコ棒を動かす時も念力で動かしているから同じ仕組みだと勘違いしていた。


「ルイが魔力を注いであげるね」


すると、指輪が光り出して私達を眩い光で包み込んだ。


「ちょめっ」 (うっ、眩しい)


あまりの眩しさに目を細めているとだんだんと光が弱くなって行く。

そして、光が消え去ると見たことのある景色が飛び込んで来た。


「うわぁー」


そこはこの前に王都へ行った時によったファンシーショップの店の中だった。


ルイは目に飛び込んで来るカワイイものたちに圧倒されている。

口と目を大きく開いてキョロキョロ見回しながらカワイイものたちを眺めている。

ルイが今まで生きてきた中で体験したことのない感動を味わっているのだろう。


「ねぇ、お姉ちゃん。見て来ていい?」

「好きなだけ見て来ていいよ」

「やったー!」


ルイはミクの了解をもらうと数多にあるカワイイもの達を物色しはじめた。


「ちょめちょめ」 (だから言ったでしょう)

「ちょめ太郎も本当のことを言うのね」

「ちょめちょめ」 (何よ、その言い方)

「でも、どうやって転移できたのかな」

「ちょめちょめ」 (話を逸らさないで)


ミクは転移の指輪をじっくりと眺めながら不思議そうな顔を浮かべていた。


「うわぁー、これカワイイ。こっちもカワイイ。あっ、これも」


ルイはカワイイもの達を抱えながら他のカワイイものに夢中になっている。

その姿はまるでおもちゃに夢中になっている子犬といっしょだ。

ただ、違うと言えばルイの場合はおもちゃをひとつにしていないところだ。

見るもの全てがカワイイからどれにしたらいいのか迷っているのだろう。


「あんなに嬉しそうにしているルイを見るのは久しぶりだな」

「ちょめちょめ」 (だから正解だったでしょう)

「その指輪の力なのかわからないけれどよかったわ」

「ちょめちょめ」 (まだ疑っているの。この指輪のおかげよ)


ちょめジイさまさまだ。

もし、これで転移できなかったらちょめジイを刺していたところだ。

”カワイ子ちゃんの生ぱんつ”が欲しいからって私をこき使うなんて。

私に感謝するこそいえ騙すなんてもってのほかだ。

でも、今回は使える道具を渡して来たから不満はない。


「ルイを見ていたら私もカワイイものを見たくなって来ちゃった」

「ちょめちょめ」 (私がルイを見ているから見て来ていいわよ)

「本当。さすがはちょめ太郎だね」

「ちょめちょめ」 (褒めても何も出ないわよ。飴玉ぐらいならあげてもいいけどね)

「じゃあ、ルイのことを任せたからね」

「ちょめちょめ」 (心行くまで楽しんで来なさい)


私がGOサインを出すとミクは軽やかなステップでファンシーグッズの山に飛び込んで行った。


「ちょめちょめ」 (ミクも何だかんだ言ってお子ちゃまね)


見た目では私が一番小さいけれど心は立派な大人だ。

ファンシーグッズに目を眩ませているうちはまだまだ子供だ。

大人の私になればファンシーグッズといい感じの距離を保てる。

あくまでファンシーグッズは心を癒してくれるアイテムなのだ。

だから、子供のようにおもちゃとしてファンシーグッズを見ていない。

ここが子供と大人の一番の違いだ。


「キャー。これ、ちょーカワイイ」


売り場の向こうからルイの悲鳴交じりの歓喜の声が聞えて来る。

どんなカワイイものを見つけたのかわからないが喜び過ぎだ。

ファンシーショップにいた他の女子達もルイの方を見ていた。


「ちょめちょめ」 (全く。これじゃあ遊園地に来ているみたいだわ)


売り場で声を出してはいけないルールはないが騒ぎ過ぎも問題だ。

お客の中には静かにファンシーグッズと向き合っていたい人もいるだろうから。

癒しの空間なのだから適度な静寂さも必要だ。

キャーキャー騒いでいたら気分も台無しになってしまう。


「ちょめちょめ」 (ちょっと、ルイに注意して来ないといけないわね)


私はルイの声が聞える方へ歩いて行くと突然、視界が変わる。

体がふわりと浮かび上がって天井が近くなった。


「あっ、これカワイイ」

「どこが?」

「この微妙にブサイクなところ」

「確かにブサイクだね」


私を持ち上げたのは2人組の女子高生だった。

カワイイと言われると微妙なラインだが立派な女子だ。


「この顔をじっと見ているとムカついて来る」

「確かに。殴りたくなるタイプの顔よね」

「憂さ晴らし用に買おうか」

「えー、こんなのにお金を使うの。私は嫌よ」

「でもさ、クラスにひとつなんてアリじゃない」

「それもそうね。1発100円にすれば儲かるかも」


と私を捕まえて物騒な話をはじめる女子高生に幻滅だ。

私のどこが殴りたくなるような顔なのだか全く理解できない。

確かにカワイイとはほど遠い顔をしているけれどそれでもだ。

おまけに私を出汁にお金を稼ごうだなんてふとどき過ぎる。


「なら、決まりだね」

「それ、いくら?」

「うーんとね……値札が付いてない」

「それ販促物じゃないの」

「こんなブサイクなものを置いておく?」

「ブサイクなものと対比でよりカワイく見せているのかもね」


女子高生は悪びれた様子もなく失礼なことを言いまくっている。

私が目の前にいるのにおかまいなしだ。

こう言う悪い子ちゃんにはおしおきが必要だ。


私はテレキネシスを使って女子高生達のスカートを捲り上げてぱんつ丸見えの刑を下す。


「キャー」

「ちょっと、何よこれ」

「わかんない。ぱんつ見えちゃう」

「みんな見てるよ。恥かしい」


女子高生達は顔を真っ赤にさせながら必死にスカートの裾を引っ張っていた。


「ちょめちょめ」 (私を馬鹿にした罰よ。だけど、許してあげるわ)


タイミングよくテレキネシスを切ると女子高生達はスカートを自分でずり下ろしてしまう。

そして下だけぱんつ姿になると顔を真っ赤にさせながらスカートを持って逃げて行った。


「ちょめちょめ」 (カーカッカッカ。愉快じゃ。これにこりたら私を馬鹿にするでないぞ)


私はひとり勝ち誇りながら小さくなって行く女子高生達の背中を見送った。


「ちょめ太郎、何をやっているの?」

「ちょめちょめ」 (世直しよ)

「世直し?」


私の言葉が理解できないのかミクは小首を傾げて不思議そうな顔を浮かべた。


「ちょめちょめ」 (それより、もういいの?)

「うん。あんまり見ていると欲しくなっちゃうからね」

「ちょめちょめ」 (まあ、何事も腹八分が手頃よ)

「ちょめ太郎って、ときどき難しいことを言うよね。もしかしておばあちゃん?」

「ちょめちょめ」 (何な訳あるかい。私はれっきとしたティーンよ)


ミクがわかりやすいフリを投げて来たので私はここぞとばかりに打ち返した。


私のどこをみておばあちゃんだなんて思ったのが不思議なぐらいだ。

確かにミクよりも年上だけれど4歳しか離れていない。

だから、お姉ちゃんと言う言葉が相応しい。

ルイのお姉ちゃんがミクでミクのお姉ちゃんが私なのだ。


そんなくだらないやりとりをしているとルイが戻って来た。


「お姉ちゃん、これに決めた」


そう言ってルイが押して来た買い物カートにはカワイイものが山積みになっていた。

しかも、ひとつだけでなく5つも買い物カートを押して来た。


「何よ、その荷物」

「たくさんカワイイものがあって選べなかったの」

「選べなかったって……お金、持ってきてないよ」

「えーっ、買ってくれるんじゃないの」


買えないことがわかるとルイは頬を膨らませて抗議する。


「そんな顔をされても買えないものは買えないよ」

「なら、ちょめ太郎が買って。いいでしょう」

「ちょめちょめ」 (おーい。私に振るな。ミクが買えないって言っているんだからダメよ)


困っているミクの隣で静かにしていた私を見てルイがおねだりをして来た。


いくら私が何でもできるからと言ってできないこともある。

ルイが持って来たカワイイものを全部買ったらいくらになるだろうか。

到底、ミクのお小遣いでは手に出ないぐらい高くなってしまうだろう。


私は一応、お金を持っているがもしもの時のためにとってある。

ここでルイの要求を飲んで買ってしまうことは簡単だけど癖になる。

とかく子供は甘い誘惑に弱いからハマりやすいのだ。


「ねぇ、お姉ちゃん。ちょめ太郎、買ってくれるって言っているの?」

「買わないって言っているよ」

「えーっ、ちょめ太郎のクセに生意気。居候なんだから買ってくれてもいいのに」


ルイは悪びれた様子もなく私を傷つける言葉を吐く。

恐らくあてが外れたのでがっかりしているからだろう。

だけど、”ちょめ太郎のクセに”は言い過ぎだ。


私のピンク色のハートはクシュンと小さくなった。


「ルイ。そんなことを言っちゃダメよ。ちょめ太郎、何も悪いことをしていないでしょう」

「だって、これ欲しいんだもん」

「今度、来た時に買ってあげるから」

「本当に!これ全部だよ」

「ひとつだけよ」

「えーっ、選べないよ」


一瞬、ご機嫌になったルイだったがすぐに不満げな顔に変わる。


「ひとつだけ。でないと買ってあげないからね」

「ブー」


ミクはママが子供を嗜めるようにルイを叱る。

すると、とたんにルイは頬を膨らませて買い物カートを押して行った。


「ちょめちょめ」 (さすがはミクね。伊達にお姉ちゃんはしていないようね)

「ママがしそうなことをやっただけよ」

「ちょめちょめ」 (それでも偉いわ)

「褒めないでよ。照れるじゃん」


ミクはやっぱり頼りがいのあるお姉ちゃんだ。

誰よりもルイといっしょにいた時間が長いからどうすればいいのか把握している。

それはママがルイにして来たことを学習して覚えているのだ。


「もう、帰る」

「はいはい。ちょめ太郎、お願い」

「ちょめちょめ」 (ここは人目につくからそっちの影のところでね)


いくら転移装置がある世界とは言え目の前で人が消えたら驚かせるだけだ。

とりわけお店の中には転移装置がないから気をつけないといけない。

あくまで自由に転移できるのは私達だけの秘密にしておく必要がある。


なので、私達は売り場の死角になる場所に移動してミクの家まで転移した。


「ちょめ」 (到着)

「本当に戻って来れた」

「ちょめちょめ」 (まだ信じていなかったのね)

「仕方ないじゃん。そんな指輪で転移できるなんて思ってもみなかったんだもん」


ミクからしてみたらお弁当箱サイズの携帯がスマホに置きかわったような印象なのだろう。

私もスマホを愛用しているけれど昔の携帯を見た時に驚いたことを覚えている。

あんな使いづらそうなモノをこぞって欲しがっていたなんて驚きでしかない。

私は現代っ子でよかったと思う。


すると、ルイは何も言わずに布団を被って丸まってしまった。


「ルイ、どうしたの?具合でも悪いの?」

「何でもなーい」

「なら、何で布団にくるまっているの?」

「別にいーじゃん」


心配して来るミクに八つ当たりするかのようにルイは強い言葉を返して来る。


「何よ、その態度。よくないよ」

「ママみたいなことを言わないで」

「どうしたの、ルイ?」

「お姉ちゃんなんてキライ」


そうひとこと言うとルイは黙り込んでしまった。


「私、何か悪いことしたかな?」

「ちょめちょめ」 (きっとカワイイグッズを買えなかったから拗ねているのよ)

「けど、仕方ないよ。お金持ってないんだし」

「ちょめちょめ」 (私が安易にファンシーショップに連れて行ったのがいけなかったんだわ)


憧れていたファンシーショップに連れて行ってもらえたら何か買ってもらえると期待するものだ。

それなのに買わなかったからルイのショックも相当なものだったのだろう。

ルイのことを思ってしたことが裏目に出てしまった。


「ちょめ太郎は悪くないよ。ルイがワガママなだけ」

「ちょめちょめ」 (そう言ってくれるのはミクだけね)


ミクはフォローしてくれたけれど何だか後味の悪い結果になってしまった。


「ルイのことは私に任せて」

「ちょめちょめ」 (お願いするわ。私が何を言っても無駄な気もするからね)


当事者である私が何を言っても聞いてはくれないだろう。

一度拗ねてしまった子供をあやすのはママかお姉ちゃんぐらいだ。

ママやお姉ちゃんはそのためにいると言っても過言でないのだ。


「ちょめちょめ」 (そうだ、ミク。この指輪のことは他の人には内緒にしておいて。騒ぎになるもの嫌だし)

「わかった。誰にも言わないでおくね」

「ちょめちょめ」 (お願いね)


この世界にある転移装置は大掛かりなものしかない。

だから、指輪だけで転移できると知ったら騒ぎになるだろう。

そんな画期的な物があるならばみんなこぞって欲しがるはずだ。

もし、そうなったらこの穏やかな暮らしにヒビが入ってしまう。


すると、私とミクのやり取りを見ていたルイが布団からひょっこりと顔を出す。


「パパとママに言っちゃおうかな~」

「ちょめちょめ」 (それだけは止めて。でないと大変なことになる)

「ルイ、意地悪をしないの」

「別にいいじゃん。みんなに教えた方が世の中のためになるよ」

「ちょめちょめ」 (お願いだから止めて。何でもするから)


ルイが脅しをかけて来るので私は頭を下げて平伏した。


「お姉ちゃん、ちょめ太郎はなんて言っているの?」

「黙っていて欲しいって」

「どうしようかな~。タダで言うことを聞くのも嫌だしな~」


ルイは下目に私を見下ろしながら揺さぶりをかけて来る。


「ちょめちょめ」 (何をすればいいのよ)

「お姉ちゃん、ちょめ太郎はなんて言っているの?」

「何をしたらいいのかって」

「そうだな~。ルイは遊園地に行ってみたいな」

「ちょめちょめ」 (そんなの無理よ。ルイは外に出ちゃいけないんだもん)


いくらルイの要求でも素直に承知はできない。

ルイは太陽の光を浴びてはいけない体だからだ。

遊園地には逆立ちをしても連れていけない。


私は大きく横に首を振ってNOサインを送った。


「なら、アイスクリームが食べたいな」

「ちょめちょめ」 (そ、それは……連れていけるかも)


露店のアイスクリーム屋には連れて行けないがショップ型のお店なら大丈夫だ。

若干、窓からの外光が気になるところだが直射日光にあたらなければ問題はない。

実際にルイの部屋もレースカーテンが引かれているだけで窓は閉まっていないのだ。


「どうするの、ちょめ太郎」

「ちょめちょめ」 (わかったわ。アイスクリームショップに連れて行ってあげる。その代り、これっきりだからね)

「ちょめ太郎のOKが出たよ」

「やったー!」


何だかルイにいいようにされてしまったが背に腹は代えられない。

アイスひとつで満足するならばそれほど安いこともないからだ。

子供に言うことを聞かせるならば程よい飴を与えておけばいいのだ。


私はまたひとつルイを操る方法を学習したのだった。


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