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第八十五話 うるわしいみずたまぱんつ③

控え室に戻って来たリリナちゃんは人払いをした。

それはいつものお決まりの反省会をするためだ。

本来であればスタッフといっしょにするが今回はナコルと二人だけだ。


「リリナちゃん、ごめんね。私のせいで路上ライブができなくてさ」

「ナコルちゃんのせいじゃありません。私の事前準備が足りなかったのです」

「そんなことはない。リリナちゃんはよくやってくれたよ」

「でも、路上ライブができなかったのは、みんな私のせいなのです」


ナコルとリリナちゃんはお互いに自分のせいだと主張する。

どちらのせいでもないが、どちらのせいでもあるのだ。


「リリナちゃん……」

「こうなることはある程度、予想できていたんです。それなのに何もしなかった私が悪いのです」


リリナちゃんがナコルを選んだ時点で問題が発生することは予想できた。

その上で、その問題を解決するために準備をしておくべきだったのだ。


「やっぱり私、アイドルになるべきでなかったのかも」

「そんなことは言わないでください。ナコルちゃんはなるべくしてなったんです」

「けど、みんなの反響を聞いていたら自信がなくなっちゃうわ」

「いろいろ言う人はいます。けれど、それが声援に変わる時が必ず来る。それまではアイドルを続けないといけないんです」


リリナちゃんがそこまで言い切るのは自分も同じ経験をしたからだろう。


少し前まではリリナちゃんは無名のアイドルだった。

だけど、直向きにアイドル活動を続けて来たことで今の地位を築いたのだ。

その道のりは険しいものだったと予想ができる。

だから、ナコルにも同じ道を歩んで欲しいと考えているのだ。


「私にできるかな」

「できるかじゃありません。やるんです。私といっしょにやりましょう」

「リリナちゃん」

「ふたりで高みを目指しましょう。私達ならできます」


リリナちゃんの覚悟を聞いてナコルの顔から不安が消える。


今まではひとりで頑張っていたけれどこれからはふたりだ。

どちらかが歩けなくなったらどちらかがおんぶをして歩けばいい。

どちらかがつまずいて転んだらどちらかが手を差し伸べればいい。

どちらかが弱音を吐いたのならどちらかが励ませばいい。

ふたりでひとつになることでできないこともできるようになるのだ。


「わかったよ。リリナちゃん、よろしくお願いします」

「こちらこそよろしくお願いします」

「「フフフフフ」」


リリナちゃんとナコルは笑いながら暗かった表情を明るくした。


「それじゃあ、次の路上ライブの計画を立てましょう」

「そうだね。今度こそ成功させたいよね」

「まずは歌ですね。これがメインになるから外せませんわ」

「私は歌に自信がないからリリナちゃんがメインボーカルになってよ」

「えーっ、せっかくふたりなんだからパート分けしていましょう」

「ダメだよ。リリナちゃんが主役なんだから」


ナコルは遠慮がちに身を引いてリリナちゃんを立てようとする。


歌唱力で言えば圧倒的にリリナちゃんの方がうまい。

ナコルはダンスはうまいけれど歌はいまいちだ。

そんな状態でパート分けして歌ったらつまずいてしまうだろう。

そのことをナコルが一番知っているからリリナちゃんを立てたのだ。


「なら、ナコルちゃん。歌を歌ってみてください。それから判断します」

「えーっ、ヤダな。すごく下手だから恥ずかしいよ」

「うまい下手なんて自分じゃわからないものですよ。いいから歌ってください」

「わかったよ。ちょっとだけだからね」


リリナちゃんに押されてナコルは歌を歌ってみることにした。


結果は言うまでもない。


「ナコルちゃんはリズム感はあるけど音程が不安定ですね」

「ハッキリ言うのね」

「こう言うことはハッキリさせておいた方がいいですから」

「なんか複雑……」


改めてリリナちゃんから言われるとナコルの自信もなくなってしまう。

歌が下手と遠回しに言われているようであまりいい気分でなかった。


「わかりました。私がメインパートを歌いますからナコルちゃんはハモリとコーラスをお願いします」

「ハモリとコーラス?それだけ聞いてもうまくできるかわからない」

「うまくなければ練習をすればいいんです。誰もはじめからうまくできる人なんていませんわ」

「……頑張ってみる」


一度、アイドルになると決めたナコルに逃げる道はない。

目の前にどんな壁が立ちはだかっても乗り越える必要がある。

だけど、これからはリリナちゃんとふたりだから大丈夫だろう。


「次はグッズの制作ですね」

「もうグッズを制作するの?」

「路上ライブが終わったら物販をするからです。そこでどれだけ稼げるかで今後の活動方針が変わって来ます。だから、たんまりと稼がないといけないんです」

「リリナちゃんってただカワイイだけのアイドルと違うんだね。見直しちゃった」


アイドルにとって物販は生命線と言っても過言でない。

物販でどれだけ稼げるかで活動資金が変わって来るからだ。

だから、アイドルサイドはグッズを制作して物販に備えるのだ。

制作するグッズは大きい物から小さい物までさまざまだ。

できるだけバリエーションを豊富にしておいた方がいい。


「まずはお決まりのタオルですね。これは路上ライブの時にファンが使うから必須なんです」

「ファンが振り回しているタオルって物販の物だったんだ」

「みんなお揃いのタオルを振り回してくれた方が見栄えがいいですから。それにファンと一体感を感じられるんです」

「そうなんだ。ぜんぜん知らなかった」


どのアイドルを見てもタオルは定番の物販の商品にしている。

それはリリナちゃんが言った通り路上ライブで使えるからだ。

おまけに推しのタオルであればファン達はこぞって買ってくれる。

だから物販の中でも一番売り上げを出せる商品なのだ。


「後は下敷きやクリアファイルなどの文房具類ですね。これはコレクターにウケるから狙い目なんです」

「いつでも私達を感じていられるところがポイントなのね」

「推しのグッズであればファンは肩見放さず持ってくれます。おまけに買い漁って友達に配る人もいるんですよ」

「そこから新しいファンができるかもしれないのね」

「そうです。これもれっきとした戦略なのです」


アイドル活動と言うのはただ好きでやっている訳ではない。

緻密に練られた戦略を元にアイドル活動をしているのだ。

それはアイドルサイドの考え方であり、いかにしてファンを満足させるかが重要になる。


「リリナちゃんはいろいろと考えているのね」

「ただ、カワイイだけじゃアイドルはできませんから」

「リリナちゃんといっしょならうまく行きそうな気がして来たわ」

「当面はメジャーデビューを目標に頑りましょう」


リリナちゃんが見ている景色はそれだけではない。

その先にあるまだ見ぬ景色も思い浮かべているのだ。

だからこそ、推進力を産み、困難を乗り越えられる。

ふたりとなったこれからならばより一層高みを目指せるだろう。


「後はスケジュールですね。毎週、定期的に路上ライブをしているけれどそれだけじゃ足りません。路上ライブをすることがあたり前になっちゃうと刺激もなくなってしまいますから」

「月に一度は路上ライブ以外のことも必要になるのか」

「私が考えているのは……」


リリナちゃんがアイデアを出そうとした時、いきなり控え室の扉が勢いよく開いた。


「見つけたわ、ナコル」

「あなたは」

「ルイミンさん。何でこんなところに来たの?」

「もちろんナコルを殺すためだ」


そう言いながらルイミンは懐から鋭利なナイフを取り出す。

そしてその切っ先をナコルに向けながら脅しをかけて来た。


「お前がいるからリリナちゃんの路上ライブは失敗したのよ。許さない。絶対に許さない」

「ルイミンさん、落ち着いてください。路上ライブをしなかったのは私の判断です。ナコルちゃんのせいじゃありません」

「それよ、それ。何で私を呼ぶときは”さん”でナコルを呼ぶときは”ちゃん”なの。私がどれだけリリナちゃんのことを思っているのか知っている?」


ルイミンの呼吸は荒くてすごい剣幕で言い放つ。

すっかり、怒りで満ち溢れていて我を忘れているようだ。


「ルイミンさんがずっと私のことを応援して来たことは知っていますわ。だけど、それがナコルさんを殺すこととどうつながるのですか」

「ナコルがいなければリリナちゃんは私のモノだったんだ」

「私は誰のモノでもありません。私は私です」

「いいえ。リリナちゃんは私のモノよ」


ルイミンからしてみたらリリナちゃんが崇めるべき偶像だ。

人としてリリナちゃんを見ているのではなく神として見ているのだ。

だから、自分のモノにしたいと言う願望を持っている。

それは人が神を崇めることとなんら変わりないのだ。


「随分と傲慢な考え方ね。リリナちゃんは私が守るわ」

「”リリナちゃんは私が守る”だと。ぬけぬけとカッコイイことを言わないで。それじゃあ、まるで私が悪人みたいじゃない」

「自分でもわかっていないの。ルイミンはナイフを私達に向けているのよ」

「このナイフはリリナちゃんを傷つけるためのモノじゃないわ。ナコルを殺すためのモノよ」


正義感にまみれたナコルの言葉にルイミンは過剰に反応する。

今、自分がしていることも気づかないで自己主張ばかりしている。


すっかり辺りの空気はピリピリと張り詰めていて一触触発の状態になっていた。


「ルイミンさん。どうしたら許してもらえるのですか。ルイミンさんの望むことだったら何でもします」

「なら、ナコルを殺して。ナコルを殺してその首を私の前に差し出して」

「そんなことできません」

「フン。結局、リリナちゃんはナコルがカワイイのよ。許せないわ」


興奮しているルイミンの要求は度が過ぎている。

リリナちゃんを想うが故のことなのだが受け入れることは難しい。

誰も人を殺して首を差し出すだなんてことはできないのだ。


「ルイミン。そんなにリリナちゃんが欲しいなら私と勝負して」

「何で、ナコルの許可が必要なのよ。しゃしゃり出て来ないで」

「これ以上、リリナちゃんを悲しませないで。リリナちゃんのことを想っているならわかるでしょう」

「わからないわ。リリナちゃんは私を裏切ったのだから」


どんな正当な言葉を並べてみても今のルイミンには響かない。

すっかり嫉妬にかられてしまいナコルを殺すことだけを考えている。

ナコルがいなくなればリリナちゃんは自分のところに戻って来ると思っているのだろう。

だけど、そんなことは全くないのだ。


「ルイミンさん。そんなにナコルさんを殺したいのなら代わりに私を殺してください。私がいなくなれば、この争いもなくなりますわ」

「そんなことはできないわ。リリナちゃんがいなくなったら私は何を頼りに生きて行けばいいのかわからなくなる。リリナちゃんは私の女神さまなの」

「私はそんなにきれいな人間じゃありません。嘘もつけば妬みもする汚い人間なのですよ」

「いいえ。リリナちゃんは汚い人間じゃない。とても純粋で透き通るぐらいきれいな人なの。だから、私が守ってあげないといけないのよ」


ルイミンの愛情は本物であるが行き過ぎているので歪んでいる。

愛情は深ければ強いものだが深すぎると鉄の鎖のようになってしまう。

今のルイミンがリリナちゃんのことを想っているようにエゴを押しつけるのだ。


リリナちゃんはリリナちゃんであり偶像でも女神でもない。

ルイミンと同じように生きているひとりの人間なのだ。


「ルイミンさん。なぜ、わかってくれないのですか」

「話はここまでよ。さあ、ナコル。前に出なさい」


ルイミンがナイフを向けて指図するとナコルは覚悟を決めて一歩前に出る。


「ナコルちゃん」

「リリナちゃん。心配しなくても大丈夫。私は殺されたりしないから」

「でも……」

「ウーッ、イラつく。何よそのやり取り。リリナちゃんは私のことだけを心配していればいいの」


リリナちゃんがナコルのことを心配したことでルイミンの感情は荒立つ。


「さあ、ルイミン。私を殺したいのなら殺してみろ。私は何度でも立ち上がってみせるから」

「いい覚悟ね。なら、お望みどおりに殺してあげるわ!」


ルイミンはナイフを天高くあげると勢いよく振り下ろしてナコルを切りつる。

瞬間にリリナちゃんが飛び出してルイミンの前に立ちはだかった。


「イタッ」

「リリナちゃん!」


ルイミンの振り下ろしたナイフはリリナちゃんの左腕を掠めて傷を作った。


「私は大丈夫」


傷口から赤い血が滲み出て来るとポタポタと床に滴り落ちる。


「う、うわわわ……うわわわっ」


ルイミンは酷く動揺しながらオロオロとしはじめる。

さっきまでの威勢はなくなっ素の自分に戻っていた。


「これで気がすみましたか、ルイミンさん」

「わ、私は……私は……うわわわぁぁぁぁぁー」


錯乱していたルイミンは大声を上げながら逃げるように控え室から飛び出して行った。


「リリナちゃん、大丈夫?」

「これくらい大したことないですよ」


リリナちゃんは強がっていたが表情は痛みを堪えていた。


「ごめんね、リリナちゃん。みんな私のせいだわ」

「ナコルちゃんが責任を感じることはありません。ルイミンさんを追い詰めたのは私ですから」


ナコルは持っていたハンカチでリリナちゃんの腕を縛る。

しかし、血はハンカチに滲み出て来てハンカチを真っ赤に染めた。


そこへ私とミクがルイミンと入れ替わるように控え室に入った。


「ちょめちょめ?」 (今、ルイミンが血相を変えて出て行ったけれど何があったの?)

「?」


私はちょめちょめとしか話せないことを忘れてリリナちゃんとナコルに話しかける。

すると、ふたりは頭に疑問符を浮かべて不思議そうな顔をした。


「ちょめちょめ」 (ミク、通訳して)

「わかったよ。ちょめ太郎はルイミンさんのことを聞いているよ」

「あなた、そいつの言うことがわかるの?」

「わかるよ。私達、お友達だもん」


ミクの答えにナコルは酷く驚きながら動揺していた。


「ちょめちょめ」 (ルイミンと何かあったのか聞いてみて)

「ルイミンさんと何かあったのですか?」

「……」

「何もないですよ。ちょっと意見が食い違っただけです」


そう言いながらリリナちゃんは傷ついた左腕を隠すように庇った。


「ちょめちょめ」 (その怪我はどうしたのか聞いてみて)

「その怪我はどうしたのですか?」

「これはリンゴを剥こうとした時に間違って腕を切ってしまったのですよ」


リリナちゃんは返事に困って全く理解のできない答えを返す。

どこの世界でリンゴを切ろうとして間違えて腕を切る人がいるのか。

明らかにルイミンが傷つけたとしか考えられない。

だから、ルイミンは血相を変えて逃げて行ったのだ。


「ちょめちょめ」 (ルイミンに何をしたのか聞いてみて)

「ルイミンさんに何かしたのですか?」

「ルイミンさんには何もしてません。だけど……」

「だけど?」


リリナちゃんは何か言いたそうだったけど口を閉ざした。

ここで事実を私達に話したら都合が悪いからだろう。


すると、ナコルが間に割って入って来た。


「もう、いいでしょう。リリナちゃんの手当の方が大事だわ」

「ちょめちょめ」 (あなた達は何か隠しているのね。穏やかなルイミンをあそこまで変えたのだから何かあったんだわ)


状況だけで判断してみてもルイミンを追い詰めたことはわかる。

でなければルイミンが人を傷つけるようなことはしないからだ。

ルイミンと友達をしている私にはよくわかる。

短い付き合いだけれど心は通わしているのだ。


「ちょめちょめ」 (このままでいいのか聞いてみて)

「このままでいいのですか?」

「いいえ。よくありません。ルイミンさんの誤解を解きませんと」

「でも、今のルイミンに何を言っても届かないと思うよ」


ルイミンがリリナちゃんとナコルの関係に嫉妬したのであれば最悪だ。

嫉妬の炎はひとたび燃えればフラッシュオーバーのように広がって行く。

その業火はどんなに水を撒いてもけっして消えることはないのだ。


「ちょめちょめ」 (状況は酷く悪いようだわ。私が説得してもダメかもしれない)

「ちょめ太郎、どうするつもり?」

「ちょめちょめ」 (今のルイミンを誰も止めることはできないわ。たとえリリナちゃんが説得しても無理よ)

「ルイミンって人、可哀想だね。ひとりで苦しんでいる」


ルイミンはけっして誰かを傷つけたかったのではない。

沸き上がる嫉妬の炎に飲まれて我を忘れていただけだ。

リリナちゃんをナコルに盗られて悔しかったかもしれない。

大好きな人が他の誰かに盗られるほど悲しいことはないからだ。


今のルイミンはおもちゃを取り上げられた赤ん坊と同じだ。

だから時間が経って気分が落ち着けば元に戻るかもしれない。


「ちょめちょめ」 (私はルイミンのことが心配だからルイミンを探すわ)

「その方がいいかもね。まだ遠くへ行っていないと思うし」

「ちょめちょめ」 (リリナちゃんのことはナコルに任せるわ。ふたりで反省して)

「リリナちゃんのことはナコルに任せるって。ふたりで反省してだって」

「「……」」


ミクを通じて私の考えを聞くとリリナちゃんとナコルは押し黙った。


路上ライブの反省会をしていたのにいつの間にか自分達の反省会になってしまった。

それはルイミンをあんな風にしてしまったことが原因なのだから仕方がない。

だけど、どんなに振り返って見てもルイミンを元に戻す方法は見つからないだろう。


「ちょめちょめ」 (それじゃあ、ミク。行くわよ)

「うん」


回れ右をして控え室から出ようとした時に視界の中に何かが飛び込んで来た。

私はすぐに後ろを振り変えり見上げるとりりなちゃんのみずたまぱんつが目に止まった。


「ちょめちょめ」 (うわぁ、リリナちゃん。随分とカワイイぱんつ履いているのね)


久しぶりに”カワイ子ちゃんの生ぱんつ”を見て私の心も踊り出す。

このところ”カワイ子ちゃんの生ぱんつ”を集めていなかったから喜びもひとしおだ。

ちょめジイじゃないけど”カワイ子ちゃんの生ぱんつ”を集めていたからすっかり変態になってしまったようだ。


しかし、こんな時に”カワイ子ちゃんの生ぱんつ”に目を向けていてよいものか。

今はルイミンが大変な時だから”カワイ子ちゃんの生ぱんつ”に気を止めていてもよくない。

やっぱり親友のことを優先させてルイミンを海の底から引き上げてあげる方がいいのだ。


ただ、このまま”カワイ子ちゃんの生ぱんつ”を見過ごすことは勿体ない。

せっかく見つけたぱんつだし、コレクションが増えれば元の姿に戻れるのだ。

ここは心を鬼にしてリリナちゃんのみずたまぱんつを奪うのがいいかもしれない。

一応、リリナちゃんへのお仕置きを兼ねれば大義名分ができるのだ。


「ねぇ、ちょめ太郎。随分と顔がにやけているけど何か考えているの?」

「ちょめちょめ」 (ちょっとね。大事なことを考えていたところよ)


ぱんつのことを考えて顔がにやけるなんて私も随分と変態になってしまったようだ。

これもそれもちょめジイのせいだから後で責任を取ってもらうつもりだ。


「ちょめちょめ」 (ミク。先に行っていて)

「何で?」

「ちょめちょめ」 (いいから。後ですぐに追い駆けるから)

「わかった。なら、先に行っているからね」


とりあえず障害となるであろうミクの追い出しには成功した。


ミクのぱんつを奪った時に疑われてしまったからミクがいると都合が悪いのだ。

もし、私がリリナちゃんのぱんつを奪ったらすぐにミクにバレてしまうだろう。

そうなれば私は変態のレッテルをはられて”ぱんつ泥棒”として生きなければならない。

そんな人生はまっぴらごめんだからミクを先に行かしたのだ。


「ちょめちょめ」 (まだ、ナコルがいるけれどリリナちゃんの手当てに夢中だから問題ないわ)


私はふたりに気づかれないように背後に回り込む。

そしてジワリジワリと距離を詰めながら間合いを計った。


「ちょめちょめ」 (このアングルから見ると丸見えだわ)


何だか覗いては行けないものを見ているような感覚になる。

このアングルを男子達が持っていたら喜んでいたことだろう。

きっと目をハートにさせながらよだれを垂らしていたところだ。


私は徐にちょめリコ棒を取り出して構える。


「ちょめちょめ」 (これはお仕置きなのよ。だから、私にぱんつを盗られなさい)


私は狙いを定めるとちょめリ棒でリリナちゃんのみずたまぱんつを突いた。


ちょめリコ。


すると、りりなちゃんのみずたまぱんつはちょめリコ棒の中へ吸い込まれて行った。


「キャッ」

「どうしたの、リリナちゃん?」

「ううん。何でもない」


さすがにぱんつを盗られたなんて言い出せないだろう。

リリナちゃんは恥ずかしそうに頬を赤らめながら佇んでいた。


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